Paarallel 君と二人で ver直也&勇也
原則的に直也目線で進んでおります。最後にちょろっと勇也目線です。
「直也、あれでいいのか?」
「あいつが自立しようとしているのを俺は止めたくない。これからはまな達とやっていくべきだろう?」
明日から自由登校になり、俺は3日間ほど勇也の家に泊まる予定だった。
…というのも、俺達の進学先が俺が京都で勇也は大阪。一緒に物件探しをしてもいいと思っていたからだ。
けれども、今朝から振りだした雪で、俺達の計画も足止めになってしまい、今回はただのお泊まり会となってしまいそうだ。
「とりあえず、お前も肩に荷が下ろせるのか?」
「多分…な。あいつの事だ。自分でどうにかするつもりだろう」
「そんなにのん気に構えていられるのか?」
「さあな」
勇也のベッドに寄りかかりながら、刈ってきたコーラのペットボトルを煽る。
俺としてはちいの意思を尊重してやりたい。
結果としてそれが例え失敗だったとしても。
「勇也…お前はいいのか?」
俺は勇也に逆に聞く。勇也がちいに対して恋心を抱いている事を。
けれども、ちいが選んだのは、俺の弟の智だった。元々は智の長い片想いだ。
意外にヘタレな弟を持った為に、どれだけの期間…やきもきさせられた事か。
ようやくそんな二人のお守が終わると思うと、正直ほっとする。
「俺は…いいや。今の二人には俺が入り込むスペースはねぇって」
「勇也…そこがお前の悪い所な」
俺は軽く勇也を小突いた。
「玉砕するの分かってて、勝負するのは、俺のポリシーに反するからな」
「分かったよ。そう言う事にしておいてやるよ」
俺は、もう一度コーラを煽る。暖かい部屋に冷えたコーラが丁度いい。
「俺さ…「」
「ああ、言えよ。今日は何でも聞いてやるよ」
ずっと無言でいた勇也がゆっくりと話し始める。
「初めて、ちいを連れて来た時さ…びっくりしたんだ」
「今までにないタイプだったからか?慣れる前のちいだったものな」
「そうだな。こんなに大人しい子で生徒会が務まるのかと思ってた」
「そこも否定はしないぜ」
「打ち解けてからのちいは納得だけどな」
勇也はそう言うと溜め息をついた。
「そうだな」
「俺はさ…あいつの…ここからの笑顔が見たかったんだ」
「ああ」
「でも、俺じゃ無理だった。直也でも太一でもなくって、智だけなんだよ。心から笑ってるの」
「そっか…。お前にはバレてたか。ちいは俺には懐いているが、俺のまでも笑う事はほとんどないからな」
「智と…あいつだけじゃないか?ほらっ、N高のさ…」
「ああ、創か。あいつは、ちいと9年間ずっと同じクラスで一番最初のお隣さんだそうだから。そういう意味では二人の絆は強いな」
「ふうん。直也にも入れないのか。あの二人は」
「いいや。正確には、あいつのはとこを含めた幼馴染達な。理絵の事がある前は互いに気にはしていたみたいだけどな。事件後は、あいつの側にいることに決めたようだ。それに創は富田と仲がいいから文化祭で接触しないように今まで来ていたんだ」
「俺…そこまで、あいつの事を想えないわ。守りたいだけで、学校をさぼったりなんて」
「そこは個人の問題だけどな」
俺も勇也の意見には同意する。そこまで出来る創が羨ましいと思う反面、そんな創を選ばなかったと思うと切なくもなる。
「それを言うなら、智なんて追いかけて来たんだろう?」
「ああ。しかも特待だからな。兄貴としては…それも辛い」
「ちいだって、2年からは特待だろ?すごく努力したんじゃないか?」
「多分な。あいつは勉強は嫌いじゃないって言っているけど、相当勉強していると思うぜ」
「それで、ハイレベルな学校を志望していれば誰も文句は言わないんだけどな…」
「ああ、ちいらしいと言えばそこまでなんだけどな。あいつは、一度自分の限度って奴を見極めているからな」
「俺…それ知らない…」
勇也はびっくりして俺を見ていた。
「あいつ、ああ見えてさ、中学2年の時の競泳400メートルの県大会のファイナリストな。でも、あの頃のあいつはそれでも納得はしていないだろうけどな」
「ちょっと待てよ。中2って事は3年は?」
「シーズンオフに入って、病気で入院してブランク作ったからって、そのまま辞めた。元からすぐにでも泳ぐのを辞めたがっていたからな」
ちいは泳いでいた事実を高校では全くと言っていい程明かしていない。
あの頃よりもスタイルがいいのは、あいつなりに管理しているせいだろう。
「線が細いからてっきり…」
「あいつは体育よりも、アスレチックとかが好きだからな。一緒についていくとあいつのタフさに驚くぜ」
「行くのも楽しみだな。君塚公園にあるから行ってみるか?」
「それもいいな。じゃあ、俺達が家を出る前に企画するか」
side勇也
「直也…ありがとな」
「別に、俺は何も」
直也はそんな事wお言っているが、それは違う。ちゃんとやってくれる。
俺にも、あいつ等にも気を配っている。
ただ…、あいつ等には一つだけ嘘をついている事を俺は知っている。
「直也はいいのか?千世さんとは本当は何もなかったって言わなくって…」
「いいんだよ。知らなくてもいいことだってあるんだ」
直也だって本当は、ちいちゃんが好きなのに、ちいちゃんが智を選んだから俺と一緒んい関西の大学に進学するっていうのに…。
「後は、あいつ等に任せよう。きっと大丈夫だ」
俺は想う。後一年で、彼女が本当の笑顔を取り戻せる日が来るようにと。
残りは、智とちいなのですが…諸事情の為…しばし休憩します。




