Parallel 君と二人で 生徒会組
昼休みにちいとまなと直也と有也が集まっているところから始まります。
「悪いな。皆に集まって貰って」
昼食後に、私とまなは生徒会室に入った。今いるのは、私とまなとなお君と有也君。
「ところで、今日は?」
「放送聞いたらだろ?明日は休校だしな」
「…って事は」
嫌な予感がすごくする。本音を言うと、聞きたくない。
「今から、中等部入試の最終確認な。保護者の接待はちいとまな」
「はーい」
「了解」
「俺と有也と弟は受験票の再発行な」
「ああ」
「集合は時間厳守で。よろしく」
今回の打ち合わせは多分これで終わりだ。校内の巡視は野球部とバスケ部にお願いしている。
特に問題がなければ、こんなことでわざわざなお君が呼びだすなんてことはしない。
この程度なら、帰宅後の電話連絡で十分なはずだ。そんな事は過去にもあったのだから。
「ちい、お前…理絵に何を言われた?」
それは…今ここで言う必要があるのだろうか?卒業前のなお君を巻き込むのは気が引けた。
「ちいちゃん、俺もなおも、ちいちゃんにしてあげられるのは、今回で最後。だから、今回は甘えて?」
有也君に言われると、私が素直になる事が分かっているから、最初からその作戦のつもりだろう。
大きくため息をついてから、私はゆっくりと話を始めた。
「あのね…体育の前に呼び出されて、私はすぐに人の彼氏を取るんだから、私の彼氏に近寄らないでって…さ」
理絵に近寄らないでって言うけど、私は2年前のあの日以来、彼とは会ってはいない。
彼の話は創君や智子ちゃんから聞いているから、多少は知ってはいるつもりだ。
当のゆう君の方も、ゆう君と別れてからの私は男癖が悪いみたいだと言っているようで、創君と軽い喧嘩になったと智子ちゃんからは聞いている。
「…ったく、あいつは、どこまでお前に仕掛ければいいんだか」
「それよりも、あの男に会ったりしたのか?」
「まさか。すれ違いはあるかも知れないけど、2年前のパーティーで見かけたのが最後だと…思う」
「そうだよな。文化祭は会わない様なタイムテーブルにしていた訳だし」
「…やっぱりね。創君がいたのだって、その為でしょ?そんなに…私って頼りない?」
私は今まで思っていた事を初めて口にする。そんなに私は子供に見えてしまうのだろうか?
「そんなことはないさ。ちいが口を閉ざしているのを、逆に利用されていないか?」
「有也君、それはあるかもしれない。だとしたら、理絵の狙いはどこになるの?」
私は状況が良く分からないから、確認することにした。
「今回はちい一人の場所じゃないよな」
「うんクラスの子たちがいたからね」
今回は章代を含めたクラスメートがその場にいた。
「そこじゃないのか。今までは自分のテリトリーだったけど、ついに文系に手を出したんじゃ…」
「それは、ないとは言えないな。ちいは…どうしたい?」
なお君が私に問いかける。私…どうしたいんだろう。
ただ、穏やかに過ごしたい。それだけなのに。ひっそりと過ごしているのに、どうして私を表に引っ張りだそうとするのだろう?理絵だって、私を相手にしなければそれだけで済む話なのに。
「ちいは…今は好きな人がいるよね?」
今までずっと聞いていたまながゆっくりと口を開く。まなは何が言いたいんだろう?
「うん。その位はね。でも、気持ちを伝えるって考えは全くないわよ」
「それは、それでいいの。ちいには、片思いの相手がいて、富田君なんてどうでもいいになると思うんだけど…一時しのぎにはならないかしら?」
「それは…最後の切り札だからな。今はちょっと…他に何かないかな?」
まなのアイデアは今は使えないと言う事でダメになってしまった。
まなのアイデアは今回の言いがかりを一蹴出来るだけの破壊力がある。クラスの方は…部活の仲間以外の男の事接触をほとんど持たない私を知っているから、今回の理絵の発言には冷ややかに見ている。
そろそろ、中学の時とは、状況が違う事を理解すれば、労力の無駄と言うのが分かるはずなのに…。
「今回は正攻法でパーティーの後は一度も会っていないし、連絡もとってない。彼にまつわるものは何も残っていないのに…と言ったらどう思う?」
本当はそんな事はない、たった1枚だけ写真を残してある。もちろん、その事は誰にも言っていない。
優しい嘘は少し位ついてもいいとおもう。たまには、自身を守る為についてもいいと思う。
「俺はそれでもいいが、ちいはどうだ?」
「自分で言ったんだから、いいに決まってるじゃない」
「けど…いいのか?ちいの前の彼氏が理絵の今の彼氏って知られても…」
有也君が私に聞いてくる。なお君は何も言わないで私を見ているだけだ。
「知られたら、方法を変えればいい。理絵は彼に対してすごくのろけているしね。私は逆にそう言う事は隠したい。聞かれたとしても、もう過去の事で、終わった話。いつまでも、過去に縋りたくないって言えば、普通の人なら分かると思うんだけども。それに、いつまでも2年前なままな訳がないじゃない」
私は3人を見る。今、言った事には嘘はない。完全に立ち直っているのかというと…まだかもしれない。
まだ、全ての真相を知りたいと思う自分がいる。知って何かをしたい訳じゃないけど、小魚の骨が刺さったままが嫌なだけだ。
今の私にはそんな程度でしかない。
「まなの切り札程ではないけど、お前が言う事で理絵にはダメージになるだろう。今までは、恋してないだけで逃げたお前が恋をしていると言う事で相手探しが始まるぞ。その覚悟はあるのか?」
なお君は、私を見ている。今まで、守りしかしていない私が責めるのだから、そうなる事は仕方がない。
「卒業確定まで、後1年切ったからね。それにドンドン理絵はエスカレートしている。言うと言っても全てを明かす訳じゃない。相手が誰かは絶対に書くし通る。あいつから何かをされるのは私一人でいい。好きな人を守れないそんな弱い子ではいたくない。私は…もう2年前の…あの時の私じゃない。なお君と有也君からもたくさん教えて貰ったよ」
私は二人を見る。全てを拒絶していた私をこの場所に連れて来たなお君。
有也君からは自分が優位に立ったうえでの交渉術や自分を守る知恵を教えて貰った。
「二人とも、来月には卒業だもの。私も…二人から卒業する。この2年、ほとんど泣かなかったのは二人がいてくれたからだと思ってるよ。これからはまなと太一達とやっていく。あっちは…渡した全て引き受ける。私が一番暇だからね」
「お前の進路って…まさか」
「進学はするよ。専門学校だけども。予備校にはいかないけれどもワープロスクールとかに通う予定」
私の進学先を聞いたなお君は驚きを隠せないようだ。
「それでいいのか?」
「うん、週末アルバイトをしていて思ったのは、自立するならオールラウンドに事務の知識がないと無理だなぁってね。11月に秘書検定を受けて受かったんだ。6月には2級を受ける予定なの」
「お前の目下目指す所は?」
「専門学校の推薦枠。その為には、今の成績を維持しておかないと」
「…って、お前の成績なら充分だろ?内心も文句はないだろうな。だから時間がある…か」
「うん、知識の維持はしたいから、とりあえず、国立文系な章代と同じ教科を選択した。ごめん、まな。来年も数学教えて?」
「いいわよ。文系数学だと、私にとっては出来て当然のレベルだから。」
「ありがとう。だから、二人は安心して卒業して?」
自分で考えて決めた道だ。もう、後ろは見ない。前に進むだけ。
「お前はもっと甘えていいと言っても、お前は十分甘えてるって答えるからな」
「その通り。私は女の子らしい女の子は止めたんだから」
私は女の子らしい女の子でいたい訳じゃない。女の子でいたいのは好きな彼の前だけで十分だと思っている。
もちろん、今はその時じゃないけど、その時が来るのは全ての問題を解決した後でないと。
私の最終目的は、まだ今のメンバーに伝えていない。それだけは明かせない話だから。
ここから、まなルート・直也&有也ルート・ちいルートに分岐します。




