Parallel 君と二人で S高組 起点
ちい:高校2年の1月の話です。いつ雪が降ってもおかしくないような朝の日が起点になります。
「おはよう。今日も寒いねぇ」
私はいつも早く着ている太一に声をかける。
一年生の時からの同級生の彼。彼とは同じ部活でもあるから、部活のある日は一日ずっと一緒だ。
「そうか?俺…寮だから。あんまり寒いってないや。悪い」
「そうよね。少なくても太一のその服装で自宅から学校に来たら確実に風邪を引けるわ」
「それだけ…寒いのか。気をつけないとな」
太一はセーターとシャツだけで校内は過ごしている。
一方の私は寒がりなので、太一とは逆にこれでもかって位に着くぶれている。
私は自分のロッカーにコートとマフラーを置きに行く。
「マフラーか。その位はいいなぁ。ちい、家庭科の時の毛糸って残ってるか?」
「あるはあるけど、どうかした?」
私はロッカーからひざかけを持って自分の席に戻る。
窓際の一番前。私の前にはストーブが鎮座している。
けれども…私にとっては寒いので、ひざかけは必需品だ。
「その今着ているセーターはお前が授業で編んだものでいいんだよな?」
太一は私がジャケットの下に着ているセーターを指差す。
確かに私が2学期に家庭科の時間に自分で編んだものだ。
「うん、そうだけども。どうしたの?」
「俺にマフラー編んでくれない?お金は払うからさ」
お金か…。太一との仲ならば、お金なんていらないんだけどな。
毛糸は部室に残っているから、編もうと思えば今日中に編みあがるかもしれない。
「了解。手数料は、食堂でカフェオレ奢って?多分、部室に暇つぶし用に残していたのがあるから作れるよ。模様編みじゃなくていい?」
「文句なんて言うかよ。でも、食堂のカフェオレなんかでいいのか?」
「うん。確か…今日って、1時間目が自習で、次が体育でしょ。今日の体育は出席を取ったら、章代と一緒に化学準備室に遊びに行く予定だから。その時に作れるから今日には出来上がるかもしれないよ」
「体育をサボるって…いいのかよ?」
「うん、今日はバスケットって言ってたから、やらない予定だったし」
「それなら頼むか、暇つぶしって何を作るつもりだったんだ?」
「1学期の家庭科で作ったクッションのカバー。私らしいでしょ」
「お前らしい。それじゃあ、部室に行くか」
私と太一は職員室に向かう事にした。偶々部室の鍵を持っていない為、職員室に借りに行く。
職員室の前で、健と章代と一緒になった。
「おはよう。どこに行くんだ?」
「部室。スペアキーを俺達持ってないから」
「俺が持ってる。それじゃあ、部室に行こうぜ。それにしても寒いよな」
「本当に。それにしても、二人とも今日は早くない?」
丘を越えた住宅地に住んでいる二人は、いつもは自転車通学だからホームルームの直前に登校する事が多い。
「雪が降るって言うから、流石に自転車は止めた。これだけ冷えてるから、すぐに降ってくるかもしれないぜ」
「私も今日はひざかけ教室で使おう。私も取りに行く。まなちゃんは使うのかな?」
「どうだろう?一緒に持って行ってあげて、使わないって言うなら、私が預かっておくよ」
「それでいいか。それじゃあ、行きますか」
私達4人は本館2階の特別教室エリアに入る。ここにあるのは視聴覚室と、生徒会室と進路指導室とLL教室と理事長室だ。
普通の生徒だと、LLの授業の時にしか使わないから、ほとんど来る事はない。
他は、私達英語部か、生徒会役員しかいないと断言できる。
私達は部室も兼ねているLL準備室の鍵を開ける。先生達はここの鍵は持っていない。
基本的にこの部屋を使うのは英語部の私達だけだ。
「ところで、ちいは何しに来たのさ?」
私は、一目散で、自分の私物を入れてあるバスケットを探し始める。
「私?あったぁ。太一、これだけあれば十分できるよ。雪が降ったら、本当に寒いから今日はコートくらい取ってきた方がいいと思うけど?」
「そうだな。二人が歩いてきた事が、深刻にとらえた方がいいよな。コート取りに寮に帰る。それじゃあ、頼んだぜ」
太一はコートを取りに寮に戻って行く。
残された私は二人に太一のやり取りを説明した。
「なるほどな。で、体育のサボりはどうしてだ?」
「えー、今日はゆかりちゃんの来る日だから、一緒にお茶をする約束してるの」
章代が私の代わりに答えてくれる。先週、ゆかりちゃんとお茶した時の約束したからだ。
いつもサボっている訳ではない。先生がいるときはちゃんと体育はやっている。
先生がいない時位、何をしてもいいと思うんだ。
ゆかりちゃんは、1年生の時の化学の先生。文系クラスに籍を置いている私達は化学のセンスはなかったけれども。ゆかりちゃんとは仲よくしているのだ。
「あんまり、お前ら派手なことをするなよ」
「分かってる。そこまで馬鹿じゃないわよ」
私達は口をそろえた。
「ところで、ちいは今日も広瀬先輩たちと一緒か?」
「君塚の駅までね。そこからは今は真奈と一緒だよ」
「ふうん、帰りは?」
「帰りは暗いから、なお君達が家の前まで送ってくれる」
「…で、なんともないのか?」
「それって、どういう意味?」
健が私に聞きたい事は分かっている。
でも、その答えを私は行ってもいいものか躊躇う。
「お前の噂…知っているんだろう?」
健はゆっくりと言葉を選んでいる事は分かる。
「その位は、誰が言っているのかも…分かってるよ」
「ちい。私達は信じてる。ちいがそんな子じゃないって事は」
「章代。ありがとね」
私は微笑んで、二人と見つめた。二人は納得した顔でない事は分かる。
「反論をしたら、火に油を注ぐことになりかねないの。だから…私は何もしない。手元に証拠が集まって、その時が来たら、私は動くから。大丈夫よ」
「その時って、おまえいつになるんだよ?」
「うーん、後10ヶ月後位?」
「そんなのんびりと構える事態じゃないの分かってないのかよ?」
「でもね、今、当の本人に訴えても、倍にしてやり返されるのがオチよ。私はそこまで馬鹿じゃない」
「ちい…。彼女と過去に何があったの?明らかにおかしいよ。」
「章代。ごめん、まだ…過去の事は…もう少し時間をちょうだい」
「お前、そんなに抱え込むなよ。我慢は美徳じゃないんだぜ」
短気な健が語気を荒げた。二人の気持ちは痛い位に分かっている。
「気にしてくれるのは凄く嬉しいよ。ありがとう」
二人に私は感謝を伝える。どうしても、最後の判断を私は躊躇っていた。
二人に、私の過去の事を離す事を。
いつかは伝えないといけない。その事で、二人と傷つけてしまうのでは?と思ってしまう自分がいる。
成り行き上、太一と真奈は私の事は知っている。けれども、二人とも部活の中ではその話をしない。
自分の行動選択方法がこれからの皆に関わると思うのと怖かった。
それは生徒会仲間に対しても同じ事で、今回で会長を引退するなお君に代わって太一が選挙を経て生徒会長になる。
とも君は、副会長で、もう一人の副会長は化学部の杉山君を有也先輩がスカウトしてきた。
今思うと、なお君にかなり甘えていた事が良く分かる。3年生になったら、今の様にはいかない。
その事を誰よりも焦っているのは私かもしれない。
これから怒る事が漠然とした不安でしかなかった。
ここから、更に同級生組・生徒会組に分岐して更に個別に分岐します。
次は同級生組です。




