番外編 ブルームーンに願いを
ちいがブルームーンを見ながら、何か願いをかけるようです。
私はベランダにレジャーシートを敷いて、豚さんの蚊取り線香を隅におく。
空にはブルームーンの明かりが降り注ぐ。この月を見たのは母が亡くなった時が最初だと思う。
「あれからかなりの時間がたったなぁ」
私をめぐる環境はここ9年でいろいろと変わっていった。
私の家族…戸籍で見ると私しかいない。住民票にするとおば家族もいる。
どうしても、佐倉の姓を残したくって、養子にすると言ってくれたおば達の願いを突っぱねた。
佐倉でいる事が、父と母と繋がっている唯一の証拠な気がしたから。
私の願いを尊重してくれた親族には感謝はしている。
おば達は私を養子にして財産を乗っ取るつもりだったらしい。
一部の財産は乗っ取られた。返金するとは言っているけれども、信用はしていない。
返済は一応あるけれども、振り込みという条件で受け入れたはずなのに、手渡しだ。
家を残したい気持ちはあるけれども…今後の私の人生によっては、おば達に売り渡して私はここから離れてもいいかなとも思っている。
私の友人もかなり変わってしまった。
スイミングクラブを止めてしまった事が最大の原因だろうけど、自分の限界を超えて競技に拘っても体を壊したら意味がなかったわけだし。
小学6年生の卒業前に広瀬を助けたことから、軽いいじめに発展したまま中学生になったのがちょっとした不幸かも。
でも、そんな上辺だけで左右される友人を望んでいたわけじゃなかったから、悲しくもなんともなかった。
ただ、親友の静香には学校での接触を極力避けるように頼んでいた。
彼女を私のごたごたに巻き込むのは嫌だったから。
クラブの友人達とは、一時期疎遠になってしまったけど、今はマメに連絡を取り合っている。
時間が合えば月に一度ペースでファミレスご飯を食べたりしている。
そこは几帳面なメンバーが多いお陰だと思っている。
2月に私が失恋をした時には、かなり取り乱してしまって、皆にはかなり迷惑をかけてしまった。
それがきっかけで、今ではかなり仲よくしている。
私にとっては宝物みたいな存在だ。
失恋と言えば、こないだ創君は優君に彼女が出来たと言っていた。
誰とは教えれくれなかったのは…多分私が精神的に不安定になるのを考えてのことだろう。
創君は昔から人の気持ちを察して行動できる人だから。
彼が前に進み始めたのは、いいことだと私は思っている。
私も前に自分なりに進みだしたと思っている。
「ねぇ。私もそろそろ恋をしてもいいのかな?」
私はブルームーンに話しかける。
「もしも…私の願いが叶うのなら…聞いて貰えないかな?」
私はまだ…誰にも明かした事のない想いを月に向かって語り始める。
「次の恋は…暫く…誰にも知られたくないの」
「次の恋も、あんな形で壊されたくないんだもの。あんなに辛い想いをする恋はもうしたくないの。だから…私に寄りそうようにいてくれるあの人への片思いのまま、卒業がきまるまでは片想いでいたいの?それって我がままなのかな?」
あんなに辛い恋の終わり方はもうしたくない。嘘をついてまで終わらせる恋は悲しいと思う。
「もしも…私が想っている人が私の事が好きだとしても…告白されても卒業まで答えたくないって言うのは我がままなのかな?」
「今度の恋は私が彼を守ってあげたいの。その為なら…私はどんな事をしても彼を守る。守って見せる。それがどんなにバカげたことだとしても」
次の恋は守ってあげる恋がしたい。
それは私の中では譲れない。
「今度のブルームーンが見れるときには…結論が出ていると思うから。その時は報告しますね。見守って下さいね」
私は暫く一人でブルームーンを眺めた。
今は遠くからあの人を見られればそれでいい。
危険な事がないか見守って上げられればそれでいい。
そんな想いを…そんな決意を…今宵の月に願う。
今度の恋は、変な圧力がかからないように、悟られないように。
今は私の心の奥底に沈めておこう。
「さあ、明日も頑張りますか」
私は決意を新たに月に誓うのだった。
お相手は明かせません。私に寄りそうあの人がキーワードです。
月に願った事は…はたして成就できるのかどうか…。
それは私の腕次第(って、こらっ)




