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宿題をやろう 義人

「だから、どうしてこんなに残している訳?」

「…ごめんなさい」

「これは…今夜はうちに泊まりなさいよ。限界までやるんだからね」

「お前…学校は?」

「あるけど?義人だってそうでしょ?」

「俺は休み。だから留守番しててもいいか?」

「了解。朝ご飯は作ってあげるから。さあ、マックで買ってきたもの食べよう」



午前中、プールで体を動かした私達はお昼をマックで食べてから皆で義人君の宿題を手伝っていた。

さすがに皆飽きた所で現地解散になって、私と義人君は夕飯をマックにすることにした。

暑いのに熱い思いをして食事を用意する気にはならなかったからだけども。

「とりあえず、一度家に帰ってね。お泊まり道具持っておいでよ」

「分かった。おばさん達は?」

「いないよ。今更…そんな事を気にする関係じゃないでしょう?」

「まっ、そうだな」

義人君はちょっと焦ってたみたいだけども、うちには義人君達が泊まれる部屋がある。



「でも…専門教科は全部終わらせたんだからな」

「そうだね。それは私には無理だものね。来年はもっと早くから始めて下さいね」

「…努力します。今もその話題だと飯がマズイ」

「そうね。とにかく食べよう。折角だからかき氷食べようか」

私は冷凍庫からかき氷を取りだした。残り2個しかないから今日食べても構わない。

「いいのか?」

「いいんだよ」

休憩を兼ねて私達は縁側に移動してかき氷を食べ始める。

口の中でとける氷の感触が昔家族で食べた時を思い出す。

今まではそんなことなかったのに…こないだも創君に頭を撫でられて父の手を思い出した。

自己の記憶が徐々に風化していくにつれて覚えている事は鮮明になっていく。

それだけ…私自身は寂しいのだろうか?



「どうした?」

「ちょっと…幼稚園の頃を思い出した。皆でこうやってかき氷食べながら天の川見たなぁって」

空には天の川が見える。雲がないせいか、いつもよりもくっきりと見える。

「そっか。それは…こうやって一人でいることが多いからだろう?」

「なのかな?」

「多分な。お前はもっと思ったままに行動してもいいんだよ」

「よっちゃん…そんな事言ったって…」

「懐かしいな。お前が子供の頃に俺の事そう呼んでたな」

「うん。何かね…呼びたくなったんだ」

「そっか。ずっと…よっちゃんって呼んでもいいんだぜ?元々はそういう関係なんだから」

「そうだね。私が変に気にしたせいだもんね。ごめんね」

「もう、ごめんねは言わない。それよりも相変わらず体が細いなぁ」

「否定も肯定もしない」

「それは女の子だから…華奢なんだよな。俺もいつからお前を女の子って意識したのかなって思ってさ」

「よっちゃん?」

「気にするな。お前はお前でいいんだよ。さあ、残りの宿題を始めようか」

「そうだね」



朝、陽射しがまぶしくて私は眼を覚ました。いつもなら…こんなに眩しいことはない。

そういえば、昨日はよっちゃんが宿題をやりに来て、そのままずっと勉強してて…。

って事は…ある事を思い出して、私は急いで起きた。

私が寝ていたのは、普段はよっちゃん達が寝ている部屋。私の隣によっちゃんが寝ている。

じゃあ…よっちゃんが布団を敷いてくれたんだ。悪いことしちゃったな。

「よっちゃん…起きれる?」

「あぁ…起きたか?おはよう」

「ごめん…私…」

「嫌、俺の方が悪かった。お前は12時過ぎまで頑張ったんだけどそこで寝ちゃったから布団を敷いて寝かせたんだ」

「そうだったんだ。ありがとう。でも…人には言えないね」

「何もしてないけどな。一緒にお泊まりは…内緒な」

「おばさん達が変な心配しちゃうものね」

「悪い。俺、お前が帰ってくるまで寝ててもいい?」

「いいよ。うちのおばさん達は明日の夕方までいないから」

「じゃあ、ゆっくり寝かせて貰うな。宿題は終わったから」

「だったら、帰ったら…千葉にでも遊びに行く?ランチも兼ねて」

「それ乗った。帰ったら起こしてくれよ」

そう言うと彼は眠ってしまった。

何もないとは言っても…マズイよね。男の子と一晩同じ部屋って。

自分のうっかりな性格を少しだけ呪う。

時計を見ると6時を指している。私は慌てて学校に行く支度をしたのだった。



私達の最初の夏休みが終わっていく。それぞれの想いを秘めたままに。

とりあえず、皆宿題は終わったみたいですよ。

やらずに学校に行き出したうちの息子とは大違い(笑)

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