宿題をやろう 直也
「ちい?宿題終わったか?」
「もちろんですよ。なお君…人に丸投げするつもりじゃ…」
「おぉ!!良く分かったな…ちょっ…引っ張るな」
私はなお君を引っ張ってなお君の指定席に座らせた。
「仕事はしなくてもいいです。今、ここで宿題をしてください。いいですね?」
「えぇ。それはちょっと…」
「何ですか?私以外にもこれから役員が全員揃うんですから皆で終わらせましょう…直也先輩?」
今日は役員が全員学校にそろう日だ。体育祭の運営の打ち合わせをすることになっている。
打ち合わせを適度に済ませてから、部活に行こうとしたのでしょう。
机の後ろにある、シューズを見て溜め息をついた。
「部活には行かせませんから。期末テスト前のレポートだって他力本願だったじゃないですか?少しは自力でやって下さい。もう尻拭いはしたくありません」
「お前には英文法と地理の宿題を頼もうと思ったのにな」
「地理はともかく、英文法は自分で解いて下さいね。参考書とかは置いてあるので出しますよ」
私はロッカーから教科書等を取りだした。
自宅では、教科書ガイドを使っているから、基本的に教科書を持って帰えることはしない。
実際に夏休みでも生徒会の活動とか学校の夏期講習とかで学校に来る事があったので、必要な時に必要な教科書を持って帰っていた。
「分かったよ。降参。で、俺はどうしたらいいんだよ」
「そうですね。やっていない宿題を全て机の上に出して下さいね。見栄は張りませんよ」
「はいはい。これだけだよ。今持っているのは」
机の上にこんもりと山が出来上がる。その図を見て、私は呆れていた。
「もうすぐしたら、他の役員もきます。打ち合わせが終わったら、皆で分け合って片付けますよ。いいですね?」
「見逃して…」
「ダメです。仮にも次期生徒会長さんでしょうが!!千世先輩に泥を塗るようなまねはしないでくださいね?」
私はなお君を見てにっこりとほほ笑んだ。
心成しか、なお君の顔が引きつっているようにも見えた。
「いい加減、諦めて下さいね?なお君」
私はなお君に言い放つと自分の作業を進めるのだった。
「直也…お前去年といい…今年といい…全く…」
「そんなこと言うなよ。お前達が頼りなんだから」
「ちいちゃんは、どうしたらいいと思う?」
「そうですね。やってあげるのは簡単なんだけども…それはなお君の為にはならないよね」
「確かにその通り。だったら、明日の作業は皆終わっていない宿題を持ってきましょう」
「了解」
「これだけのメンバーがいれば全教科終わりますね」
なお君があまりにも宿題をやっていない事が判明してしまい、明日の生徒会は皆で宿題になった。
千世先輩も堪忍袋の緒が切れたってことなのかな。
たまには痛い思いをした方がいいと思うんだ。
なお君はいつも俺様で強引だから要領よく物事を済ますんだけども、そろそろ自力でどうにかした方がいいと思う。
そうじゃないと、ちゃんと宿題をやった人に対して失礼だと思わない?
「おはようございます」
「……」
朝、いつもの時間になお君が自転車で待っている。
いつもなら、何らかの返事があるのに今日は返事すらない。
機嫌が悪くても宿題は減らないのにね。いい加減諦めたらどうだろう?
「なお君?」
「んあ?」
「人間諦めが肝心ですよ」
「お前に言われたくない」
「そう言われても困ります。今日中には終わらせてもらいますよ」
「そうしたら何かあるのか?」
要は、ご褒美が欲しいということですか。そうですか。
「先輩達と決めますから、サクサク消化してくださいね」
「俺は…まっ、いいか」
なお君は何かを言いたかったらしいけど、言わなかった。なんだろうね。
「おっはようさん」
「ちゃんと来たわね。ちいちゃんは本当にいい子ね」
私は先輩達に頭とぐりぐりと撫でられた。
「ぐしゃぐしゃじゃないですか…」
「細かいことは気にしない。さあ、宿題を始めましょう。直也と連れてきたちいちゃんはご褒美ね。はい」
千世先輩から私はキャラメルをご褒美に貰った。
その後は、先輩達が順番になお君を指導している。
「…お前は馬鹿か?いい加減に覚えろ」
「直也…訳が違う。それに漢字も違う。弟と一緒に中学3年やり直したら?」
「もう少し、俺様を優しく扱えよ。ここぞとばかりいじり倒しやがって」
『当然でしょ?いつもこき使われてるんだから』
私達は一斉になお君に言い返す。
たまにはこんな事があってもいいと思うんだ。
「ところで、ちいとまなは何をしているの?」
「私達は宿題が終わってるので、数学が進んでるまなちゃんに教えて貰ってるの」
「私はちいの方が英語の予習が進んでるから、ノートを参考にして予習してるの」
「一年生はちゃんと宿題が終わっているんだ」
「はい、私達計画立てて講習中に終わらせましたよ。ダメなんですか?」
「でも、宿題なくしたくないから、もう提出したんだ」
「抜かりない…。この二人私達の自慢の一年生だわ」
「これで、成績が伴えばいいんだろうけど」
私とまなちゃんの成績はそんなにいいわけではない。
期末テストの順位も総合で50番内にはいるけど、苦手な教科は載っていない。
「二人は今のが終わったらどうするの?」
私達は二人で少し話しあってから答えた。
「私達は互いに苦手な科目が得意分野なので教え合うことにします。先輩達はなお君に専念してください」
「そうですよ。直也先輩、このままじゃ明日も宿題やらないと困るんじゃないですか」
私達は顔を見合わせて笑った。
「おい、直也。お前一年生に同情されてるぞ。そこはどうなんだよ?」
「大丈夫だよ。直也はやればできる子だもの…ね?直也?」
皆にからかわれたなお君は天井を見て叫んだ。
「俺の高校2年の夏休みはどうなるんだ?お前らよぉ」
私達はその叫びには答えないで、自分達のやる事をやるのだった。
頑張れ…なお君…。
青春っていいよね…ver直也でした。
生徒会メンバーが初登場しております。
本編2章以降ではちょこちょこと出てまいります。
(って言いながら、出なかったらどうしよう)




