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parallel キラキラヒカル with創

高校卒業後の二人は同じ国立大学に入学します。

それと同時に創の家で事実婚生活を開始します。

そろそろ周囲に事実婚をしているというタイミングを計っている二人。

二人はどこで流星群を見る?

「ソウ…いる?」

「あぁ、こっちにおいで」

私は彼を探して家を歩き回っていた。彼は庭に面した縁側に座っていた。

彼の膝の上にはビリーがチョコンと乗っかっている。

私は彼の隣に腰を下ろした。生垣から入ってくる風が心地よい。

「ビリーは痩せちゃったな」

「夏毛だからよ。それにこの子元から小さいもの」

「そっか。俺、動物飼ったことないからさ。驚きなんだ」

「私だって、義人君がビリーを連れて来るまで飼ったことなかったわ」

私達は顔を見合わせて微笑みあう。

ささやかな幸せな時間が私達を包む。



卒業が決まった時に、彼とこうなるだなんて私は…何も知らなかった。

「今でも夢みたい」

「どこからが夢だと思ってるんだ?」

「うーん、全部?」

ふうんって生返事をした彼は、私の頬を左右に引っ張った。

「あにひゅんにょ(何するの)」

「痛いだろ?ちい?だから…夢じゃない」

子供みたいな事をされて、怒りたいけど怒れない自分がいる。

痛いんだから…現実。私は今彼と一緒に暮らしている。

きっかけは、私と彼の大学合格だった。

付き合う前に偶然二人の志望校が同じだと気がついた。

それからは、時間を合わせてずっと2年間勉強していた。

予備校も同じ学校に通った。夏の講習は、費用がかかるから二人で授業をシェアして

結果的に全教科を勉強した。

不安だったセンター試験も何とかクリアして2次試験もクリアできた。

4月からは私は商学部に彼は法学部に進学ことになった。



そんな中、私の部屋探しが始まった。

ペット付きでの部屋探しはそんなに簡単ではない。

家から通えるから、部屋探しを断念しようかと思っていた時に、意外な所から助け船が出た。

彼の両親が、彼の祖父母の元に引っ越すという。

元々は地元の人でいない彼の両親は、彼が大学はいるころを目安に地元に戻る計画を立てていたという。

職場の異動届けも受理されて、春から地元の近くの支店勤務になるという。

彼一人が暮らす家に一緒に暮したらどうだ?と誘われたのだ。

流石に図々しいから私は一度断った。そんな時、彼は私に言った。

「俺と一緒に暮らそう。俺が二十歳になった時に…籍を入れよう。それまでは…事実婚ではダメか?」

いきなりのプロポーズに私は驚いた。

「私でいいの?」

「ちい…お前じゃなきゃだめなんだ。お前が欲しい」

彼が私を抱きしめる。

「本当にいいの?」

「ちいは俺の事…愛してない?」

「そんなことないよ。だけど…」

「だったら…俺と暮らそう。もっと幸せになろう」

私は彼のプロポーズを受け入れて、彼の家での同居生活が始まった。

彼の両親は、少しだけねと言って自宅をリフォームしてから赴任地に行ってしまった。



「ソウ?今夜は何を食べたい?」

「今夜か…。ちらしずしって難しいか?」

「ちゃんと作ると大変。手抜きだと簡単」

「そっか。じゃあ、スーパーに行くか」

私達は簡単に戸締りをして、スーパーに向かう。ビリーはお留守番。

冷えすぎない程度にクーラーの入っている部屋で遊んでもらう。

私達は、アスファルトに暑さが残る夕方の道を歩き始めた。

彼の家の側には小さなスーパーが1件ある。簡単に済ますにはここで十分だ。

「全部買えそう?足りなければ、自転車で行くから」

「ソウ…ありがとね」

私は彼の名前を呼んでいたけれども、私をニックネームで呼ぶ彼からの提案で私も彼の事を漢字の読みからニックネームをつけた。



一緒に買い物をしていると、見知ったかつての同級生と会った。

「本当にお前達一緒にいるんだな」

からかわれるように感じる視線を私は嫌悪を感じて顔色が曇る。

「いいだろう?これから一緒に飯を作るんだから」

今までの彼だったらあり得ない言葉の返し方に私はびっくりする。

「えっ、お前達って…それって」

「好きに解釈しろよ。行くぞ。ちい」

彼は私の手を取ってスーパーを後にした。

「ソウ…いいの?」

「いいのも何もないだろ?俺達、中学の同窓会で交際宣言したじゃないか」



去年のクリスマス前に中学3年の同窓会をやったんだ。

あの時は付き合い始めてからまだそんなに経っていなかった頃。

乾杯の合図の後に彼が交際宣言をして私はびっくりして泣いてしまった。

その事は同窓会の間ずっとネタにされ続けた。

そういえば、あの時理恵はいたけれども…ずっと睨まれていた。

敢えて気がつかないようにしていたけど…やっぱり空気は悪かった。

気がついたら…理恵はいなくなっていたっけ。

あの日以来、理恵とも会っていない。優君とは冬の講習であったきりだ。

彼も同じ国立志望だったけれども、今は私立大学の工学部に通っているという。

彼も…幸せになってほしい。



「ソウ、ご飯仰いで貰ってもいい?」

結局、私達はちゃんとちらしずしを作ることにした。

ご飯を仰ぐのをわたしはソウに頼む。

ご飯に酢を合わせていく。ツンと鼻に感じる酢の匂いがもうすぐ出来上がる事を知らせてくれる。

その後に、五目御飯の元を混ぜてから、大きめのお皿に盛りつける。

最後に錦糸卵と塩ゆでにして細切りにした絹さやを散らした。

「お前も…大分料理できるようになったよな」

「だって…二人で食べるご飯は楽しいもの」

今までは…お惣菜を買って食べる事が多かった。今ではお金がかかるけれども作ることの方が多い。

コロッケとかは買った方が安いから買ってるけど。

私達もアルバイトをしているから、アルバイトの日はアルバイトがない人が支度をする。

私のアルバイトは休日がメインで彼は平日をメインにしている。

二人で同時に教習所に通って、同時に免許も取得した。

けれども、方向音痴な私はほとんど運転させてくれない。

専ら彼の助手席が私の定位置だ。

「今夜はどこで見るの?流星群」

「ベランダか、ロフト。どっちがいい?」



今の私達の寝室はリフォームで作って貰ったロフト。

私達が星が好きなのを知ってる彼の両親が天窓仕様にしてくれた。

結婚式を望んでいない私達に結婚のお祝いだと言っていたっけ。

「ロフトよりベランダが良くない?」

「そうだな。こないだベンチ組み立てたばかりだしな」

ベランダの前には天体観測用に木製のベンチを買ってきて組み立てたばかりだ。

買ってきてまだ天体観測はしていないから、今一番使っているのはビリーだったりする。

「後でベランダに出しておこう。さあ、ご飯にしようか」



ご飯の後に、一緒にお風呂に入った。一応節約生活なつもりなんだけど…できてるのかなぁ?

本当の事を言うと、今でも一緒に入るのはすごく恥ずかしい。

たまに抵抗をするんだけども、ソウに夫婦なのに…っていじけられてしまうから最近は諦めた。

「ちい?髪の毛伸ばすのか?」

「あぁ…成人式どうしようかな」

彼が私の髪を触れている。今は胸の下までで緩やかにパーマをかけてある。

「バイトは?」

「18日から短期が始まるの。月末までは朝と夕方…ごめんね。ご飯の用意ができなくて」

「いいよ。いつもはちゃんとしてくれてるから。俺の方は夏休みだから時間が早いから迎えに行くよ」

「いいの?」

「構わないさ。代わりにスーパーの駐車場に車を置いておくから夕飯買ってもいいし、ファミレスでもいいよな?」

ファミレスかぁ。嫌いじゃないけど…成人式後の春休みに新婚旅行に行きたくて今は二人でアルバイトをしてお金を溜めている。

「だって…俺達デートも基本的にしないだろ?」

「ずっと一緒にいるからね。夏休みになってからはアルバイト以外出かけてないね」

「…だろう?だからファミレスでご飯食べよう」

「…分かった。ところで、新婚旅行はどこにするか決めた?」

「俺、北海道でもいいかなって」

「海外じゃなければ、ゆったりと行けるね。今度行き先絞ろうね」

その後も、湯船でとりとめのない会話をするのだった。



「ちい…寝てたのか?」

リビングのソファーでうとうとしていた私に彼が問いかける。

「ちょっと長湯したみたい。大丈夫よ。今夜は私も楽しみだったんだから」

「そっか、じゃあそろそろベランダに行こうか」

彼は私を優しく抱き起こす。

「ソウは待っている間に何をしていたの?」

「俺?レポート書いてた。9月に提出が多いからな」

「無理しないでね?私も手伝うから」

「お前…専門外だろ?」

「知らなかったの?商学部の選択には法学部の基礎系統が多いのよ。先生も同じ先生が多いの」

「だから…商学部があるうちの大学にしたのか?」

「たまたま…よ。明日はゆっくり寝てから勉強しよう?」

「そうだな。ちいのアルバイトが始まるしな。大変か?」

「それなりに。命預かってる分…責任はあるけど、夢を叶えたから」

私のアルバイトはスイミングスクールのコーチ。

競泳時代の同期のうちの何人かで進路が決まった後に始めた。

私達が選手にいた時のコーチが支配人になっているから、私達も都合がつきやすい。



「お昼はどうするんだ?」

「お昼はね、同期の家がお蕎麦屋さんだから皆で行って食べるんだ。ソウも一回行こうよ…ね」

ヤキモチ妬きのソウは私の世界に引き込んで共有した方が安心できると思う。

「いいのか?」

「うん、私ね、皆に事実婚したこと言ってあるもの。それに電話番号も住所も変わったでしょ?」

「そっか。それはそうだな。じゃあ、今度顔合わせておこうかな」

「だったら…19日の短期の後に、神社のお祭りに皆で行く予定だから…一緒に行こう?」

「平気か?今から人数が増えて」

「大丈夫よ。そんなことに細かい連中じゃないもの」

「お前は何を着るんだ?」

「浴衣にしようかなって」

「ダメ!!」

ソウが強い口調で拒否する。

「ソウ?分かった。お祭りでは着ないけど、明日来てもいい?お墓参りに行こうね」

「俺が見るのはいいけど…他の野郎はダメ…いいか?」

「分かった…もう、ソウの奥さんなんだから…忘れてない?」

「奥さんだって…ヤキモチ妬くんだよ」

早口で呟いてから口を塞ぐようにキスをする。

そのキスをただ受け入れながら、ソウの気持ちが嬉しくて堪らない。



「なんか余裕があるみたいだな」

「そんな事ありません」

私は頬を膨らませる。

「そんな顔もかわいい。お前は全部俺のモノ…だよな?」

「当然でしょう?今更確認しないの…。あっ、星が流れてる」

ソウの肩越しに天体ショーが始まるのを確認した。

「凄いなぁ…。これを何人の人が見てるんだろうか」

「それなりじゃない?だって、1時間に60個位流れてるんだってよ」

「ずっと見てたら、お願い事たくさんできるな」

「ソウはお願い事があるの?」

「うん。すぐじゃなくていいんだ」

「何?教えて?」

私はソウの眼を見つめた。

「それはな…家族が増えますように」

彼は私の耳元で囁く。家族が増えるように…。

「すぐに妊娠した方がいいのか、社会に出てからがいいのかが考え物だな」

「そうだね。妊娠するなら、夏休みに出産か、春休みに出産かな」

「そうだな。子供は保育園だけども…仕方ないよな」

「うん、一緒にいるときはたっぷりと愛してあげましょう」

私は彼を見て微笑む。



「なんか現実になりそうだな。ちいが言うと」

「そうかしら?気のせいでしょ」

「だって、事実婚だって無理だと思ってたしな」

「アレは、ビリーのお陰でしょう。ビビり王子だけどね」

ベランダの片隅でボール遊びをしているビリーに目線を落とす。

「そっか。就職はどうにかなるから、先に妊娠することを目指しますか?ダーリン?」

「すぐにどうって話じゃないしな…今夜から…生でもいいか?」

「ソウは嫌って言わせないんでしょう?」

彼は私と抱きよせる。それには満点の星空の中を雨が降るように星が降り注ぐ。

「そこのところは、学部の先生と相談しようか。俺らの事を知ってる先生にな」

「そうだね。子供が子供を産んだって絶対に言われるんだもの」

「だったら…環境だけはしっかりしてやらないとな?奥さん」

彼が奥さんと珍しく呼んだのが可笑しくて私は笑いだした。



「俺なりに真剣なんだぜ?」

「分かってるからおかしいのよ」

「だって…ぶっ飛んでるでしょ?きっと。忘れてない?明後日静香達が来るのよ」

「そうだったな。あいつらはどうなんだ?」

「さあ?明後日ゆっくり聞こうよ。私達も報告しないとね」

「そうだな。愛してるよ」

「うん…私も」

私達は星空の下で唇を合わせる。合わせた唇から私と彼の想いが重なる。

いつかその思いは形になって私達の前に現れるだろう。

その日を楽しみに私達は愛を紡ぎ合うのだった。


最後の一人は…現役高校生な彼の場合。

どんなカップルになっているんだろう?

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