Parallel キラキラヒカル with秀紀
高校を卒業後の秀紀は体育教師になるために教育学部に進学します。
姉夫婦が結婚して同居の為、実家を追い出されてしまい、ちいの家の側に部屋を借りている…という前提です。
通りで聞きなれた車のクラクションが鳴る。
「ビリー行くよ。バスケットに入って」
私はビリーに話しかけて、バスケットの蓋を開けた。
ビリーはストンとバスケットに入って小さく鳴く。
「さてと、準備完了。ひで君の所に行こうね」
私は、両手一杯の荷物を持って、通りで待っている車の元に向かう。
「お待たせ。今日も暑いわね」
「あぁ…暑いなぁ…って、とも。お前浴衣…」
ひで君が私のいでたちを見て焦っている。
今日の私はアジサイ柄の紺色の浴衣に赤い帯に下駄。
夏には涼しい服装が一番いいと思う。
「安心して。私浴衣は一人で着られるの」
その分の着替えが多くなるけれども、ビリーを連れての旅行は日帰りでも大荷物になる。
ひで君は、バスケットからビリーを出して、膝の上に載せて何か話しかけている。
「入れ終わったわよ」
私はトランクと閉めてから、助手席に滑り込んだ。
「それじゃあ、行きますか。ビリーは俺の膝でいいのかな?」
ひで君は目線を下にしてビリーに問いかけるが、ご機嫌なビリーは喉を鳴らすだけ。
「まぁ、いいか。夏はやっぱり浴衣だね。いいねぇ」
「なんで?」
「だって。お前浴衣着れるんだろ?だったら…悪代官と町娘ごっこができる」
私は聞くんじゃなかったと頭を抱えた。
絶対言ってくるとは思ったら…早速言うんだから。
それって…いわゆる…裸エプロンに次ぐ男のロマンと言うやつなのだろうか?
男のロマン…私には理解できません。
「そうそう、この浴衣、週末に皆で会う時に着るんだからね?言いたい事は分かるわよね?」
汚されたら困るから私は早々にひで君にくぎを刺した。
「分かったけど…町娘ごっこ…」
「分かった。一回だけね…本当に…男の人って良く分からない」
私はそう言ってため息をついた。
「男が良く分からない?ともの…嘘付き」
「嘘付きってどういう意味よ?」
ひで君に嘘付きって言われて、内心穏やかでいられない。
「男を知ってる癖に…クスクス…」
ひで君はそう言うといやらしく笑っている。
中学1年まで付き合って、別れてからひで君の親友のゆう君と付き合った。
ゆう君から一方的な別れて精神的にボロボロだった私を支えてくれたのは…ひで君。
完全に立ち直るのには時間かかった。立ち直った私は…やっぱりひで君しか選べなかった。
再び付き合い始めたのが高校3年になってからだから、まだ1年と少ししかたってない。
「そっ、そんな言い方しなくってもいいじゃない。意地悪」
私は顔を真っ赤にして私は反論する。
私達が最後の砦を超えたのは、高校を卒業したその日。
卒業後、今の家に帰った時に、ドアの前にひで君が抱えきれないほどのカスミソウを抱えていた。
後で知ったんだけども、ひで君も家の事情で一人暮らしを始めるということ、その部屋が私の家から1分程しか離れていないという事だった。
「まだ…辛いか?俺と…その…するの?」
お互いに忙しい学生生活を過ごしているため、近くに住んでいるのに、そういうことになるとまだ体に違和感を感じてしまう。
「最初だけだもの。大丈夫だよ」
そう。私が痛みに敏感なのが原因だと思う。
「そっか。今夜も…いいよな?」
「う…うん」
私は頷いて俯いてしまった。私の顔はトマトよりも真っ赤に違いない。
「ほらっ、着いたぞ。まずはゆっくりしような」
海の見えるホテルに着いて私達は備え付けのソファーに腰掛けた。
夕飯つきの予約をしていたらしくて、流星群を見るから他の人より早めに食事をしたいって頼んでいたみたいだ。
「とも…っん」
ひで君と唇を合わせる。角度を変えて合わせる唇に私は自然を煽らされてしまう。
「ん…ふぅ…」
「なぁ…とも…お前が欲しい…ダメ…か?」
「汚さないんだったら…あぁっ」
私が答え終わるより前に浴衣の合わせからひで君の手が私の肌に触れた。
「前向きに努力します」
時折聞こえる波の音を聞きながら、私はひで君と溶け合うのだった。
「ほらっ、時間になったぞ。ビリーもリードつけような」
ひで君はビリーを抱いて私が持っていたリードをつける。
「どこで見るの?」
「うーん。折角だから海岸で見ようよ。その為にここにきたんだぜ」
「うん。それじゃあ…いこう」
私達は手を取り合って海岸に向かう。
「やっぱり、明かりがないと星の光は引き立つなぁ」
「そうだね。ほらっ、流れてるよ。家の近くでも見れるけど…少ないよねぇ」
「そうだな。それよりも初めてだよな。流星群を見るのは」
「二人きりはね。流星群は高原で見たでしょう?」
私達が3年生の夏休みに高原で見た流星群も本当に綺麗だった事を思い出す。
「なぁ…こうやって、これからも俺と見て行こうな?」
「うん。そうだね。一緒に見ようね」
ひで君に聞かれて、私は即答する。けれども…なんか間違って答えたかな?
ひで君が頭を抱えている。
「ごめん、言い方間違えた。俺の隣に一生いてくれないか?」
「それって…その…」
「そう、指輪は上げられないけど、俺はそのつもりだから。そのつもりでお前の事を抱いてるから。一度きちんと言っておきたかったんだ」
ひで君はそう言うと、下を向いてしまった。
「うん…分かってるよ。ひで君が軽い人じゃない事。私もひで君しか欲しくないから」
「じゃあ…流星群に誓えるか?」
「誓えるもん!!一生モンの恋をしているんだから」
私はキツイ口調でひで君の目を見て言う。
私達がここまで来るのに、かなりの回り道をしてしまった。
この回り道は…互いの存在を再確認するために必要だったこと。
今の私達はその事が分かっているから、もう過ちを犯すことは…ないだろう。
だったら…一生彼と寄りそいたい。
「愛してる…秀紀だけを愛してる」
空には降り注いでくる流れ星。彼に気持ちを伝えた私は彼にキスをする。
言葉だけじゃ足りないから、このキスで彼に気持ちを伝えよう。
ずっと…あなたを愛して行くと…。




