Parallel キラキラヒカル with優
本編・他のパラレルで誰かと付き合っていた優。
すったもんだして…結局復縁します。
彼と一緒にキャンプに行ってみる流星群。
流れる星に何を祈る?
「りん…やっぱり、お前がいい。ズルイ男と罵られてもいい。責められてもいい。帰って来い」
卒業式の後、体育館を出た私を待っていたのは、3年前に別れてからほとんど会う事のない彼だった。
彼は両手を広げて私を見つめる。立ち止まる私に対して、皆は微笑んで私の背中を押してくれた。
「ただ今、寄り道し過ぎて…ごめん」
「昔の事は…もういいの。私達はこうして戻るために必要だったのよ」
私は彼の背中に手を回して…自然と流れる涙を感じていた。
幸せでも…幸せでも勝手に涙って流れるものなんだね…ゆう君。
ニャーオ。ナーオ。耳元で私を呼ぶ声がする。もう…朝なんだね。
「おはよう。ビリー。ごはんにしようね」
私はビリーの餌をボールに入れてやる。それと同時に簡単に掃除を済ませる。
朝の5時。ほうきと雑巾を使う掃除をしても怒られる時間ではない。
私が雑巾でフローリングを拭いていると、私の足元をおもちゃにしてビリーがじゃれる。
ほんの短い朝のコミュニケーションのひと時。
猫なのに、外が嫌い。他の猫を網戸越しに見かけてもダッシュで逃げ出す。
水は嫌いなのに、お風呂は大好き。湯上りのドライヤーは私が辛い。
「今日はゆう君が来るよ。遊んでもらえるね」
ニャーンと鳴いて、ビリーは長くてしなやかな尻尾をパタパタ振っている。
「ビリーもキャンプに行けるんだって。良かったね」
ビリーはキョトンとして私を見ている。キャンプはさすがに分からないか。
「今日もいい天気だよ。いい子でいようね」
私は朝の日差しを部屋に入れるべくカーテンを開けた。
「お待たせ。りん。ビリー」
お昼過ぎに、ゆう君が私達を迎えに来てくれた。
「よろしくね。私も…取れたんだよ。免許」
ゆう君には内緒で通った教習所。
そのせいでデートが減ったんだけども…彼を驚かせたかった。
「おぉっ、でもオートマ限定だろ?安心しろ。この車もそうだから」
ゆう君は私とビリーの荷物をミニバンタイプの車に積み込んでいく。
私の荷物はあまりないけど、ビリーのものもあるから結構多くなってしまった。
「ビリーのトイレも用意したか?」
「もちろん。でも…匂い…どうしよう」
「大丈夫。ルームフレグランスを使えばいいだろう?ビリーも旅行に行きたいよな?」
にゃおんとご満悦にビリーは返事をする。
ゆう君の車に乗るのは、これで3回目。今までも後部座席にはトイレを用意していたからビリー自身もリラックスしているみたいだ。
今は、私の膝の上でゆう君を見つめながら喉を鳴らしている。
「それじゃあ、行きますか。お姫様」
ゆう君は私の手を取ってキスを落とす。
「ゆう君は…王子様?それとも執事?」
「俺は…従者でもいいかなぁ?」
ゆう君と再び付き合うようになってから、最初のうちは互いの溝を埋めようとしていた。
ゆう君が付き合っていた彼女に植えつけられていた…事実ではない私を否定するために。
この3年間、好きだと告白される事はあった。けれども誰も選べなかった。
すぐに断ることはした事はない。ゆっくりと考えて…結局はゆう君を選んでいた。
だから…卒業式に迎えに来てくれた時は夢なのかも思っていた。
今は、前以上に仲がいいと思う。
前と比べると喧嘩もしている。それも馬鹿馬鹿しい理由で。
こないだの喧嘩は、ビリーを互いに構いたくって大ゲンカ。
そんな日が来るだなんて思っていなかった私にはそれだけでも幸せ。
ビリーを連れて先月は海に行ったっけ。潮の香りに鼻をヒクヒク、波の音にびっくりなビリーを見て、笑いあったのも楽しい思い出。
今回のお泊りでは、どんな楽しい思い出が増えるんだろう?
私は相当ニコニコしていたみたいだ。
「りん…ご機嫌だな。何かいい事あったのか?」
「うん。ゆう君と楽しい思い出が増えるから。子供みたいかな?」
「そんなことないさ。俺も…楽しみ。今夜の下着は何だろう…とかね」
ゆう君は意地悪くウィンクをして見せた。
「そんな…下着だなんて…」
「俺の全てを見ているのに、そんな事で恥ずかしがるなよ…」
信号が赤に変わって車は止まる。止まった瞬間にキスを落とされた。
「恥ずかしいのは恥ずかしいの」
私は顔を真っ赤にして頬を膨らます。
「全く…かわいいなぁ…でも、今夜はしないよ。その為の旅行じゃないから」
彼はサラリと言ってのける。
顔の表情が出ない彼が少しだけ憎らしい。
「そうか、そうなんだ」
私はちょっとだけ安堵した。
「着いたら、簡単にご飯を食べて、早めに寝ような」
「うん、12時頃が良く見えるんでしょう?今年は?」
「お前もちゃんと調べてたんだ。だから11時半になったら起きよう…な」
「ようやく、約束が叶うね。嬉しいな」
「りん…覚えていたんだ」
「そうよ。忘れるわけがないじゃない」
私はゆう君に語りかける。忘れるわけがない。中学3年の冬にしたあの約束を。
ログハウス風のコテージに着いて、私達は簡単な夕食を取った。
ご飯とレトルトのカレー。キャンプに来てと言われそうだけども、目的はキャンプではない。
県内でも少し標高が高いこのコテージは星が綺麗に見れるそうだ。
星を見るためが目的だから、キャンプが気に入れば、今度来ればいいだけだから。
私達にはこれからも一緒にいられるから、時間はたっぷりあるんだから。
「りん…そろそろ寝ようか?」
「うん、ビリーも寝るよ。お休み」
私達は電気を消して、部屋を暗くする。
周囲のコテージはこれから夕御飯らしい。星をメインに来ているのは私達だけらしい。
コテージのカギを借りるときに、そんな事を言われた。
このコテージはペット可なので、ビリーを連れて来れた。
最初は緊張していたビリーもコテージのキャットタワーでたっぷり遊んだせいか…フローリングの隅で丸くなって寝ているようだ。
「りん…そっちに行っても…いいか?」
ツインルームなので別のベッドに寝ていたゆう君が聞いてくる。
「ちゃんと休めるの?」
私は彼の体を気遣う。行く時の車はゆう君が全て運転していたから。
「無理はしていないけど、りんで満たされたいな」
そういうと彼は私の布団をまくって滑り込んできた」
「大丈夫。抱きしめて眠りたいだけだから」
ゆう君は私を抱きしめてキスを落とす。
「お休み…。時間になったら目覚ましがなるからゆっくり寝ような」
そう言うとゆう君は目を閉じた。
相変わらずのマイペースぶりに私は翻弄されっ放しだ。
それは嫌いなわけではない。むしろ心地よい。
そんな事を口にしたら、ゆう君はもっと気を良くするだろうから…絶対にいえない。
たっぷり食べた夕飯のせいか、耳元で聞こえるゆう君の寝息のせいか…私も自然と眠りについたのだった。
ジリリリリ…。
然程大きくない音が部屋にこだまする。起きる時間だ。
私がゆっくり目を覚ますと、目の前には愛する人が私を見つめている。
「おはよう。おはようのキスをして。お休みのキスは俺からしたろう?」
一気に火照る顔を隠そうとしたら、ゆう君に両手を顔で包まれる
「可愛い顔を隠さないで。全部俺に見せて。ねぇ…チューして?」
子供がおねだりするような言い方をしてキスをねだってくる彼を見てクスリとほほ笑んだ。
「おはよう…マイダーリン」
そう呼びかけて、私はゆう君の唇に触れるだけのキスと落とす。
「触れるだけのキスなのに、りんのキスはいつも甘い。もっと…して?マイハニー」
言葉は甘いのに、目を見ると、否定はないよって訴えている。
やっぱり彼には敵わない。私は再び彼にキスをした。
「ビリーは?」
「かわいそうだから、置いて行こう。ほらっ、行くよ」
フローリングからソファーに移動したらしく、ビリーは気持ちよく寝ている。
それから、ゆう君に手を差し出されて、私はその手を捉える。
私達はゆっくりと歩き出した。
渓谷沿いのコテージはひんやりとしている。来た時は半そでで良かったが今は長袖がちょうどいい。
「寒くないか?」
「大丈夫よ」
私達は川沿いに腰変えて空を見上げる。
「今夜は綺麗に星が見えるなぁ。久し振りに夏の大三角形探すか?」
ゆう君が私に問いかける。夏の大三角形を探すのは…アレ以来だから4年前になる。
「懐かしいね。覚えているの?ゆう君」
「馬鹿にするなよ?夏だけは…ちゃんと覚えているからな」
「うん、それじゃ…意地悪く…デネブみぃつけた」
私はデネブを指差した。残りは簡単なはずだもの。大丈夫だよね。
「アルタイル…ベガ…ほらっ、出来上がった」
二人で指差した点を合わせたら三角形が出来上がる。
「じゃあ、ついでにさそり座のアンタレスも…ほらっ」
私は新しい星を指さす。
こんな瞬間が私は好きだ。ゆう君とこうやって楽しい時間を過ごせる事が嬉しい。
「そろそろ、北東の方向に向きを変えよう」
今の私達は南向きに向いて夏の星座を見ている。
今回のペルセウス座は秋を代表する星座だから、今の時期は北東の方向にみえる。
「お前の事だから、秋の四辺形も辿れるんだろう?」
「…出来なくはないけど、秋は明るい星はないんだよ。でも神話としては話は豊富よ」
「ふぅん。それは今度ゆっくりお前の家で聞こうかな。ほら…星が流れてる」
ゆう君は流れている星を指さす。
満点の星空を縫って流れる流星群。
4年前…幼かった私達がした約束を、一度別れて別々の道を歩んだと思っていた二人が再び同じ道を進んでその約束を果たしている。
空にかかる星達はひょっとしたら、そのことを知っていたのかもしれない。
今になってそんな事をフッと思い出した。
「どうした?」
「星は…知っていたのかな?」
「何を?」
「私達が再び手を取り合う事を」
「どうだろうなぁ?でも偶然じゃなくて…必然だったんだろうな」
「必然…ね。波乱万丈すぎですけど?」
「それはそうだけども、平穏な人生よりはいいだろ?これからはお前と二人で平穏に暮らしたいな」
「それは…約束?それとも計画的に実行するの?」
私はあえてその先の事を聞いてみる。
私は自分名義の家はあるけれども、少なくても後3年間は叔母夫婦が住むことになっている。
「俺は…再来年の春を目安にお前と一緒に暮らしたい。ビリーと一緒にもう少し広い部屋に住もう。3人で新しい家族にならないか?」
「家族に?」
「あぁ、籍は入れなくていいから、ゆっくり探して、ペット可の物件を探そう。お前も再来年は就職だろう?俺は後2年学生だから、俺の卒業を目安に入籍したいんだが…どうだろう?」
そういうと、ゆう君は膨らんでいたポケットからジュエリーボックスを取り出した。
そこにあったのは私の誕生石であるサファイアがついてると思われる指輪があった。
「今は…これで勘弁して?いずれは…給料3カ月分のものを用意するから」
「そんなに高くなくていい。その日が来るのを…待ってるね」
私は指輪をはめてくれた彼の頬にキスをした。
「俺も頑張って勉強しないとな。未来の奥さんも子供も出来たし…な」
「折角だから…星に願いをかけておく?」
「それもいいかもな…りん…愛している」
キラキラヒカル星の中、私達は共に歩いていくことを決めた。
零れ落ちていく流星群たちに、永遠の絆を願って。
「ゆう君…愛してる。これからも愛してく」
私達は長いキスを交わすのだった。
少しだけ…大人表現です。
今後は念の為R15に変更します。




