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Parallel さみしいなんて ver義人

強かに隙に入り込んだ創の次は義人。

やればできる子なんですよ…やれればね(笑)

「お待たせ。ちい…待ったか?」

「すっごく待ったけど…嘘だよ。寄り道する?」

「そうだな。ノート見てもいいか?」

私達が待ち合わせているのは本屋の前。欲しい文房具は無印良品だから通りの向こうのショッピングビルの中にある。

「無印でいいんでしょ?私も何か見ようかな」

私達は信号待ちで立ち止まる。

「何か欲しいものがあるのか?」

「うん。部屋着を見たいのもあるし…少しだけお腹すいたからお菓子食べたくって。義人君一緒に食べてくれるでしょう?」

私は義人君の方を向く。左利きな私を気遣って彼は私の右側にいてくれる。

基本的には右利きだけども、根本的なものになるとつい左手を使ってしまう。

そんな所に気がついているのは、生まれた頃から側にいる彼だけなのだろう。

自然と気遣ってくれるその態度が私にとってはとっても嬉しい。

「ありがとね」

「何が?」

「分からないのなら、分からなくてもいいの。ほらっ、信号が分かるわよ」

私は義人君の腕を引っ張って交差点に進むのだった。



「義人君は方眼ノートは必須になるの?」

「ないよりは楽。お前は?」

「線の幅の狭い方のノートを使うの少しだけ書ける行数が多いでしょ」

「お前…細かいから。服って何を買う気なんだ?」

「ワンピースとか見てたんだけども、来週には3割引きになるんだって。だから後はお菓子なんだけど…何が食べたい?義人君が食べたいものに合わせるよ」

「そうだなぁ。ポテトチップスもいいけど、クッキーも捨てがたいな」

「そうなのよ。でも二つはちょっと…気になるでしょう?」

少し目線をずらすと値下げ商品のカゴが目に入った。

「値下げ品の中で食べれれば、二つ買えるね。見てみようよ」

「お前…それでいいのか?」

「うん。少し食べたいだけなの」

「分かった。お菓子のお金半分払うからな。下のスーパーでジュース買って帰ろうぜ」

「分かった」

私達はカゴの前にしゃがみこんでお菓子を探したのだった。



「本当にこのお菓子でいいのか?」

「平気だよ。気にしすぎだよ」

「これで電車でいいんだよな?」

「そうだよ。始発で帰ろうか?その位は遅くてもいいよね」

駅のホームは珍しく人が多く待っていたから、上りホームの向かいに止まっている始発の電車で帰ることを提案する。

「お前が良ければ…いいぜ。ちい…」

「何?」

「家に一人でいたくないんだろ?違うのか?綾乃ちゃんが帰ってくるの9時だよな」

「うん」

「おじさんも家に寄る事はしてないよな?あんなに広い家に一人はさみしくないか?」

「大丈夫。一人は慣れてるよ。平気だよ」

私は強がって答えるけれども、本当はさみしかった。

広い家でどんなに探しても、私がいて欲しい人がいる場所は仏壇の前。

話しかけても答えてくれる訳でもない。



「本当の事を言えよ。お前の事だから…夕飯をお菓子にするつもりなんだろう?」

「どうして?そんな事を知っているの?」

「創が…気にしていた。それに直也先輩も」

「二人が…」

「そうだよ。無理に食べされるものじゃないけど、食べないと又…倒れるぞ」

そう言われると私は反論できないなぁ。

少しだけ悔しくなる。

「そうだね。さみしいの。一人は辛いの」

「俺にだけは…思ったことを話してくれよ」

「義人君…そんなに親戚だからって甘えられないよ」

「そんな事は…関係ないよ」

義人君は言葉を考えながら私に語りかける。



「俺…親戚とかそんなの…関係ないよ。俺が…俺が心配なんだよ」

「義人君が?」

「まぁ、気持ちが分からない訳じゃないけど。親が言ってるとかはないぜ」

「今は分かる。今はね」

私かかすかに微笑んだ。最初は義人君の叔母さん達が心配しているんだと思ったから。

高校に入る時に叔母との同居解消をしたくて親族会議をお願いした。

結果的には綾乃の学校問題もあるし、私の保護者に叔母達がなっているから後3年は今のままで卒業までに今後のことを考えることになった。

叔母達の使われたお金と叔母達が吹聴していた事については、お金は必ず返すって念書を書いたし、私名義ものは貸金庫に入れることにした。

吹聴していた事は、訂正してくれるというけれども、かなりきつい事を言ってくれていた親戚とはもう疎遠になりたい旨を伝えてある。

「それに俺の親は、ちいの味方だよ。安心しろ。あの頃は皆が信じられなかったんだよな。辛かったろ?」

「そうだね」

「今は?今はどうだ?俺は信じられるか?」

そういうと義人君は私の右手を両手で包み込んだ。



「義人君は信じられる」

「そうか。だったら…約束して?さみしかったら俺に言って」

「義人君に?」

「親戚でもいいから、ちいの隣にいたいんだけど…ダメか?」

「だったら…もう私の隣にいるよ。義人君」

彼の望んでいる事なら既に叶っていると思う。

「そうか。じゃあ…訂正。見た目だけじゃなくて、心も側にいたいんだけど」

「心の距離?」

「そう、壁を壊してくれって言わない。せめてドアをつけて…俺に出入りを許可して?」

義人君はそう言うと包み込んだ手をキュッと握った。

義人君の言いたいこと、伝えたいことが握った手から通じてくる。



親戚すら信じられないときもあった。誰も私の敵だとも思っていた。

彼は私が持っていないものを持っている。

私のないものをすんなりと与えてくれる。

こんな私が彼に甘えてもいいのかな?重荷にならないのかな?

「重荷になるって思っている?お前なら重荷でも大歓迎さ」

「本当に重いわよ。いいの?」

「あぁ?男の子は女の子を守るためにいるんだぜ?俺にお前を守らせてくれよ」

「少しずつで…いい?いきなり近付くのは難しいから」

「いいぞぉ。俺はちょっと気位の高い猫を飼う気分でいるさ」

「…私?猫?」

「そう。可愛い子猫か?気まぐれ子猫…どっちがいい?」

「気まぐれニャンコでしょう?」

私は恐る恐る答えると、義人君は満面の笑みで私を見た。

「まさか。こんなに可愛いニャンコ見たことないからな。俺は甘やかすぞ」

そう言って私の頭をぐちゃぐちゃにして撫でる。

「知ってる?しつこくすると猫って引っ掻くんだから。にゃーお」

私はひっかくしぐさをして義人君に言い返すのだった。



それにしても…私…猫に似てるのか。猫でも飼ったらさみしさは減るのかな?

このやり取りの2年後に猫がやってくるのは…まだ先の話。

hs_title's様 ヒトリの夜に10のお題より


私の中でのこの二人は子猫がじゃれてるイメージ。

木から降りれなくって鳴いてる…子猫(笑)

ちなみに今そんな子猫が一匹必死で鳴いてますwww

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