Parallel さみしいなんて verゆう君
彼女がさみしいと気がついた時…ゆう君がした行動は?
クリスマスが近い駅前通りを付き合い始めたばかりの彼と手を繋いで歩く。
12月の町は街路樹がイルミネーションでキラキラしているし、デパートのディスプレイもキラキラしている。
町全体が浮足立っているせいか、自然と私達も浮足立ってしまう。
「りん…どうした?」
私はふとデパートのディスプレイの前で立ち止まった。
そこには幸せそうな家族をイメージされているディスプレイがあった。
「うーん、クリスマスだなぁって思っただけよ」
「そうだな。クリスマスか。りん…一緒に過ごすか?」
「ゆう君。それはダメよ」
ゆう君の提案を私はやんわりと断る。
今の私達は家族と過ごすべきだと思う。
だって…私達は中学3年生の受験生なんだから。
「そうか。残念だな。だったら…イブならいいか?図書館に行こう」
代わりにイブの日の図書館デートを提案する。
図書館で勉強しようってことかな。これならダメとは言えない。
「うん…私は平気だけど…いいの?」
「やった。彼女とクリスマスデートだ」
子供っぽくはしゃぐ彼を私は眩しく感じる。
私と違って、感情を素直に出せる彼に私は惹かれていって、その結果が今に至る。
「りん…嬉しくないのか?俺だけか?」
「そっ、そんなことないよ。楽しみだよ。プレゼント何にしようかなって」
私は慌てて否定する。彼にはまだ気付かれたくない。
私の心の奥底に潜んでいるさみしさに。
彼はクリスマス当日は毎年家族で過ごすことを去年聞いたから知っている。
逆に彼は私がクリスマスを一人で過ごすことを多分…彼の親友で私のかつての彼氏だったひで君から聞いているはずだ。
さっき見ていたデパートのディスプレイで最後に家族で見たクリスマスを思い出したからだ。
思い出してしまった私の心は寂しさで溢れかえっていた。
どんなに望んでも、私が望むクリスマスは永遠に来ることはないのに。
あまりにも贅沢すぎるないものねだりに自分でもあきれる位だ。
「りん…こっちを向いて」
ゆう君に促されて私はゆっくりと彼の方を向く。
「さみしいのか?」
「さみしいなんて…どうして?」
「今にも泣きそうだぞ。こんな時にも強がるな」
そう言うと、彼は私を引きよせて彼の腕の中にすっぽりとおさまる。
背中にディパックを背負っている隙間から腕を回して私を閉じ込める。
「そんなに俺は頼りないかな?」
「そんなことないよ。ゆうくんのせいじゃない。私が悪いの。私がいけないの」
「それは違う。俺がそれを認めたら…りんの両親が悲しむんじゃないかな?」
「お父さんとお母さん?」
「あぁ、だから俺には思った事をちゃんと言って?俺はりんを全て受け止めるって言ったろ?」
コツン。ゆうくんの顎が私の肩に乗って私の耳元で囁く。
「いいの?」
「我慢しなくてもいいんだよ。強がってるりんもいじらしくて可愛いけど…泣きそうなりんを見ていると俺が辛くなる。泣いた方がすっきりするならこのままでいよう。俺はこうしてるの嬉しいけど、りんは…もう恥ずかしいだろ?」
強張っている私の心を溶かす言葉をゆう君は私の耳元で紡ぐように囁く。
確かに恥ずかしいけれども…涙をこぼしている私の顔では…そっちの方が恥ずかしい。
「ごめん…ック…もう…ッ、このままで」
私はそう言うのが精いっぱいだった。
「それじゃあ、少しだけ神様に感謝してもうしばらくこのままでいようかな」
ゆう君はクスリと笑って、回している腕に力を込めた。
「ゆう君の…意地悪」
私はそうやって反論するのが限界だった。
私の反論を聞いて、ゆう君は暫く笑ってから私に囁く。
「秀紀はりんを甘やかしてたからな。知らないのか?男ってのはな、好きな女の子を苛めたくなるんだぜ。
この位は可愛いもんだから…諦めなさい」
その後、ゆう君は私の頬にチュッと音を立ててキスをした。
「顔を上げてくれないと…俺はりんにキスが出来ないんだけど…。それともこのままほっぺにキスがお好み
なのかな?」
私は驚いて涙が止まった。けれども…ほっぺにキスだけで火照る顔を上げたらもっとからかわれるのは明白だ。
こう言う時は、今のままでいるのが自分の為だ。
「仕方ないなぁ。今日はこのままでいよう。大好きだよ…りん」
彼は再び頬にキスを落とす。
「りん?お前は俺の事…好き?」
彼に聞かれて私はつい顔を上げた。
「すき・・・っ」
好きだよって伝えようとしたのに、ゆう君に唇を塞がれた。
今は…彼がいればさみしくない。
彼だけがいたら絶対にさみしくない…私は体中で彼を受け止めるのだった。
hs_title's様 ヒトリの夜に10のお題より
バカップル全開なオチですみません。
次はなお君の場合




