Parallel さみしいなんて ver静香
寂しがっている彼女に気がついた静香。
さて、どうしましょ。
時間としては中3の二人の進路が決まったあたりです
「ちい、明日泊りにおいで」
週の真ん中水曜日。
公立受験組が最後の悪あがきをしているのにこの誘いは酷いかも。
けれども、私達は進路が確定しているから、皆の迷惑にならなければ問題はないはず。
「静香の家から学校に行けばいいのね?分かった。学校帰りに直接行くことにするね」
私は小声で静香に答えた。
静香の家に最後に泊ったのはいつだろう?
多分…夏休み以来かもしれない。
あの時は確か宿題が分からないって嘆いた静香の面倒をみていたら、かなり遅くなったから、急遽お泊りになったんだった。
私達の中学生活も後3週間を切った。
早いようで短いこの期間。
それよりも年末になってから最近までがあまりにも盛りだくさん過ぎて…ぐったりしている感があったりする。
精神的にも肉体的にも疲れているようだ。
こんな時は瞬間的に寂しいと感じてしまう。
けれども、私はこれ以上静香に甘えるわけにはいかない。
そんな事を考えている静香は私をじっと見つめていた。
「久し振りだね。家にお泊りだなんてね」
静香は私にマグカップにジュースを入れて渡してくれる。
「静香の家は夏休みが最後じゃない?秋の連休は家に来たでしょう?」
11月の連休の時は、私が一人きりになるからと静香が勉強道具を持参して2泊したっけ。
「今回は…勉強しますか?課題終わったの?」
「それが…分からなくって、教えてくれない?」
静香が私にプリントを手渡す。
確かにK学園にしてはちょっと難易度が高い方だろう。
「じゃあ、ちゃっちゃとやってしまいましょう」
私は静香に解き方を教えてプリントの空いている部分を埋め尽くした。
「ねぇ…ちい?」
私達は布団を並べて寝転んでいる。
時間は午後9時。
ちょっと寝るには早い時間だけども、話しながら寝るにはちょうどいいかもしれない。
「何?静香」
「ごめんね。気付いてあげられなくて」
いきなり静香が私に謝る。
静香が私に何かしたっけ…記憶にないなぁ。
むしろ、私の方が迷惑をかけたままだ。
「私の方が迷惑かけているんじゃないの?」
「違うの。ずっと寂しかったんでしょ?どうなの?」
静香に核心をつかれてしまって、私は言葉を失った。
「ちいの心の闇に気付いてあげられなかった」
「し…ず…か…」
「ねぇ。ちゃんと口にしてもいいんだよ。何のために口があると思う?食べるためだけじゃないでしょう?人に伝える為にあるんだよ?分かってる?」
「……」
私は返す言葉が見つからない。その通りだったから。
「ね?幼馴染の私には、隠さないで。ちいの生い立ちが子供らしさを失ってしまったのは分かる。けれどね、ちいも私も15歳の中学生なんだよ。子供らしくていいんだよ」
「子供らしく?」
「そう。甘えてもいいの。頼ってもいいの。お願い、そんな辛そうな顔をしないで。確かに彼と別れて辛いのは分かるよ。でも…寂しさは私でも補えるよ。甘やかしてあげられるよ。騙されたと思って…一度だけでいいから…本当に心の奥で思っている事を開放して。一度だけでいいから」
そういうと、静香は私の手を取った。
「わっ、私…一人は辛いの」
私は絞り出すようになんとか伝えた。
静香は私の手に力を込めて握ってきた。
「さみしい?」
「うん…さみしかった。ずっとさみしかった」
やっと伝えたかった言葉を言い終えた私は凄く不安だった。
気持ちを伝えていいと静香は言ったけど、本当に良かったのか急激に不安が襲ったのだ。
「少しずつ、自分自身を解放しようね。それでいいんだよ…ちい」
静香は私の手を握り締めて言ってくれた。
もう…私は暗闇の中にはいない。少しだけ光が差し込んでいる。
もっと光を入れるために閉ざされた心を少しずつ開けていこう。
「ありがとう…静香…本当にありがとう」
言葉では言い尽くせないほど私は静香に感謝するのだった。
hs_title's様 ヒトリの夜に10のお題より
まずは静香でした。次はひで君です。




