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Parallel ふぅん、ヤキモチっておいしくないんだ ver 創

ヤキモチシリーズ最後の一人です。

それなりにストレートで時々強引な創はどうする?

学校を休んで、文化祭に潜入しております。ちいは知りません。


若干、本編に絡んでくる内容でもあります。ご注意を。

side 倫子



「PAの最終チェック入りまーす」

「頼んだぞ」

ステージからなお君の支持をワイヤレス受信機のイヤホンで確認しながら私は作業を進める。

借りた器材なので、基本的には触る必要性はないのだけども、何かが起こった時の為に

私達文化祭実行委員会の一部のメンバーは使用方法を確認しないといけない。

しかし、生徒会室にワイヤレス送受信機が備品である事が驚きだ。


「ちい、オッケー。今の設定を控えておいて」

「了解です。印刷室で必要人数分プリントしてますが、何枚必要かな?」

「念の為15枚印刷頼むな。お前…クラスの方はいいのか?」

「私ですか?うちから昨日野菜を納品してチャラにして貰いましたよ」

「お前…それってさ」

「お好み焼きにはキャベツはつきものですからね。料金は後で先生と話し合うってことで

とりあえず、20個担任が取りにきましたよ」

「いいのか?」

「私が作ったキャベツだからいいんです。今年は偶然でしたけど」

「お前がいいのなら、それでいいんだが」

なお君はクラスの展示の事で私の事を気遣っているらしい。



私達のクラスは1年生ながら、お好み焼屋の企画が通り準備に忙しい。

今頃…きっとキャベツを刻んでいる頃だと思う。

昨日、一度学校に来てから担任の来るまで一度自宅に戻って畑にあるキャベツを引き取りに来た。

タダで渡す事も出来るが、収穫の個数が多いから一応買い取るという事になっている。値段交渉は文化祭終了後だ。

それと、クラスで着るTシャツの発注とか、食材の発注も私が担当した。

要は、当日クラスに参加できなそうな事を見越して、表に出ない部分は私が全て担当している。

クラスの方は、クラス役員に任せることにした。

今日一日は、とにかく大人しく座っている時間なんてないだろうから。



「なお君、印刷室に行って来るね。その後…少し何か食べてくる」

「そうだな、そろそろ皆登校してくるだろうから。今のうちに少し休め。終わったら俺も生徒会室に戻るから、コーヒー入れておいてくれ」

「はーい」

私はのんびり返事をして、急いで職員室に向かう。体育館からの最短距離は一度上履きでも外を走った方がはるかに早い。

迷路かよって言いたくなるくらい、通路が入り組んでいる。

私自身も入学して何度か迷子になってしまって、校内をさまよった事がある。

そんな事もあって、一般非公開になっているのはここだけの話だけども、毎年潜入する生徒がいてやはり迷子になっている。

そこで出合いに繋がるらしくて、微妙なトラブルになっている。

生徒会に入る事が決まっている私は、生徒会役員と一緒にそういう迷子の収集が今日のメーン作業だ。



「いいですか?地図は必ず失くさない様に。以上です」

生徒会長の開会式が終わった。

千世先輩、それでいいんですか?突っ込みたい衝動にかられるけど何時もの事みたいらしい。

「閉会式は時間通りに始めます。各自体育館に集まって下さい」

実行委員会の報告が終わって、文化祭が始まる。

「ちい、そう言えば、大和田が来るって言っていたけど、知っているか?」

「いいえ。私は何も」

「そっか。悪い。お前の昼休みに生徒会室に来るようにって言っちまった。よろしくな」

創君が来るの?そんなの知らないよ。

なお君のことだから、勝手にいいようにしたんだろうな。

直接にここに来いって言ってあって机のすみにある男子の制服一組…胡散臭い。



「創君が来たら、そのままの格好でいいんですか?」

「まさか。制服に着替えさせろ。分かったな」

「自分でどうにかして下さいよ。私にだって作業があるんですよ」

「いいじゃねぇか。何かあれば、ワイヤレスで指示出すから」

「分かりました。っていうか、校内どこでも通じるんですか?」

「ちょこっとだけ改造してあるからな…校内をさ」

なお君がニヤリといやらしく笑った。

怖いから素直に従った方がいいようだ。

「とにかくよろしくな」

そう言うと、なお君は生徒会室を後にした。



最初の時間は、文化祭実行委員会の会計のまとめをすることになっていた。

今までかかった領収書を一つずつ確認して、支出の種類を分類していく。

とりあえず、3日前までの執行部の領収書の整理は終わった。

文化祭が終わると、今度は各クラス等の領収書が回ってくるからもっと忙しくなるらしい。

「ふぅ。終わった」

私は自分の腕時計を見る。時間は10時25分を示している。

私の作業分担は11時から12時の昇降口での受付だから、一度体育館に行くことにした。



体育館では、演劇部が公演を行っているはずだ。

演劇部の子がクラス分担で揉めていたのを仲裁したから記憶にある。

来れたら来てねって言われてたから、少しだけ顔を出そうと思う。

体育館に着くと、入口には吹奏楽部が楽器を持って演劇部が終わるのを待っていた。

「すみません。時間通りに進んでますか?」

吹奏楽部の人から聞かれる。私には即答が出来ないので、ワイヤレスで体育館にいるはずの

役員に確認をする。

答えは、進行表よりも約5分ほど早いと言われた。

「5分程早い進行になってます。楽器の搬入はゆっくりして下さい」

「ありがとうございます」

簡単なやり取りをした後に、私は体育館に入って行った。

演劇部の公演は、時間を配慮したもののようで話はエンディングに進んでいるようだ。

どうやらミステリーのようで、舞台では種明かしをしている。

機材の側にいる、実行委員長を確認した。

私は手早く、会計作業の報告をしてから自分の持ち場になる受付に向かった。



side 創



「もう…あいつにバレてるよな。それで学校をさぼったことに対して怒られそうだな」

俺は小声で呟いて少し微笑む。

彼女が俺を怒る姿が浮かんでしまったからだ。

互いに希望した進路の学校に通い始めて2カ月が経つ。

一目でいいから、彼女の普段の学校生活が見たかった。

付き合っている訳じゃないのに、彼女を独占したいと思う気持ちが強くなる。

彼女の気持ちを考えないで、俺の腕の中に収めるわけにはいかない。

今日、学校を休んでまであいつの学校に行くのには訳があった。

あいつにどうしても見せてはならないものがあるからだ。

俺と同じ学校に通う智子経由で入手した情報だからガセではない。

あの光景を見てしまったら、あいつの精神状態では壊れてしまう。

それだけは避けたい。そうなったとしても側で支えてやりたい。

とにかく、あいつのそばに早く行かないといけない。

あいつがあの男に会う前に。



side 直也



創は、確実にあいつに会えるのだろうか?

5日前に俺にかかってきた電話が俺の作業を一気に多忙化した。

ちいにはまだ知られてはならない現実が差し迫っていた。

今、あいつがその事を知ってしまったら、あいつが壊れてしまう。

その事が分かっているから、創は俺に連絡をしてきたのだろう。

「先輩を信じてますけど、俺はあいつを守りたいから」

学校をサボってまで来ようとするのだから義人の想いよりは本物だろう。



あいつに気付かれない様に、生徒会と実行委員会執行部の当日スケジュールをかなり強引になってしまったが変更した。

あいつの状況は生徒会のメンバーには知らせざるを得なかったが、あいつを守るためには背に腹は代えられない。

創には午前11時半に昇降口の受付に来るように伝えてある。

正午までの1時間は受け付けの当番はあいつだから確実に捕まえる事は可能だ。

問題の男は午後から来ると聞いている。そいつの彼女と言う女のクラスの動向も掴んである。

後は、二人が鉢合わせないようにすればいい。

俺達はそれを業務をこなしながらサポートするだけだ。



side 創



「何とか直也先輩との待ち合わせに間に合ったな」

無事にS校の正門に着いた。

なだらかな丘の上にある彼女が通う高校は、駅前に比べるとひんやりとしている。

バス停から正門までは緩やかな坂道にみえたが、歩くとかなりの疲労感を感じた。

「さり気なく足腰が丈夫になりそうだな」

校内に入ると入場門がある。机とベニヤ板と段ボールを使ったものだ。

これはどこの学校でも同じなんだろうなとぼんやりと考えた。

その先にある受付で待ち合わせのはずだった。

俺は足早に受付に行くのだった。



「あれ?創君。早くない?」

「久し振りだな。ちい。お前何をしているんだ?」

「受付のお仕事。名前書いておいて。年齢は…いいや」

俺は彼女に促されて名前を記入する。

「じゃあ、これパンフレットね。靴は…私のげた箱に入れておく?」

「あぁ、頼めるか?何時までの仕事なんだ?」

「私は12時なんだけども。食堂が向かいだから待っていてもらえるかな?」

俺はさり気なく、受付名簿をチェックする。どうやら優はまだ来ていないようだ。

「悪い。直也先輩に俺が着いたことだけ伝えておいて。食堂で待ってるな」

俺はそういって、食堂にむかった。



「悪いな。ちょっと早く来てもらって」

「いいんですよ。まだ、優は来てませんから」

食堂でカレーを食べながら、時間を潰している俺を見つけて直也先輩が腰掛ける。

パンフレットの地図を広げて俺に説明しようとしているようだ。

「午後は食事をとってから、校内巡回をすることにしているが、二人が合わないルートにしてあるから最悪な事態は起こらないと思う。お前は側にいて欲しいから、制服を生徒会室に用意した。着替えるように」

「ありがとうございます。ちいはまだ…知らないんですよね。優の彼女の事は」

「そうみたいだな。そいつに対しての話は俺は聞いてないから知らないはずだ」

「まさか…優の奴が…ちいと復縁じゃなくて、あいつを選ぶだなんて…」

「それは優が決めた事だ。俺らがどうこう言えることじゃない。分かるだろ?」

「分かってます。でも、あの女の事だから…ちいの前で」

「お前はそれが分かってるから俺に助けを求めたんだものな。サンキュ。卒業式の後にも教えてくれたのはお前だものな」

「えぇ、偶然にも高校で同じクラスになれたんで。智子も同じクラスなので、表向きは3人でつるんでずっと動向を伺ってました。付き合い始めたのは連休中見たいです。」

「そうか。きっかけはなんだったんだ」

「塾の合格祝賀会の後で話をしたと聞いてます。ただ…その時…」

俺は言葉を濁らせた。今、この場で言っていいのか判断が着かない。



「言えよ。お前ら二人が抱え込むな」

直也先輩が、話すように促す。確かに俺と智子の二人で抱え込むには荷が重い話だった。

「その時に、あの女はちいの悪評を言ったと俺は智子から聞きました」

「成程。その先は何となく分かった。弱い所につけこんで…彼女になったんだな」

「まぁ…そんな所です。少しずつ前を歩きだした彼女にはこの真実は辛いものでしかないです」

「そうだな。創…お前ならどうする?」

「智子と話して決めたのは、今は知らせるべきでないと判断しました。ちいの心が完全に壊れ切ってしまう。俺らはそれを望んでません。2月のあの時以上に壊れるのは分かってますから」

「今はそうだろう。でも、いつまでも隠せないぞ」

「分かってます。いずれは俺の口からあいつに伝えます。もう少し二人を泳がせます。今は二人が付き合ってる事実しか知らないので、優の口から、付き合うきっかけをきちんと聞いてからにします」

「どんな悪評を言ったんだ?ちいは…俺ら生徒会役員といるけど悪評を言われるような行動は一切してないぞ」

「智子がどうにか聞き出したものは、男をとっかえひっかえしてるって言ってたそうです」

俺が直也先輩に伝えると、直也先輩は呆れた。

「入学早々にそういう噂のある女子はいたが、ちいじゃねぇぞ。上手く利用したものだ」

「やっぱり…。義人から聞いているのも、違っていたから疑ってましたが」

「あいつの周りの男は…生徒会役員か、文化祭執行部か義人とお前位だ」

「そうですか。それにしても…ここも男が多い学校ですね」

「そうかもしれないが、あいつの志望理由はそんなことはどうでもいい話だからな」

俺は彼女の本当の志望理由を思い出す。そう言えばそうだった。

プールの有無が重要だったしな。

「じゃあ、俺はそろそろ戻るな。巡回の後は、生徒会室での作業だからお前もいろよ」

「すみません、言葉に甘えます」

じゃあなと言って直也先輩は席を後にした。

これからの修羅場対策をするんだろうな。俺は内心申し訳なく思っていた。

それと同時に、俺の依頼をすんなり受け入れる直也先輩に俺は勝手に嫉妬していた。



「創君…お昼…食べちゃったんだ」

「悪い。カレー上手かったぞ」

「私もカレー食べちゃっていい?」

「ゆっくり食べろよ。待っていてやるから」

12時を過ぎて、彼女が俺の隣にやってきた。

食堂には少しずつ人が集まってくる。他校生である俺の居場所は多少良くない。

「創君。生徒会室に行こう。お皿を後で届けることにしたから…ね」

俺は彼女に促されて、立ち上がった。



「とりあえず、散らかってるけど、どうぞ」

彼女が生徒会室のカギを開けて入る。俺も続けて入った。

散らかっているといっても、どこの学校もそんなものじゃないんだろうか。

「ちいはもう役員なのか?」

「文化祭終了後には…ね。今は文化祭実行委員の執行部で会計係なんだ。その後に会計になるって聞いてる」

「ふぅん、指名でいいんだ」

「そんなに積極的じゃないからね。生徒会活動が。選挙は会長だけなんだよ」

「直也先輩は?役員だろ?」

「うん。なお君は副会長で、来年の会長の最有力じゃないかな?今の会長が彼女だし」

「へぇ、直也先輩彼女がいるんだ」

「うん。そういえば、創君制服の話は聞いている?」

「あぁ、ここでいいか?ズボンだけ替えるから後ろ向いてろよ」

「分かった。終わったら教えてね」

俺は急いでズボンで履きかえた。シャツは指定シャツを俺も着ていないから大丈夫だろう。



「お待たせ。こっちむいていいぞ」

俺がそう言うと、彼女を俺を見つめる。

「久し振りに同じ制服だね。違和感ないよ」

そう言うと彼女は俺に向かって微笑む。

「ちい…今は辛くないか?」

俺は彼女が使っている机に寄りかかる。

「辛く…か。学校は辛くないよ。優君は…元気?」

彼女は俺があいつと同じクラスだという事を知っている。

今の質問は社交辞令的なものだ。さて、何て答えようか。

「あいつ…な、彼女ができたらしいぜ」

俺なりに言葉を選んで彼女に伝える。その瞬間に彼女の表情が曇った。

「そう。ちゃんと道が別れたってことだね。ありがとう、ちゃんと話してくれて」

彼女が強がって答えている事が良く分かっていた。

俺は回転椅子を回して俺と対面になるようにしてから、膝をついて彼女を引き寄せた。

「辛いよな。泣きたければ…この胸を貸してやる」

「泣く事はない…と思う。けど…少しだけこのままでいて。お願いだから」

彼女が弱弱しい声で答えたのを聞いて、俺は彼女を腕の中に閉じ込めた。



「側にいるから。同じ学校じゃないけど、俺が隣にいるから」

「分かってる。私が辛い時には創君はあの時から隣にいてくれるから」

俺の胸に額をつけて彼女が答える。

少しだけ早い鼓動に気付かれただろうか?

「分かっているなら、それでいい」

俺はそう言うとゆっくりと彼女の背中を撫でる。

気が強いけれども、本当は弱くて小さな女の子だ。

本当は泣きたいのかもしれない。まだ彼女の中に残っている優への想いが透けて見える。

それを見つけてしまった俺の心は黒い闇に包まれそうになる。



弱っているところにつけいるのは恋愛についてはルール違反だという彼女。

そのルール違反を犯してでも俺は彼女との距離を縮めたい。

いや、違う。俺のモノにしてしまいたい。

俺がそう宣言したら…お前はどうする?俺の手を取ってくれるかい?

衝動に突き動かされそうなるところを辛うじて残っている理性が留める。

けれども…もう限界だ。本当にお前が…お前が欲しい。



「大丈夫。ありがとね。一緒に巡回に行こうか。迷子になるからちゃんと着いてきてね」

彼女はそう言うと、俺の腕を解いた。

机にある巡回ルートと書いてある地図を手にする。

「折角だから…一般生徒が入れない所に連れて行ってあげる」

彼女はそういうと俺の手を取って生徒会室を後にした。



彼女の後を俺は歩いているが、本当に迷路かと言う位に校舎が入り組んでいる。

慣れるまでは地図なしでは移動教室に辿りつけないのよって彼女は笑う。

方向音痴じゃこの学校では暮らせないだろう。

「ここからはなお君には内緒だよ。どうぞ」

彼女はそういうと鍵を開けて扉を開ける。

「ほらっ、校内で一番景色のいい屋上だよ」

「なんで、屋上は一般立ち入り禁止なんだ?」

「去年…飛び降りた生徒がいるから。それと煙草を吸う生徒がいたから」

彼女はそう言うと口を閉ざした。

中学の時もよく屋上にいた彼女だから、今のこの状況は辛いんだろうな。

「ここで天体観測したらすごいだろうな」

「うん…こないだね。物理の先生に頼んで春の星座の観測したんだ」

彼女は目を輝かせて答えた。

「俺ともこないだしただろう?」

「うん、今度は夏の星座見ようね」

彼女は俺に笑いかけて答えた。



「ちい…俺と一緒に歩かないか?」

「創…」

俺は彼女の手を両手で包む。

「学校にいる間は直也先輩に任せる。通学中は義人もいてもいい。けれどもそれ以外は俺と一緒にいないか?」

「創君、いきなりどうして?」

「いきなりじゃねぇよ。俺…さっきヤキモチ妬いたんだ。お前の中に残っている優にさ」

俺はそう言うと空を見上げる。

「もう…創君がヤキモチ妬く位に優君の事思ってない。さっき久し振りに思い出した。それよりも私の心にはある人が住み込んでる」

「そっ、それは…一体…」

それ以上聞きたいけれども怖くて聞けない俺がいる。

俺じゃない誰かでも俺は受け入れられるだろうか?

「その人はね、猫みたいなの。気がつくと側にいるの。見えるところで見守ってくれてるの。多分…ずっと前からそうしてくれていたと思う。私はそれに気がつかなかったの。残酷な位に。でも…今その人の手を取ってしまったら…その人を利用することにならないかなぁって不安に思うの。創…どう思う?」

彼女が俺に問いかける。俺の答えは一つしかない。



「俺なら、利用されてもいい。それで彼女の笑顔が一番に見られるのなら周りの事なんか気にしない。

お前の言うその人が…俺ならば…気にしないで飛びこめ」

俺は両手を広げて、彼女に告げる。賽は投げられた。

後は彼女の答えを待つだけだ。

彼女は一瞬ためらったようだが、ゆっくりと歩んで俺の元に入り込んだ。

俺の背中に腕を回して抱きついた。

「ごめん、創…気がつくのが遅くなって。傷つけた事もあったよね。ごめんね」

俺もきつく彼女を抱きしめる。

「いいか?お前を好きになってもう10年目になるんだ。その分重たいからな。覚悟は出来てるか?」

「…お手柔らかにお願いします」

「今は…このままで…お前を感じさせてくれ」

「うん」

暫く俺達は抱きしめ合っていた。



「お前…甘い匂いがする」

「そう?結構今日は汗をかいてる筈なんだけども」

「ふぅん、じゃあこれはお前のフェロモンなのか?ずっと嗅いでいたいな」

「ちょっ、なんか変態みたいだって」

「お前限定なら、変態で構わん。覚悟しろって言っただろ?」

「…そうでした。でも変態はちょっと…嫌だなぁ」

「前向きに対処します」

彼女から香る甘い香りが俺を狂わせる。狂わされてもいい、堕ちるところまで堕ちてもいい。

その時はちい…お前も一緒だ。一緒に堕ちて行こう。

「大好きだぞ。ちい。もう離さないからな」

俺は彼女の耳元で囁いた。







ヤキモチシリーズ完結です。

創の場合は若干説明が必要だったので長くなりました。

でも…肝心なところは出してませんけど。


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