Parallel 君とホタルと天の川とver創
高1の二人で無事に期末テストが終わった二人です。
ある意味で一番近い距離にいる創は一体どうする?
Parallel 君とホタルと天の川とver創
期末テストが終わった午後6時。軽く夕飯を食べていた私は縁側の側の廊下で寝転んでいた。
今の時間は川からの風が体に心地良い。
そんな時にけたたましく電話が鳴る。
私は玄関まで行って電話の受話器を取った。
「はい、佐倉です」
「ちいか?俺。創」
期末テストでここの所会えなかった創君からだ。何だろう?
「あのさ、天体観測しないか?テスト終わっただろ?」
「うん、終わったけど。どこでするの?」
「お前の家の前の皮の土手でいいだろう。確か南の方角だろ?」
確かに、川の土手は南側になる。家の前だから遅く家を出ても平気だろう。
「いいよ。何時?」
「8時に迎えに行くから。それより、お前…寝てたのか?」
「ちょっと…うとうとしていただけだよ。酷いなぁ」
私と創君は、8時に天体観測の約束をして電話を切った。
「待ったか?」
「そんなことないよ。コーヒー飲むでしょ?ポットに入れといた」
私は玄関前で創君が来るのを待った。
創君の性格からして、5分前に来ると思っていたから、小型ポットにコーヒーを入れてマグカップを用意して私は待っていた。
案の定、5分前きっちりに創君は来た。
「待ってなくても良かったのに」
「だって、創君はいつも時間前に来るじゃない。とりあえず行こうか?」
私は創君を促して川の土手に移動する。
二人が吸われる分のシートを敷いて腰掛ける。
少し雲はあるけれども、七夕にしては結構いい天気なのかもしれない。
「ちいは、夏の大三角形が分かるのか?」
「一応…って所かな?」
創君がいきなり核心をついた質問をしたので、一応分かるって事にした。
こんな日は少しだけ優しい嘘をついてもいいと思う。
「そうか、双眼鏡で見たことあるか?」
「双眼鏡では見たことない。創君持ってるんだ」
創君は背負ったデイパックから星座早見盤と双眼鏡を取り出した。
「俺も星座早見盤がないと分からないんだけどな。お前に見栄を張ってもどうにもならないものな」
創君はそう言うと、私に双眼鏡を渡してくれた。
「こっちを見れば、デネブが見えるはずだぜ。一等星だから凄く明るい星があるだろう?」
「うん、これでいいの?」
私は見つけたデネブを確認してほしくて、創君を呼ぶ。
どうしても密着してしまうのだが、自然と意識をしてしまう。
「どれ…?あぁ、これだな。やっぱりお前分かってるじゃねぇか」
創君は疑惑の目を私に向ける。ヤバイ…本当は分かってるの悟られたかな…。
「一等星って凄く明るいって昔授業で聞いたじゃない。偶々だって」
「本当か?まぁ、そう言う事にしておこうか」
私達は夏の大三角形をなぞった後、星座早見盤で今見える星座を探し始めた。
「良かった。今夜、天気になって」
「どうして?」
「俺以外の奴がお前を天体観測に誘いそうだったからさ」
創君はそう言うと、コーヒーをマグカップに注いで私に渡してくれる」
「大丈夫だよ、一人でできるって」
「そうだろうけど、少し風が寒いからさ。とりあえず飲もうぜ」
私達は湯気の立つコーヒーを飲みながら、のんびり流れている川の流れを見ていた。
「でも…月の明かりが少し邪魔しているな」
「それでも、この時期にこれだけ見れるんだから、文句言わないの」
「お前…やっぱり夏の星座に詳しいんだな。ごめん…今まで試していた」
いきなりの創君の告白に私は意味が分からない。何がいいたいの?創君。
「俺…聞いたんだ。お前が去年塾で天体観測したこと…」
創君に見つめられて、私は言葉を失った。
去年の塾の天体観測…。私は当時好きだった人と一緒に星を見ていた事を思い出した。
「…彼に聞いたのね。ごめん、嘘をついて」
「それは違うだろ。嘘でも…それは優しい嘘だ。それと今日お前に言いたいことがある」
創君は強い口調で私に宣言をする。今度は何だろう?
「優が…S高の女と付き合いだした。そのうち…分かるだろう」
そうなんだ。優君に彼女が…ね。
「そう、それは良かったね。大丈夫。びっくりしただけよ。創君は誰か知っているの?」
「まだ…そこまでは分からないんだ。ただ、女と仲良く歩いているところを見た奴がいてさ。あいつが彼女だと言ったっていうから」
「あれから5カ月だもの。彼女が出来てもおかしくないよ」
私は強がって創君に答える。
「嘘をつくな。本当は泣きたいほど辛いくせに。強がるなよ」
創君はそう言ってから私を引き寄せる。創君の右肩に私の顔が当たる。
「泣きたいなら泣けよ。俺は勝手に星を見てるから」
そう言うと、創君の右腕の中に私はすっぽりと包まれて、右手で背中をポンポンと撫でてる。
そのリズムが私の中の何かを壊した。
「受け入れるの辛いよな。俺なりに分かってる」
自然と流れ始めた涙を私は止めることができない。
創君の言う事に頷くしかなかった。
「もう…平気か?」
「平気じゃないけど…平気にする」
私はかすかに笑う。
本当に絶ち切る時が来たことを告げた創君の方が絶対に辛いはず。
「いずれは知れるから…俺の口から言いたかった。ごめん」
「創君…創君は何も悪くない。弱い私が悪いの」
誰が悪いわけではない。そういう運命だっただけだ。
「違うだろ。お前は悪くないだろ。優が、きちんとお前に別れの理由を言わなかったのが全ての原因だろう?」
創君の言う事は間違っていない。確かのその通りなのだ。
優君があの時ちゃんと理由を話してくれたら…私も壊れる事もなかった。
いろんなものがこじれる事もなかった。
「創君…何が言いたいの?」
私は創君の真意が知りたかった。
「かつて、お前は弱っている所につけいるのは恋愛のマナー違反だって言ったよな」
「うん」
「だから、俺はマナー違反はしない。そのかわりに…」
その代わりに…何があるんだろう?
「今日は宣戦布告な。俺はお前が好きだ。俺は…あいつみたいにお前を泣かせない」
私は呆気に取られて創君を見ていた。
「何?お前…その変な顔。こういうのを鳩が豆鉄砲を食らったって言うんだろうな」
創君は私にそんな事を言ってけらけらと笑っている。
「ちい…パニック起こしてるだろう?正直に言ってみ?」
私は素直にコクコクと頷いた。そりゃあ、これ以上どうしたらいいんだろう?
「お前の返事はいつでもいいから。どんな返事でも俺はずっと側にいるからな」
「創君…そんな」
「だから、ちいの本当の笑顔を一番最初に俺に見せろよ?いいな?」
「前向きに努力します。答えに添えなかった時は?」
私はふと思った疑問を口にしてみた。
「そうしたら、潔く撤退するさ」
あっけからんと創君は答える。懐が広いなぁ。私なんかにはもったいないよ…創君。
「分かったけど…もう少しだけ待ってて」
「分かったよ。ちょっとだけ俺の本気を見せてくれな」
そう言うと、創君は私のおでこに触れるだけのキスをした。
「ちょっ、創…」
「今度はちゃんと、ここにするからな」
人差し指で私の唇を触れてから、その指を創君の唇に触れた。
「初、間接キス。女の子の唇って柔らかいのな。俺…初めて知った」
創君はそう言うと顔を赤くして俯いてしまった。
何気に強気な事を言うのに、言ってから照れてしまう。いかにも創君らしい。
創君の気持ちにこたえられるか分からない。けれども、本当の意味で前に進もう。
「ありがとう。本当の意味で前に進めそうだよ」
「そっか。良かったな」
もう、大丈夫。優君の残像を追いかけることはないだろう。
空に輝く、トライアングルから優しい音が奏でられるような錯覚がした。
優しい旋律はまるで私達を祝福している様だった。
答えが出るまでには…本当にもう少しだから。
待っててね…創君。
本編に間違って投稿したのを訂正しました。
やっちまった…ごめんなさい!!




