第70話 光王の神殿
第70話 光王の神殿
聖都エルシオンの地下。
レインたちは、長い石造りの階段を下りていた。
先頭を歩くのはエレナ。
手にした杖から黄金の光が放たれ、暗い道を照らしている。
「こんな場所が聖都の地下にあったなんて……。」
クロードが周囲を見回す。
壁には、見たことのない古代文字が刻まれていた。
アズールがその文字を読む。
「古代王国の記録だ。」
「ここは、かつて光王が暮らしていた場所らしい。」
レインは足を止める。
「光王って、最初の継承者のこと?」
「おそらくな。」
⸻
しばらく進むと、巨大な扉が現れた。
扉の中央には、七つの紋章が刻まれている。
そのうち五つがレインの魔導書と同じ形をしていた。
「これ……。」
レインが魔導書を近づける。
すると五つの紋章が青く輝いた。
続いて、エレナの胸元にある黄金の紋章も光り始める。
残る一つだけが、黒く染まっていた。
「六つ目まで揃ってる。」
リリアが呟く。
「最後の一つは……。」
アズールが険しい顔をする。
「まだ誰にも継承されていない。」
レインは扉を見つめた。
「じゃあ、最後の遺産はどこに?」
その瞬間――。
扉がゆっくり開いた。
⸻
中には巨大な神殿が広がっていた。
天井は見えないほど高く、中央には黄金の玉座が置かれている。
その前には、一人の男が立っていた。
「来たか。」
レインが剣を抜く。
「アレス……!」
アレスは振り返る。
「第六の継承者も連れてきたか。」
エレナが杖を構える。
「あなたが黒翼教団を率いているの?」
アレスは首を横に振った。
「違う。」
「私はただ、教祖の命令に従っているだけだ。」
レインが問いかける。
「教祖は何者なんだ?」
アレスはしばらく黙った。
そして――。
「お前たちが想像している人物ではない。」
⸻
アレスが手を掲げる。
神殿の壁に巨大な映像が浮かび上がった。
そこには、一人の少年が映っていた。
白い服。
金色の髪。
そして、レインとよく似た瞳。
「……誰?」
レインが息をのむ。
アレスは静かに言った。
「これが、最初の継承者。」
レインは驚く。
「最初の継承者……。」
「そして、この少年こそが――。」
映像の少年が振り返る。
その顔は、レインと瓜二つだった。
「お前の先祖だ。」
⸻
レインは言葉を失う。
「俺の……先祖?」
「そうだ。」
アレスが続ける。
「七つの遺産は、この少年によって作られた。」
「そして、最後の戦いで彼は大きな過ちを犯した。」
エレナが尋ねる。
「どんな過ち?」
アレスは黄金の玉座を見る。
「世界を守るために、終焉の力を自分の身体へ封印した。」
「その結果――。」
「彼の魂は七つに分かれた。」
レインの魔導書が激しく輝く。
「七つに……?」
アレスが頷く。
「それが七つの遺産の正体だ。」
⸻
突然、神殿全体が揺れた。
ドォォォォン!!
天井から黒い亀裂が広がる。
アレスが顔を上げる。
「もう時間がない。」
「教祖が来る。」
レインは剣を構える。
「ここで待ち受ける。」
アレスは首を横に振る。
「お前にはまだ早い。」
「だったら、俺が強くなるしかない。」
レインの五つの紋章と、エレナの光が共鳴する。
黄金の玉座が光り始めた。
その奥から、一つの小さな光が浮かび上がる。
レインの魔導書に文字が刻まれる。
『第六の遺産、継承条件を確認。』
そして、その下に新たな文字。
『継承者の血と光を一つにせよ。』
エレナが驚く。
「私とレインの力を……?」
レインは頷く。
「やってみよう。」
二人が手を重ねる。
黄金と五色の光が神殿全体を包み込む。
その瞬間――。
神殿の奥から巨大な扉が開いた。
その向こうに、黒い翼を持つ男が立っていた。
「ようやく揃ったか。」
「七つの遺産の継承者たちよ。」
レインは息をのむ。
ついに、黒翼教団の教祖が姿を現した。
第71話 黒翼の教祖 へ続く。




