第62話 青炎の試練
第62話 青炎の試練
氷霊城の大広間。
床一面に青白い炎が広がり、天井まで届くほどの冷気が漂っていた。
「これが……アズールの力。」
レインは魔導書を構える。
アズールは静かに立っている。
「安心しろ。」
「この炎で殺すつもりはない。」
「なら、何のために戦う?」
レインが尋ねる。
アズールは青い炎を手のひらに浮かべた。
「試すためだ。」
「お前が本当に第五の遺産を受け取る資格があるのかをな。」
⸻
アズールが指を鳴らす。
パチン。
瞬間、床から無数の氷柱が飛び出した。
「散れ!」
レオンの声と同時に全員が左右へ飛ぶ。
レインは魔導書を開く。
「《風刃》!」
風の刃が氷柱を次々と砕いていく。
しかし、その破片が空中で止まった。
「なに……?」
アズールが手を握る。
氷の破片が一斉にレインへ飛んでくる。
「危ない!」
サラがレインを突き飛ばす。
無数の氷片が床へ突き刺さった。
「ありがとう。」
「気をつけて。あの人、魔法の動きを読んでる。」
⸻
リリアが正面から斬り込む。
「なら、魔法じゃなく直接攻撃!」
剣が青い炎へ触れる。
しかし――。
パキン!
剣の刃が一瞬で凍りついた。
「えっ……!」
アズールが手を振る。
リリアの身体まで凍り始める。
「リリア!」
レオンが駆け込み、彼女を引き離す。
「無理に近づくな!」
アズールは淡々と言った。
「俺の炎は、触れたものの魔力を凍らせる。」
「力で押し切ろうとしても無駄だ。」
⸻
レインは周囲を見回す。
青い炎。
凍る魔力。
氷の床。
「……だったら。」
魔導書を閉じる。
「魔法を使わなければいい。」
アズールの眉が動いた。
レインは剣を抜いた。
「みんな、魔法は使わない。」
「直接攻撃でいく!」
クロードが笑う。
「なるほど。」
「やっと俺の出番だな。」
⸻
五人が一斉に動く。
レオンが正面から攻める。
リリアが左。
クロードが右。
サラは後方から隙を狙う。
レインはアズールの動きを読む。
「今!」
クロードが一瞬だけアズールの足を止める。
リリアが剣を振る。
ガキィン!
アズールが炎の刃で受け止める。
その隙にレオンが踏み込んだ。
「はああっ!」
アズールの肩へ一撃。
初めて傷が入った。
「……なるほど。」
アズールが少し笑う。
「仲間との連携か。」
⸻
しかし次の瞬間。
アズールの青い炎が爆発した。
ドォォォン!!
全員が吹き飛ばされる。
レインは床を転がりながら立ち上がる。
「まだだ……。」
アズールの炎がさらに大きくなる。
「最後の試練だ。」
青い炎が巨大な狼の姿へ変わった。
氷の牙。
青白い炎。
巨大な身体。
「こいつを倒せ。」
「できなければ、第五の遺産を受け取る資格はない。」
レインは魔導書を見る。
そのページに新たな文字が浮かんだ。
『第五の試練――青炎の守護獣。』
レインは剣を握り直した。
「みんな。」
「最後の一撃だ。」
仲間たちが頷く。
青い炎の狼が咆哮する。
そして、レインたちは最後の試練へ挑んだ。
第63話 青炎の守護獣 へ続く。




