表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された雑用係、実は最強の古代魔法使いでした  作者: ラーラーリールー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/68

第51話 幻影神殿

森の中心に現れた巨大な神殿。


透き通る紫色の水晶で造られたその建物は、まるで空へ伸びる塔のようだった。


「これが……。」


レインは思わず息をのむ。


ルナは静かに頷いた。


「幻影神殿。」


「第四の遺産が眠る場所よ。」


神殿へ続く石畳には、黒い霧が漂っていた。


その中には無数の人影が立っている。


「全部……敵か。」


クロードが短剣を抜く。


ルナは首を振った。


「違う。」


「あれは、あなたたち自身の恐怖。」


「心が負ければ、本物の敵になる。」



五人はゆっくりと石畳を歩き始めた。


すると最初の黒い影が形を変えていく。


レインの前に現れたのは――イグニスだった。


「また会ったな。」


燃え盛る炎をまとった姿。


あの日と同じ圧倒的な威圧感。


「……幻だ。」


レインは自分に言い聞かせる。


だがイグニスは笑う。


「どうした?」


「また負けるのが怖いのか。」


胸が締め付けられる。


敗北した記憶が鮮明によみがえった。


「違う!」


レインは魔導書を握り締める。


「俺はもう逃げない!」


その言葉と同時に魔導書が青く輝く。


幻のイグニスは光となって消えていった。



その頃、リリアの前には一人の少女が立っていた。


幼い頃の自分だった。


「どうせ何をやっても無駄。」


「弱いままだよ。」


幼い自分が涙を流しながら呟く。


リリアは静かに近づいた。


「違う。」


「私は弱かった。」


「でも、一人じゃなかった。」


「仲間がいたから、ここまで来られた。」


幼い自分は微笑み、光の粒となって消えていく。



クロードの前には、大勢の冒険者が現れた。


「お前は足手まといだ。」


「仲間の邪魔をするな。」


昔、駆け出しの頃に浴びせられた言葉だった。


クロードは苦笑する。


「昔なら落ち込んでたな。」


短剣を構え、前を向く。


「でも今は違う。」


「俺には信じてくれる仲間がいる!」


影は砕け散り、霧の中へ消えていった。



サラの前には再び父親が現れる。


「帰っておいで。」


優しい笑顔。


だがサラは首を横に振った。


「ごめん。」


「私はもう前に進む。」


父親は静かに微笑み、風となって消えていく。



最後にレオン。


彼の前には、王国騎士団の団長が立っていた。


「お前は失敗した。」


「仲間を守れなかった。」


レオンは目を閉じる。


過去の任務。


守れなかった部下。


今でも忘れられない記憶だった。


「……ああ。」


「確かに守れなかった。」


「だから今度こそ守る。」


騎士団長の幻は静かに頷き、消えていった。



すべての幻が消えると、石畳を覆っていた黒い霧も晴れていく。


ルナは安心したように微笑んだ。


「みんな、自分の弱さを乗り越えた。」


「第一の試練は合格。」


神殿の巨大な扉が、ゆっくりと音を立てて開いた。


ゴゴゴゴ……。


内部には無数の水晶柱が並び、天井には星空のような光が広がっている。


幻想的な光景だった。


しかし、その奥から突然拍手が響く。


パチ……パチ……。


「見事だ。」


聞き覚えのある声だった。


レインたちは一斉に振り向く。


神殿の中央に立っていたのは、黒い仮面をつけた男。


黒翼教団の幹部だった。


「ここまで来るとは思わなかった。」


男はゆっくりと仮面へ手を掛ける。


「ならば、少しだけ私も本気を見せよう。」


仮面が外される。


その下から現れた顔を見たレオンの表情が凍りついた。


「そんな……。」


「まさか、お前は……!」


男は静かに笑った。


「久しぶりだな、レオン。」


「兄さん。」


神殿に、重苦しい沈黙が流れた。


第52話 裏切りの兄 へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ