↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された雑用係、実は最強の古代魔法使いでした  作者: ラーラーリールー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/72

第46話 炎の使徒イグニス

ゴゴゴゴゴ……。


封印の扉が完全に開いた。


洞窟全体が激しく揺れ、天井から無数の岩が落ちてくる。


その奥に広がっていたのは、巨大な溶岩湖だった。


真っ赤に煮えたぎる溶岩が波打ち、灼熱の熱気が吹き荒れる。


そして、その中央に一人の男が立っていた。


燃えるような赤髪。


漆黒の鎧。


肩から揺らめく炎のマント。


閉じられていた瞳が、ゆっくりと開く。


黄金色の瞳。


だが、その奥には底知れない力が宿っていた。


「……久しいな。」


低く響く声が洞窟中へ広がる。


男は静かに周囲を見回す。


「ここは、今の時代か。」


黒翼教団の魔導士たちは一斉に跪いた。


「お待ちしておりました、炎の使徒イグニス様。」


イグニスは男たちを見ることもなく、ゆっくりとレインへ視線を向ける。


「お前が継承者か。」


その一言だけで、空気が震えた。


⸻


レインは無意識に魔導書を強く握る。


これまでの敵とは明らかに違う。


ただ立っているだけなのに、全身が震えるほどの威圧感だった。


リリアも剣を構える。


「気を抜いたら終わる。」


クロードは短剣を握りながら苦笑した。


「毎回そうだけど、今回は特にヤバそうだ。」


フェンリクもイグニスを見つめ、低く唸る。


闇から解放された狼王でさえ警戒していた。


⸻


イグニスはゆっくりと右手を上げる。


パチン。


指を鳴らしただけだった。


次の瞬間。


ドォォォン!!


巨大な火柱がレインたちの目の前で噴き上がる。


「避けろ!」


四人はとっさに飛び退いた。


ほんの一瞬前まで立っていた場所は、溶けた岩となっていた。


「指を鳴らしただけで……。」


レインは息をのむ。


イグニスは退屈そうにため息をつく。


「弱い。」


「本当にヴァルグを倒した者なのか?」


その言葉には失望すら混じっていた。


⸻


「ふざけるな!」


リリアが飛び出す。


全力の一撃。


剣がイグニスへ振り下ろされる。


しかし――。


カンッ。


イグニスは人差し指一本で剣を受け止めた。


「なっ……。」


リリアの表情が凍る。


「技は悪くない。」


「だが、軽い。」


イグニスは軽く指を弾いた。


ガァン!!


リリアは十メートル以上吹き飛ばされ、岩壁へ叩きつけられる。


「リリア!」


クロードが駆け寄る。


「大丈夫か!」


「まだ……立てる。」


だが腕は震え、剣を握るのもやっとだった。


⸻


レインは海神の宝珠を掲げる。


「《蒼海の激流》!」


大量の水が渦となってイグニスへ襲いかかる。


だがイグニスは笑った。


「水か。」


炎をまとった拳を前へ突き出す。


ゴォォッ!!


炎と水がぶつかる。


激しい水蒸気が洞窟を包み込んだ。


しかし蒸気が晴れた時、イグニスは無傷だった。


「悪くない。」


「だが、まだ届かん。」


⸻


その時だった。


魔導書が激しく光る。


ページが勝手にめくられ、古代文字が浮かぶ。


『現戦力では勝率一%未満。』


レインの表情が固まる。


一%。


ほぼ勝ち目がない。


さらに文字が続く。


『戦うな。継承者を守れ。』


「逃げろってことか……。」


レインは唇を噛む。


ここで戦えば全滅する。


だが、サラはまだ捕らわれたままだ。


⸻


イグニスは三人を見つめ、小さく笑った。


「安心しろ。」


「今日は殺さない。」


意外な言葉だった。


「お前は面白い。」


「七つの遺産を集め、もっと強くなれ。」


「その時に、我が本気で相手をしてやろう。」


レインは目を見開く。


「どういうつもりだ。」


イグニスは背を向ける。


「今のお前を倒しても退屈だからだ。」


その言葉には圧倒的な自信があった。


黒翼教団の魔導士が慌てて尋ねる。


「イグニス様、追撃は……。」


「不要。」


イグニスは静かに歩き出す。


「我は王都で待つ。」


「世界が炎に包まれる日を。」


そう言い残すと、巨大な炎の柱がイグニスを包んだ。


次の瞬間、その姿は消えていた。


静寂が戻る。


残されたのは熱気だけ。


レインは拳を強く握る。


「……負けた。」


誰一人反論できなかった。


初めて味わう、圧倒的な力の差。


だが、その敗北が三人の心に新たな決意を刻む。


「次は……。」


レインは静かに立ち上がる。


「必ず追いつく。」


その言葉を聞いたフェンリクは静かに頷いた。


そして洞窟のさらに奥では、黒翼教団の幹部が不敵な笑みを浮かべていた。


「計画は順調だ。」


その視線の先には、まだ誰も知らない第四の遺産の地図が広がっていた。


第47話 敗北の先に へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。