表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された雑用係、実は最強の古代魔法使いでした  作者: ラーラーリールー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/68

第28話 天空の封印

神殿中に刻まれた古代文字が、黄金色の光を放つ。


床。


柱。


天井。


あらゆる場所から光が集まり、巨大な封印陣が完成していく。


ヴァルグは初めて険しい表情を見せた。


「この術式は……。」


セレスは祭壇の前に立ち、静かに詠唱を続ける。


「天空神殿に眠る古の契約よ。」


「再び災厄を封じ給え。」


神殿が大きく震えた。



レインは立ち上がろうとする。


しかし、足に力が入らない。


「くっ……。」


魔力の使いすぎだった。


頭がぼんやりする。


視界も霞んでいた。


「無理するな。」


肩を支えたのはリリアだった。


「でも……。」


「一人で戦うな。」


その一言で、レインは我に返る。


隣を見ると、クロードも立っている。


「最後まで付き合うって決めただろ。」


クロードは笑った。


「それに、借りも返してないしな。」


レインは小さく笑う。


「ありがとう。」



一方、ゼノスはヴァルグの前へ立っていた。


「お前が封印されれば、我々の計画も振り出しだ。」


ヴァルグは鼻で笑う。


「なら止めてみろ。」


黒い魔力が一気に膨れ上がる。


「我は魔王軍四使徒。」


「人間ごときの封印など——」


最後まで言い切る前に。


ゼノスが静かに呟いた。


「《黒界》。」


黒い魔法陣が神殿いっぱいに広がる。


周囲の魔力を吸収し、自らの力へ変える黒翼教団の秘術だった。


「お前……命を削る気か。」


ヴァルグが初めて驚いた表情を見せる。


ゼノスは薄く笑う。


「必要な犠牲だ。」


彼の髪が少しずつ白く変わっていく。


命を代償にする魔法。


それでもゼノスは止めなかった。


「レイン!」


「今しかない!」



レインは《始原の魔導書》を開く。


天空の腕輪も眩しく輝く。


二つの遺産が完全に共鳴した。


その時、魔導書の最後の白紙だったページに文字が浮かび上がる。


《封印術・蒼天結界》


「新しい魔法……。」


レインは自然と詠唱を始めていた。


古代語が口から溢れる。


意味は分からない。


それでも、不思議と迷いはなかった。


青い光が神殿中を包む。


黄金の封印陣と重なり合い、一つの巨大な魔法陣が完成する。


セレスが叫ぶ。


「継承者!」


「今です!」


レインは右手をヴァルグへ向けた。


「《蒼天結界》!」


青と黄金の光が交差する。


何本もの光の鎖がヴァルグへ伸びた。


「ぐっ……!」


初めてヴァルグが膝をつく。


鎧に亀裂が走る。


「人間が……!」


光の鎖は全身へ巻き付き、動きを封じていく。


ヴァルグは最後の力で魔力を解放した。


神殿が激しく揺れる。


天井が崩れ始めた。


「神殿が!」


クロードが叫ぶ。


セレスは静かに首を振る。


「この神殿は役目を終えます。」


「でも封印は完成します。」


レインは歯を食いしばる。


さらに魔力を流し込む。


「終わらせる!」


光が一気に強くなる。


ヴァルグの身体は少しずつ光へ飲み込まれていった。


「継承者……。」


ヴァルグはレインを睨む。


「我ら四使徒は……。」


「一人ではない。」


「必ず……。」


「魔王様は——」


最後まで言い終える前に。


眩い光が神殿を包み込んだ。


轟音とともに、ヴァルグの姿は完全に封印された。


静寂。


神殿を満たしていた黒い魔力が、ゆっくりと消えていく。



レインはその場へ座り込んだ。


もう立つ力も残っていない。


リリアが肩を貸す。


「終わったな。」


「ああ。」


クロードも大きく息を吐く。


「もう二度と竜とか使徒とか勘弁してほしい。」


三人は思わず笑った。


その笑い声を聞きながら、セレスは穏やかに微笑む。


「継承者。」


「あなたは確かに、一歩前へ進みました。」


彼女の身体は少しずつ光の粒へ変わっていく。


「天空神殿は消えます。」


「ですが、七つの遺産はあなたを導き続けるでしょう。」


レインは静かに頭を下げた。


「ありがとうございました。」


セレスは最後に微笑み、静かに姿を消した。


同時に神殿全体が崩れ始める。


「急いで外へ!」


リリアの声で三人は走り出した。


ゼノスたち黒翼教団も無言のまま神殿を後にする。


敵同士ではある。


だが、この場で戦う者は誰もいなかった。


神殿を出た直後、背後で大きな音が響く。


天空神殿はゆっくりと崩れ落ち、雪煙の中へ姿を消した。


レインは振り返る。


「これで終わりじゃない。」


魔導書には、まだ五つの遺産が残されている。


そしてヴァルグが残した言葉。


「四使徒は一人ではない。」


新たな戦いは、すでに始まっていた。


第3章 天空神殿編 完


第29話 新たな旅立ち へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ