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追放された雑用係、実は最強の古代魔法使いでした  作者: ラーラーリールー


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第13話 王都の喧騒

王都アルディアが見えてきたのは、アストラ村を出てから三日目の昼だった。


遠くからでも分かるほど高い城壁。


城壁の向こうには、白い建物がいくつも並んでいる。


中央には王城の尖塔が見えた。


レインは馬車の窓からその景色を見つめていた。


懐かしい。


でも、それ以上に落ち着かない。


「顔、固いぞ」


隣に座っていたリリアが言う。


「そうかな」


「うん。初めて森に入った時より緊張してる」


「それは仕方ないだろ」


レインは苦笑した。


ここには、追放される前の自分を知っている人がいる。


無能だと言われたこと。


役に立たないと笑われたこと。


思い出したくない記憶まで、王都の景色と一緒によみがえってくる。


「嫌なら、無理に誰かに会わなくていい」


リリアは窓の外を見ながら言った。


「調べるために来たんだろ」


「過去を片付けるためじゃない」


その言葉に、レインは少し救われた。


「ありがとう」


「だから礼はいいって」


リリアは少しだけ顔を背ける。


馬車は大門をくぐり、王都の中へ入った。


途端に、外の空気が変わる。


商人の呼び声。


荷車の音。


道を急ぐ人々。


王都は相変わらず人で溢れていた。


「すごいな」


リリアが小さく呟く。


アストラ村とはまるで違う。


広い石畳の道。


何階建てか分からない建物。


魔法灯が並ぶ通り。


レインにとっては見慣れた景色だった。


だが、リリアにとっては初めての王都だ。


「迷子になるなよ」


「ならない」


「さっきからずっと窓の外見てるけど」


「見てるだけだ」


少しむっとした顔をする。


その様子がおかしくて、レインは思わず笑った。


馬車は王都の中心部を抜け、白い大きな建物の前で止まった。


建物の正面には、杖と本を組み合わせた紋章が掲げられている。


王都魔術研究院。


ノアが先に馬車を降りた。


「こちらです」


中へ入る。


建物の中は静かだった。


高い天井。


長い廊下。


壁には古い魔法陣や肖像画が飾られている。


すれ違う研究員たちは、皆ローブを着ていた。


そして、レインを見るたびに少しだけ視線を向ける。


気のせいではない。


ノアが連れてきた若い冒険者。


しかも未知の魔力反応を持つ人物。


注目されるのも当然だった。


「落ち着かないな」


レインが小さく言うと、リリアが隣で頷く。


「森の方がいい」


「それは分かる」


二人は同時に笑った。


その時。


廊下の奥から、数人の冒険者が歩いてきた。


見覚えのある鎧。


見覚えのある剣。


そして。


先頭を歩く金髪の青年。


カイルだった。


レインの足が止まる。


心臓が強く鳴った。


カイルもこちらに気付く。


驚いたように目を見開く。


「……レイン?」


周囲の空気が止まったように感じた。


追放されてから初めての再会。


レインは何を言えばいいのか分からなかった。


カイルは数秒間、言葉を失っていた。


やがて。


「本当に、お前だったのか」


低い声で呟く。


その表情には、驚きだけではない何かがあった。


後悔。


焦り。


そして、警戒。


レインはゆっくり息を吐いた。


逃げたい気持ちはあった。


だが、リリアの言葉を思い出す。


ここへ来たのは過去のためではない。


自分の未来を知るためだ。


「久しぶり」


レインは短く答えた。


カイルは何かを言おうとした。


しかし。


その時、ノアが静かに前へ出る。


「彼は研究院の客人です」


穏やかな声。


だが、はっきりとした牽制だった。


「用件があるなら、後にしてください」


カイルはノアを見る。


そしてレインを見る。


しばらく沈黙した後、ゆっくり頷いた。


「……分かった」


すれ違う瞬間。


カイルが小さな声で言った。


「話がある」


レインは返事をしなかった。


ただ前を向いて歩いた。


けれど。


胸の奥は少しだけ揺れていた。


王都に戻ったことで、過去は終わったわけではない。


むしろ。


ここからもう一度、向き合わなければならないのかもしれない。


第14話 魔術研究院の秘密 へ続く。

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