新車納入
「いやあ、やっぱり新車はいいねえ。」
「坊ちゃんや、皮の臭いが堪りませんぜ!」
伯爵邸の玄関前。
今日は待ちに待った新車がついに、そして今、引き渡された所である。
もちろんゲルハルト大喜び!
「これで遭難の心配はなくなったね。」
「はい、これなら速度もかなり出るでしょう。」
「馬にとっては災難だけどね。」
「いや、ディゼルもフランクも繋がれて喜んでいますわ。」
「この車体下のバネが新しい機構なのですな。」
「ええ、これで乗り心地が格段に良くなります。」
「しっかし、変わった形の板でごぜえますねえ。」
「リーフスプリングっていう板バネだよ。これが地面からの突き上げを和らげるんだ。コイルよりも耐久性に優れるから、今回はこっちで作ってもらったんだ。」
「やっぱり新しい車は心が躍りまさあ。」
「そうですでな。貴族家に華麗な馬車は欠かせませんからな。ホッホッホ!」
若い人はもっぱらスマホだが、私たちの世代は車やバイクに若い頃のめり込んだ人も多いだろう。
私だって独身の頃はロードスターに乗ってたし。
「見てくだせえや。この御者台、ウォールナットですぜ!」
「ここに鉄板が仕込まれている訳ですな。」
「これで盗賊に襲われても一安心でさあ。」
こちらとしては、逃げ切って欲しいんだが・・・
「座席も柔らかいですなあ。牛革はやはり良いものです。」
「じゃあ、今からみんなで試乗会をやろう!」
ということで、屋敷全員で試乗会。
「さすが新車、6人乗っても大丈夫!」
それ、どっかで聞いたことあるぞ・・・
馬車に初めて乗るメイド5人組。
いや、ローサは2度目か、も大はしゃぎ。
きっと、貧乏人がいきなりフェラーリ買ったら、こんな感じなんだろうなと思いつつ、試乗を終える。
さすが最新鋭の馬車だった。
「ありがとうディゼル、フランク。今日はお疲れだったね。」
ブルル!
「喜んどるわい。まあ、いつもより軽いからのう。」
「走りやすかったのかな?」
「そりゃ、前のは酷かったからなあ。馬もたまには坊ちゃんと遊びたいとよ!」
「そうだね。馬術は得意ではないけど、たまには乗ってみるか。」
「甘えん坊ではあるが、これでもあの旦那様の愛馬だからなあ。」
ロードスター、乗ってみるか。




