勇者たちの帰還
南大陸に航路探索と現地調査に行っていたロスリー、エネル両商会の船が帰港した。
結論から言えば大成功だったと言える。
エネル商会保有の貨物船は、商業ギルド国船籍の貿易船に比べるとかなり小さく、航海の安全に懸念があったが、無事でなによりだ。
「帰って早々、お疲れのところ済まない。」
「いえ、早速ご報告の場を設けていただき、ありがとうございました。」
「それで、航海はどうでしたか。」
「ええ、行きは20日かかりましたが、帰りは海流に乗って順風にも恵まれ、僅か10日で帰港できました。」
「思いの外、近かったのですね。」
例えば国内最大の港、ダンケルクからスーディルまでが順調なら最短で3~4日程度である。
感覚としては地中海よりは広いが大西洋ほどではない、といった感じか。
「港はいかがですか。」
「ええ、規模はさほどではありませんでしたが、市場はかなり大きかったです。」
「ギルドの船はたくさんいましたか。」
「いえ、我々が滞在中に来たのは2隻だけです。」
「ということは、どうやって港が発展したんだろう?」
「タルタの周辺には他にも港があるようで、多くの船が港を出入りしていました。小型船ばかりでしたので、国内航路の船とみて間違いございません。建造技術も低いものでした。」
「ところで、こちらが想定した品はございましたかな。」
「ええ、シアの実はございました。カカオというのは、どうやらあるとのことですが、あんな物何に使うんだと聞かれてしまいました。残念ながら、ジャガイモとかスイートポテト、トマト、レッドペッパー、トウモロコシなどはありませんでした。」
「今後は両方とも積極的に買い付けてください。そして、栽培してくれる人を多く確保してくれれば、安定的に購入すると持ちかけてください。それと、南大陸の国や地理、民族についてはどうでしたか。」
「港はタルタという王国にありますが、皆、国というものにそれほど拘っておりませんでした。部族というか、もっと小さな集まりと言いますか、血族を重視するようです。また、王国の南には高い山があり、その先は誰にも分からない、とのことでした。」
エネル商会長はとても優秀な人だ。
副会長は香ばしい金の臭いに敏感だったが、こちらは眼光鋭い商いの達人だ!
「そのタルタの南に何があるか気になります。ただ海が広がるだけなら諦めますが、まだ人が住む土地ならきっと何かがあるはず。」
きっと南大陸は熱帯だ、しかし山の向こうが南半球ならそこは温帯のはず。
そこにはまだ見ぬ世界とお金儲けの種が成っているはず。
やはり、軍艦は建造しよう。
海軍王に、俺はなる!




