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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
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もしかして金持ちなのかなあ

帝国歴246年6月



「坊ちゃま。これが先月の売り上げです。」

「120万ディリか。まずまずといったところだね。」

「実質、新商品の初売り上げですので、これから徐々に増えていくでしょう。」

「量より種類の豊富さで勝負したからね。」


「それで、売れ筋は?」

「ワックスが一番でした。」

「全く予想外だね。」

「ええ、掃除や家具、器具の手入れに良く売れたようです。」

「でもあれは原材料が増産できないからなあ。」

「ミツバチに頑張ってもらうほかありませんな。」


「それで石けんはどう。」

「予想どおり一番安いものが最も売れております。まあ、まだ貴族相手ではありませんし、入浴はロスリー以外の人には馴染みがありませんので。」


 そう、この時代、入浴の習慣はない。

 夏が蒸し暑いリンツ領ではごく一部に入浴する者もいるが、それ以外では貴族ですら滅多には入浴しないし、浴室すらかなり珍しい。


「まあ、洗濯用、手洗い用、入浴用と準備したけど、取りあえずは洗濯用ということね。」

「ええ、帝都での販売が始まれば、売り上げはかなり増えますが、それまでは在庫の確保に専念された方が良いと考えます。」

「もうしばらく我慢だね。香料の生産は抑えつつ、今の原料は在庫に回そう。」

「金持ち相手が本番ですからな。」


「それにしても120万ディリで驚かなくなった自分に驚くよ。」

「お金持ちの一員になった証ですな。」

「そう?私、お金持ちになったの。」

「毎月これだけの稼ぎがあるならもう、それはお金持ちと言ってよろしいかと。」

「使ってる額も凄いけどね。」

「何事も初期投資が肝心でございます。これからですぞ、坊ちゃん。」

 やっぱりこの人凄い。

 この人の感覚、現代的なんだよなあ。


「逆に売れてない商品はある。」

「ワックスと石けん以外は特筆すべき物はございません。」

「やっぱり、一般的じゃないもんね。」


「しかし、使い方次第ではなかなか便利な物が多いですので、使用法さえ浸透すれば生活に欠かせない品になるかと考えます。特にこれから販売するマッチはいいものですな。」

「そうだね。どれも使用法の普及啓発が鍵になるね。もちろん、会長に押し付けるけど・・・」


 もう少し我慢。


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