おつかいローサちゃん
彼女が屋敷に来て、もう半年がたつ。
最初はいやに小さいメイド服がおずおずと動いているだけであったが、最近は血色も良くなり、マリアさんに叱られることも減ったようで、元気そうにピョコピョコ動いている。
ある日、早めに仕事を終え、市役所裏手から商店街に出ると、メイド服が歩いていた。
いやほんとに、メイド服が歩いているという表現で正しいのだ。
興味が出たので、後を付けてみることにした。
「ローサちゃん、これ食べてみな!」
「嬢ちゃん、こっちこっち!」
あちこち、いや、全ての店で呼ばれてちょこちょこ走り回る小さなメイド。
行く先々で餌付けされ、頭を撫でられ、リリースされては簡単に捕まり・・・
そう、あれだ!人慣れした子犬か子猫だ。
しかし、ちっとも前に進まない。
「これ一つ負けとくからさ。」
「ローサちゃん、これ今日のおすすめ!」
「これ、新商品なんだ。一つ試しに買ってってくれよ。」
きっと、ジョセフさんやマリアさんの頼み事と全く違う結果になってるんだろうな・・・
「ローサちゃん、随分ちっちゃいねえ。ご領主様はちゃんと食べさせてくれてんのかい?」
「いえ、その・・・」
何か風向きがおかしくなってきたような・・・・
それとちゃんと否定しなさい。
「そうだよ!ご領主様は悪そうな顔してっもんなあ。これでも食って元気だしな!」
「全く、こんな小さい子をこき使って。とんでもない領主様だねえ。」
「顔が全てを物語ってるじゃねえか。」
「イメージとしては黒よね。」
「違えねえ!」
何だとコノヤロー!
いたたまれなくなり、ローサを回収する。
「お坊ちゃま?」
自分より小さい子からお坊ちゃま呼びされると、とても恥ずかしい。
彼女の方が年上だけど。
「帰ろうか。でも嫌なときは嫌って言っていいんだよ。」
「みんな、その、優しいので、嫌じゃない、です。」
来た道はまた捕まるので、違うルートで屋敷へ帰る。
「ここの生活にも随分慣れたみたいだね、」
「はい。毎日がとても、た、楽しいです。本当に、ありがとうございます。」
彼女が元気に、そして生きることの喜びを感じてくれたら、それでいい。
としばし感傷に浸っていると・・・
「あ~らエルちゃ~ん。来てくれたのね!そろそろ来る感じがしてたわあ!制服、試作できてるわよ!寄ってってよ~!」
でざいなーがあらわれた!にげる。
しかしまわりこまれてしまった!
ってどっかでフラグ立ってた?




