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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
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影を照らす

 光ある所に必ず影あり。

 どんなに眩しくても、目が眩んでいても、どこかに必ず影はある。

 ただ、影を少なくする努力は領主として行わなければならない。


 リンツ領における最大の影は、ロスリーとスーディルにおける貧民街であった。

 これらは町の規模から考えても非常に大きい規模であった。

 これはひとえに、ここが貧しい地域だった証である。


 これに関してはリンツ家没落阻止作戦の副作用で、急速にその姿を消しつつある。

 格差というものが無くなることはないが、最低ラインが底上げされれば、民衆の不満も少なくなるだろう。


 次に貧相な食事事情であるが、領民の所得水準は今後、向上するだろう。

 そうなれば最初は量が充実し、次に高品質なものを欲することになる。

 現在、各試験場で様々な試験が行われているが、これらが農民の所得向上と高品質な作物の生産意欲喚起に役立つことを期待している。


 そして生活の質については、水道、新商品販売、美容・ファッションなど、多方面からアプローチを行っているつもりである。

 そして、衣食足りれば治安は向上するはずだが、殺到する移住者が今後、どう転ぶかが鍵となる。


 それについては、ロスリー市内南側の造成を促進している。

 伯爵家が直接手を下しているのではなく、口を出しているだけだが、こちらへの誘導は上手くいっている。

 今後はスーディルの都市計画についても検証していく。

 そして犯罪防止については、騎士団に加え自警消防団が活動を始めた。

 同じくスーディルも来年度発足に向けて動いている。


 影を小さくするため、光を妨げる障害物は着実に減らしてきたつもりだ。

 そして本日、一つの追加策が実現した。そう、孤児対策である。


 元はと言えば、私が奴隷取引を制限したことが発端となり、一時的ではあっても孤児と見做される子供が増えたが、そうでなくても親のいない子は一定数存在する。医療も福祉も未発達である以上、これは避けられない。


 しかし、これらの子供たちを学校に通わせ、そこいらの大人顔負けの知識を習得させて社会に帰していく必要がある。


 では、何をしたかというと、端的に言えば教会に押しつけた、ただそれだけ。

 


 もちろん、教会は従来から人々の救済を名分に孤児を引き取ってはいたが、これを義務とさせた。

 さすがの教会も渋っていたが、行政サービスの停止や水道の供給対象から外すことをちらつかせたら、快く首を縦に振ってくれた。

 伯爵家よりはるかに金を持っているのだから、当然である。

 すぐに立派な孤児院が完成するであろう。


 リンツ領の光は黒い。


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