早速フル操業
工業団地内にある火薬製造、化学薬品、金属精錬、金属加工の4工場が操業開始した。
従業員教育には本当に苦労した。
何せ現代社会と異なり、こういった作業を全く知らない、しかも字が読めない人たちに物事を伝えるためにほぼ付きっきりだったのだ。
なのでここ最近はずっと「見て盗め」とばかり、実演を続けた。
本当に21世紀の人たちは学校の勉強以外に様々な場所で膨大な知識を習得した優秀な労働力だったんだなあと思い知らされる。
でも私だって何でも知ってる訳じゃ無い。
紙漉きと紡績はその道のプロに仕込んでもらおう。
更に紡績縫製工場もジャカード手動織機の実用化が成功次第、建設を開始するし、技術開発研究所も建物は完成した。
肝心の研究者はいないが・・・
「だいぶ、工業団地らしくなったね。」
「ええ、丘は低いですが、工場が階段状にそびえる姿は大きな城のようです。」
「街道を挟んだ反対側にも工場を作るからね。」
「これほど集約化された工業区域は国内でもここだけでしょう。」
「さて、3工場に指示を出すかな。」
化学工場はラインごとに生産する物質があらかじめ決められており、淡々と操業するだけである。
薬品類だけでなく、別棟で石けんやシャンプーなどの日用品も作るため、およそ化学工場とは思えない香料や木材、果汁やオイルといった食べられるものまで倉庫に山積みされている。
これら製品の保管には市内で生産されたガラス瓶が大活躍しており、領内の総力を結集したものであることが分かる。
ここでは、先ほどの日用品に加え、化学肥料と漂白剤を製造品目第一弾としている。
すぐに追加第二弾として、化粧品とアロマ製品を加えていく。
ここらあたりは、従業員の習熟度次第である。もちろん、順次増員も図っていく。
ちなみに、従業員は基本的に同一ラインに班単位で配属され、一人一人はラインの一部を担当することとしている。
これは危険が伴う作業が多いため、あまり複雑なことをさせる訳にはいかないことと、企業秘密の保護のためである。
金属精錬工場では、当面、銅と鉄が生産される。
高炉では鋼を生産しており、鋳造、鍛造ともに従来より格段に生産効率を高めている。
これで圧延する機械があれば、と思うが、さすがにそこまでの技術も燃料を含めた動力源もない。
ここで、既に設計を終えている大型機械用仕様書を示す。
ここでおおよその部品は生産しておくのだ。
金属加工工場は主に大型機械の組み立てを行う。
もちろん蒸気ボイラーや動力伝達用のシャフトなどを製造する。
まだ銅の加工はともかく鉄の溶接はかなり心配なレベルだが、そのうち石炭火力発電機と鉛バッテリーを作ってアーク溶接に挑戦してみようかなと考えている。
まあ、バッテリーの電力では難しそうだが・・・
「さて、半月もすればだいぶ初期の在庫はできるよね。」
「ええ、来週にはロスリー商会長にも視察していただく予定です。」
「いつまでも剣玉に頼る訳にはいかないからね。」
ついに自転車操業から抜け出せるか?




