エルハバード、お上りさんになる
ということで、意図せず帝都に行くことに。
乗り合い馬車かなあ、と思っていたら、ロスリー商会が出してくれた。
うちの馬車だと途中で遭難しそうだし、ゲルハルトだと寄り道して到着しそうにない。
「ではご領主様、のんびり参りましょう。」
「では、みんな行ってくる。」
「お気を付けていってらっしゃいませ!」
帝国は間違いなく夜警国家である。
いや、この時代は押し並べてどの国だってそうだ。
しかし、その中でも帝国には帝都から各地に主要街道が延び、路線ごとに乗合馬車というものが存在する。
そして利用者の乗降、馬の交換、野営のため各地に駅が存在する。
ロスリーやスーディルといった辺境の地にだって駅があるのだ。
また、これを利用した郵便事業すら存在する。
さすがは大陸を代表する大国である。
「しかし、他の領地の様子を見るのは初めてです。何といっても見渡す限り畑が広がっている風景は壮観です。」
「そうですか。でも実りの季節はもっとすごいですよ。この辺りなんか一面麦で覆われますから。」
「そりゃ、豊かなわけだ。」
「ええ、これまでは。しかし、これからは違います。ご領地は大きく発展するでしょう。それこそ、10年後も変わってないであろうこの風景を追い越すほどに。」
「そうなるといいんですけど。」
「その頃には、私も田舎の小さな商会長ではなく、国内有数の、ゲフンゲフン・・・」
商会長!お前もか!
そうこうしながら2週間、馬車の旅を終え、帝都に到着する。
「さすがに大きな町ですねえ。想像はしてましたが、さすが大陸一の大都会です。」
「ええ、こればかりは土地の狭いロスリーでは逆立ちしても敵いませんねえ。城も市場もとても立派だと聞いております。」」
「でも、ほらあそこ!うんこが降ってる。」
「そうですね。ロスリーでは消えつつある風景です。」
「馬車は多いし、喧噪はすごいし、うんこを避けるのは難しそうだし、私は住めないかな。」
「慣れればどうということは無いと思いますが・・・」
いや、高松くらい便利ならいいんだけどね・・・
いくら大きな街だといっても、知り合いのいない不便な都会なんて・・・




