3時間クッキング
さて、ジョルジュたち調理班が様々なソースを完成させた。
そして卵、牛乳、チーズ、小麦粉、砂糖、鶏肉、豚肉など数多くの食材とハーブ、香辛料などが並べられている。
「今まではスープとライ麦のパンが主なメニューだったが、これからいろんな料理を開発し、豊かさを実感するとともに、この伯爵邸から領民に美味しい食事を採ることの楽しみを提案したいと考えている。」
「しかし、これだけの高級食材を集めると壮観ですね。」
「うん。初めて見るものもあるね。」
いや、日本ではごく普通の食材だけど、思えば久しく食べていない気がする。
これら様々な食材を使って作るのはデミグラスソース、フォンドヴォー、ブーケガルニ、ブイヨンといったソースや隠し味とシチュー、ハンバーグ、エビフライ、パンフィッシュ、とんかつといった料理、カスタードプリン、パイ、栗きんとん、チーズケーキ、マドレーヌをはじめとした菓子類である。
「こんなにたくさん・・・しかしどれも見たことも聞いたこともない品ばかりです。」
「驚くよ。」
「ええ、前回のソースも驚きの連続でしたので、今回はさらに凄いことになるのではと期待に胸が膨らみます。」
「しかも、今まで作っていた料理もこれで改良できます。」
「そう。新しい料理の開発と、既にある料理の改良は是非積極的にやって欲しい。」
「しかし坊ちゃま。これらのアイデアはどこから・・・」
「いやあ、商業ギルド国の物産を見ていて閃いた、かな・・・あとはほら、スーパーマジカルブレインの力だね。私が凄い訳じゃないから・・・・」
「よく分かりませんが、しかし坊ちゃまが、これまでの常識を覆す新しい境地に達しようとしているのは分かります。」
「私もそう思います。どうやったらこんな発想になるのか、全く見当が付きません。」
「いやあ、慣れだよ慣れ・・・」
相変わらず、自分の事を聞かれるのが一番答えにくい。
「では、早速順番に取りかかります。まずはデミグラスソースからね。」
「ええっと、この紙に書いてある手順ですね。バター、小麦粉、タマネギ、水、牛肉の煮込み汁、ウスターソース、塩、砂糖、赤ワインですね。」
「まだ薄力粉とかトマトケチャップとかを開発して、改良する必要はあるけど、差し当たってはこの材料で作るよ。ヤンさんは、牛肉と豚肉を挽肉にする作業と、タマネギのみじん切りをお願い。」
「畏まりました。」
「ジョセフさんは小麦粉がきつね色になるまで炒めて。」
「了解しました。」
「次に入れるのはこれ。」
「バターとタマネギですね。」
「さらに、ワイン以外の材料を後で加えたら、味見してみるから。」
「坊ちゃんが作っているそれはなんですか?」
「ブーケガルニっていう、肉なんかの臭みを取るものだよ。煮込み料理に使うんだ。これ自体は食べないよ。ローズマリー、パセリ、タイム、セロリ、ローリエと、今日は無いけど胡椒だね。パンフィッシュを作るから、ちょっと下ごしらえに使おうと思ってね。」
「パンフィッシュって、焼くんですよね。」
「今日はさらに一手間ってところかな。」
まあ、この人数だと大変だが、何とか形にはなっていく。
「やはり、料理は楽しいですね。」
「みんなの驚く顔を見ると、さらにやる気が出てくると思うよ。」
調理に3時間以上かかったが、こうして作られた様々なメニューやソース、菓子は屋敷の人たちで美味しくいただきました。
今までの金儲け策は、私とセバスがほくそ笑んでいただけであるが、こうしてみんなで食卓を囲むのは幸福感があって凄くいい。
「第三弾を考えなければ。というより早く貿易したいな。」
生活環境改善に美味しい食事は外せない。




