領内の景気とさらなる浮揚策
領内の景気は非常に良い。
良い感じがする、といった程度ではない。
明らかに良いに決まっていると分かるくらい活気に満ちている。
正直、これほど上手くいくとは思っていなかった。
まず新築工事ラッシュである。
住宅はロスリー市内西側の貧民街と地価の安い南側を中心に新築が増えており、貧民街にかつての面影はない。たった1年なのに・・・
また、西の丘陵地帯には工場が建設中だし、帝都東部街道南側で学校と市民病院、市役所隣で政庁の建設も始まった。
どこにそれだけの作業員がいたんだ、と不思議になるが、近隣から集まって来ているらしい。
これに使役事業が加わっているので、市内はざわついている。
商業も順調である。
ロスリー商会だけでなく各小売も順調なようだ。
まあ、これだけ人が増え、目に見えて雇用が改善すれば自ずとこうなる。
そして消費が増えれば運輸事業も潤う。
また、更なる景気浮揚策として新興商人育成制度と同事業者認定制度を創設した。
新興商人育成は所謂セミナー形式で人材育成を図るもので、差し当たりロスリーとエネルの二つを認定した。
二つの商会とも決して「新興」ではないが、ほかにめぼしい事業者がいないことと、実質御用商人である彼らを重用する根拠が欲しかったのである。
そしてロスリー商会には今後、貿易で入手すべき品目を「国内導入産品選定方針書」として示した。
商業ギルドにバレないよう、当面部外秘とした。
同時にエネル商会と合同で大量の梱包材と樽の調達を指示した。
また最近、石灰石採掘事業者が組合を設立した。
経営安定と供給量拡大を図る目的らしい。
道路舗装や側溝、土管、建築工事の基礎などにコンクリートや漆喰は不可欠であるので非常にありがたい。
反面、レンガは供給が追いついておらず、品薄状態が続いている。
材料がほぼ無尽蔵にあるだけに残念だ。
さらに山間部の林業事業体に雇用拡大を依頼した。
急に増産しづらい品目ナンバーワンである。
しかも山の無い領外移住者がまず持ち得ない技術である。時間をかけるほかない。
併せて山間部振興策として養蜂業を振興産業に追加指定した。
そして人口の増加も続いている、というより次から次へと流入している。
これ以上、市役所の仕事を増やすのは忍びないので、増加数は調べていないものの、市内だけで100人なんてものではないと思う。
そして彼らの多くは西のシュバイツァー男爵領から移ってきた者である。
その他にも更に西のエルリッヒ伯爵領や東のガーゴイル地方の住民も散見され、リンツ領の噂の広がりが見て取れる。
なお、スーディルでも似たような現象が起こっている。
そして、ゴホーク村の人口がウスター村に並んだとの報告を聞いた。
単純に倍増である。
今、何かが起きている!




