エルハバード、調理場に籠もる
今日は調理場にいる。
今までは貴族とは名ばかりの極貧生活の中で食事も庶民、いや、それ以下の内容であったが、最近は改善しつつある。
「ジョセフ、今日は新しい調味料やメニューを考案したんで聞いて欲しいんだけど。」
「何と!面白そうですね。ヤン、お前も来なさい。」
「はい。私たちも坊ちゃんの悪だくみに参加できるのですか?」
「うん。二人とも覚悟はいいかい?」
「坊ちゃんのやることでしたら、どこまでもお付き合いします。」
二人は料理長のジョセフと副料理長のヤン。
といっても屋敷の料理人はこの二人しかいない。
どちらも口数は少なく物静かであるが、あんな材料で何とか食事を作ってみせるだけあって腕は確かだ。
「早速なんだけど、最近うちも少しだけ贅沢できるようになってきたんで、卵とか牛乳が使えるようになってきた。野菜だってお店からクズを貰って来なくてもよくなった。肉だって・・・」
何か知らんけど涙が出てきた。本当に貴族か?
「まあ、そういうことで差し当たって、調味料やソースといったものを新しく開発して食卓を更に彩りたい。まず最初に作りたいのはマヨネーズ、タルタルソース、、生クリームとホイップクリーム、チーズクリーム、ウスターソースだ。材料と作り方はここに書いてみた。」
「なるほど。これを作ってみれば良いのですね。」
「これは聞いたこともないソースですね。」
「うん。今まではやりたくても無理だったけど、材料を揃えられそうなので、味は保証するよ。」
本当はトマトケチャップも作りたいが、どこの大陸にあるんだろう、トマト。
「このマヨネーズとタルタルソースは材料さえあればすぐ作れますね。」
「この生クリームも簡単ですよ。」
「このウスターソースのウスターは村の名前ですか?」
「いや、たまたま同じ名前であって関係ない。」
「この胡椒、唐辛子が括弧書きになってますが。」
「うん。胡椒は高くて手に入らないし、唐辛子というものはまだ輸入されていないんで、取りあえず括弧書きの材料抜きで作ってみようと思って・・・」
「どれも簡単にできるものなのですね。どんな味か楽しみです。」
「どれも驚くよ。これができたらすぐ第二弾を発表するからね。」
悪だくみの輪が拡がる。




