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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
34/1781

リンツ家、工場オーナーを目指す

 さっき組み立て前の大砲を見たばかりなのに、もう工場建設予定地にやってきた。

 目の前の低い丘には、同じ種類の木が等間隔に植えられている。果樹園か?



「坊ちゃま。火薬製造工場を建設するとのことですが、どのくらいの広さが必要でしょうか。」

「敷地そのものはそれほど必要ない。ただし、爆発事故に備えて周囲の壁は頑丈にする必要があるし、原材料倉庫と貯水槽は欲しい。」


「しかし、中心部から歩いて1時間ほどかかりますが。」

「工場だからね。安全性や騒音を考えると少し離れるのはやむを得ない。それにここは街道に面した丘の上なので丁度いいかなと考えている。」


「工場はこの1カ所だけですか。」

「火薬工場は1カ所でいいと思う。将来は別の種類の火薬も作りたいけど、それもあまり広い敷地は必要ないと思う。この丘の頂上に火薬工場、一段下に化学薬品工場をいくつか建てたいと考えている。」


「造成は下から行った方が良いと思いますが。」

「そうだね。ただ、火薬工場は事故時に他を巻き込まないよう、一番高い所にしたい。これを先に建設するなら、上からでもやむを得ない。」


「化学工場とはどのようなものでしょうか?」

「薬や化粧品、石けん、肥料などの材料を作る工場のことだよ。せっかく石炭があるんだから硫黄やアンモニアも作れるといいな。」


「坊ちゃまの知識はどこから得たものなのでしょう?」

「うーん。書斎にあった本、かな?あとはスーパーマジカルブレインだよ。」

「まあ、火薬なるものを見てしまった後ですし、疑うわけではございませんが、少々恐ろしさも感じます。」

 そこを正直に言ってくれることがありがたい。

 でも上手く説明できない。


「まあ、あの膨大な計画書を書かれる坊ちゃんなら、そういうこともあるでしょうな。」

 自分で完結しちゃった。さすがセバス!


「後はどのような工場を建てるご予定でしょう?」

「製紙、食品生産・加工、製糸縫製、兵器生産・大型機械組立、精密機器製造くらいは欲しいなあ。お金・・・足りないねえ。」


「しかしこの半年、いや10ヶ月で大きく変化しました。これは過去100年の変化を超えると言っても過言ではありません。近い将来、現実のものになると信じております。」

「では、購入してもいいかな。」

「今は単なる果樹園ですから安く購入できるでしょう。むしろ整地と道路にお金がかかると思います。」

「リンツ土木商会の初仕事だね。」

「ああ、安くできる手立てがありましたなあ。」


 早く社員集めしなくては。


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