0-2「己の限界」
どうも。第2話公開させて頂きました。
第1話に続き、戦闘シーンを盛り込んでいます。新たな味方と敵が登場し、今後に期待してしまうような展開に仕上がりました。
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稀に人間が生まれ持つ“異常体質”とは限界突破状態を作り出す覚醒能力の一種。これは多くが解放できない力だった。
本来、厳しい修行を必須とする。それは本当に過酷な道のりで、大抵が挫けて終わる末路に至っていた。これを扱えた前例は少ない。
今、高揚とした自分が敵を討ち取ろうとしていた。これまでにない力に満ち溢れている。
襲い掛かる大きな手が打ち砕けた。赤い光を灯した拳は以前より強化されているのが分かる。これが俺の扱う超能力【カラフルライト】だ。
多色の光を用いた強化が目的とされる能力。赤色は身体強化を施していた。異常体質の解禁と併用された肉体は負けることを知らない。
大きな手を粉砕し、続けて男に拳が届いた。凄まじい殴打を放ち、大きく男は吹っ飛ばされてしまう。まるでトラックに撥ねられた人を見るような光景だった。
「はぁ……はぁ……! 終わったな」
凄い疲労感が肉体に遅れて生じた。これだけの力を解放したんだから当然だ。しかし、お陰で窮地は達している。
その場に座り込んで体を休ませた。呼吸が乱れ、心拍数は跳ね上がる。これでは当分動けそうにもなかった。
「や、やったんだな。これで救われたはず……」
呼吸を整えながら“勝ち取った”と言う達成感に浸った。すると、急に駆けつけた少女が抱き付いて来る。
「ありがとう! 凄くカッコ良かったよ! 助けてくれて嬉しいわ!」
「……え? あ、えーと、気安く抱きつかないでくれるかな……」
「おっと! ごめんなさい。つい嬉しくなっちゃって。それより体は大丈夫?」
本当に心配そうな表情を窺わせる少女。彼女が救おうとしてくれなかったら自分はとっくに終わっていたはすだ。自分が立ち向かえたのは彼女の行動あってこその話だった。
「本当にありがとう。そもそも助けようとしてくれて嬉しかった。俺が助けられた感じだよ」
「別に大して珍しいことじゃない。私は公認ヒーローとして国民を守る資格がある。なのに、助けられちゃった。本当に感謝でいっぱいだよ」
少女は嬉し涙を流していた。最終的に俺の行動は人を救ったらしい。
(こんな展開でも偶には良いなぁ)
何だか今の自分に惚れ惚れした。別に女の子から感謝されたことが良かったんじゃない。単純に人を救えた結果だけが俺を満たしていた。
そんな気の抜けた空気の中、敵が一人立ち上がろうとする。
「なっ⁉︎ まだ立ち上がるのかよ⁉︎」
「大丈夫。後は私に任せて」
少女が庇うように代わりを名乗り出た。ここは公認ヒーローが担ってくれるらしい。そもそも俺はこれ以上動けそうにもなかった。
「くそっ……体が思うように動かない……」
「最後にお願い……! 出し切らせて!」
少女は再びレーザーを打ち込もうと構える。赤い光が収束し、解き放つ準備を整え始めた。その様子から、少女にとって最後の一発だと言える。
「食らえぇぇえええ!」
レーザーが発射––––の寸前だった。
『ちょっと出しゃばり過ぎじゃないが? 公認ヒーローさん?』
いきなり黒い穴が現れ、そこから人の姿を見せる。
黒い穴はゲートみたいな役割を担っているのが分かった。それを通じて到着したみたいだ。ゲートを利用した男が、少女の背後に立った。
「さて、後片付けの時間かな? よく追い詰めてくれたものだ。存分にお礼しなくちゃいけないね」
黒い蛇が少女に巻き付く。少女は蛇に縛られ、レーザー発射を阻止された。
さらに、身を休めていた俺まで蛇が縛り上げる。身動きが取れない状況に、絶体絶命と呼ぶ他ない展開を迎えた。
そして複数のゲートが出現し、中から手下と思しき者たちが出て来る。もはや、絶望的な状況に早変わりしてしまった。
「皆は倒れた同志の救出を。直ちに連れ帰る。まだ彼らには残された仕事があるんだよ。それと我々に立ち向かった二人は、私が即殺してしまおう」
男が懐に忍ばせた小さな刃物を取り出す。刃物は少女の首に向けられ、今にも掻っ切ってしまいそうな空気が漂った。
––––万事休す。
俺は内心諦めていた。そっと体の力が抜け、自然に涙を流す。感謝してくれたはずの少女は、結局死に行く運命を辿ろうとしていた。
「さらば、反逆者よ!」
刃物は少女の首を掻っ切ろうとした。次の瞬間、巡り巡って奇跡が起こる。
「ほう? これは厄介な奴が駆けつけたな?」
男は刃物を仕舞い、少女を離す。解放された少女は倒れ、そのまま気絶してしまった。男が振り向き様に手のひらを差し出す。
「……いってぇ。何すんだよ、ったく」
『それはこっちのセリフだろ』
「相変わらず過敏に駆けつけやがる。その行動判断は見習いたいわ」
「要らぬ言葉は吐くな。潔く死ね」
「––––悪い。そうはいかないんだって!」
黒い蛇が二匹、同時に現れる。それらは駆けつけた女性に巻き付こうとした。しかし、蛇は一瞬で氷付けになる。
「どうした? もしかして何かしたみたいだけど、全く効かないわ。それより死ぬ覚悟は出来ているよな?」
「俺の辞書に“敗北”と“死”は載ってなくてさ!」
瞬時に男は取り出した刃物で攻撃。が、簡単にいなされ、カウンターを食らった。
「遅い!」
「––––ぶっ⁉︎」
顔面に強烈なパンチ。真面に拳が突き刺さり、軽く吹っ飛んだ。転がった男に近づき、凍結から作られた剣を振り被る。
「死ね」
全ては惜しくも終わらなかった。男にトドメを刺そうと振り被った女性は止まる。気付けば殴り飛ばした男はすでに姿を消していた。
「逃げ足は早いな。それより他を片付けないと」
「––––ぐあぁぁぁああ⁉︎」
急襲を仕掛けた男が断末魔を発する。攻撃して来た男は心臓を氷の剣が貫いていた。どこから出したのか見た感じだと見切れないほど反撃は素早い。
「全く。面倒ごとだけ置いて行きやがったな」
氷の剣を二本作り、颯爽と駆け出した。残った手下たちを始末して回る。間近で一部の光景は見届けた。彼女の脅威的な身体能力で、殲滅するのはあっという間だったと思う。
現在、医師から退院許可を得て、帰宅する準備に取り掛かっていた。急遽用意された荷物は全てお礼として頂いたものばかり。中には、少女が手作りしたクッキーもあった。
「退院おめでとうございます。早速ですが、手続きしに参りましょう」
「分かりました。これからはよろしくお願いします」
深々と頭を下げ、感謝した。それを称賛する一言が隣にいた例の少女から頂く。
「ちゃんとお礼が言えて偉い! 巻き込んじゃって何だけど、最終的に公認ヒーローになれたのは奇跡だよ。今後は一緒に国民を守り抜こう!」
笑顔で意気込んでいるのは、窮地に参上した公認ヒーローの夢崎安子。あの現場で一番早く駆けつけ、対処しようと行動した少女だ。
彼女を助けた功績が、公認ヒーローを目指す理由だった。些細なきっかけで人は変われる。そう振り返って思った。
読んで頂きありがとうございます。
第2話から登場した味方キャラが引き続第3話登場予定だっらたりするかも……?
とにかく第3話も読んでくださいね!
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