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0-1「現れたヒーロー少女」

どうも、新連載開始しました!

今回は『僕のヒーローアカデミア』に影響された衝動で描いた物語です。中々濃い設定を練り上げたので、序盤から面白い展開だと思います。

良かったらブックマークと評価、コメントお願いします。

 静けさを感じさせるような夕方過ぎ。大変な委員会業務を終え、帰宅している最中だった。


「はぁ……」


 深いため息を一つ吐いた。それには色々な事情が積み重なっている。最近は特に気怠い日々だと思えて来た。


「ヒーローなんていやしない」


 たった一言不満を垂らす。その一言には深い失望が伴っていた。


 実際、世間に対する考え方は個々で異なる。僕だって他者とは違った意見を持ち合わせていると言う自覚があった。けど、自分が抱く考え方をやたらと振り撒くのは良くない。


 人と人は協力関係の元に生存が許される生き物だ。ならば、グッと堪えて耐え忍ぶことが何より強いられる場面は多い。


「人生なんてクソだろ。何一つとして良いことなんかない。それが現実だ」


 不満をぶつぶつ吐き捨てながら帰路を歩む。内心はマイナス思考が及んで不機嫌状態だった。


 そんな時、背後から何者かに呼び止められる。


「ねぇ、ちょっと良いかな?」

「––––ん? 一体何ですか?」


 振り返ってみると、そこには帽子を被った少女が立っていた。彼女は派手すぎない服装で出歩いているみたいだ。


 取り敢えず声をかけて来た要件を聞く。彼女は落ち着いた調子で尋ねた理由を述べ始めた。


「実は人を探してるの。多分、黒いフードを被った大柄の男なんだけどさ。見かけなかった?」

「はぁ? そんな奴は見てないよ。仮に怪しげな奴がいたら普通は気づくだろ」

「そうだよね? 分かったわ。ありがとう。じゃあバイバイ!」


 そのまま彼女は走り去っていく。背中が小さくなるまで後ろ姿を眺めた。そして彼女が見えなくなった時に気づく。


「めっちゃ速かった⁉︎ あんな奴が存在するとはマジでイカれてるわ」


 あの速度はきっと公認ヒーローかなんかだと知っていた。公安警察の元に連なる“正義の組織”は日々犯罪者と戦っている。けど、一部批判的な声が上がったのは何年前だかあった。


 それを思い出した瞬間、僕は涙が溢れ出そうになる。込み上げて来る涙をグッと堪えて歩き始めた。


 早く帰って風呂が入りたい。帰宅したら風呂はすぐに入る習慣があった。だから、風呂に入るタイミングは固定する。


 やっと自宅が見え始めた。自宅は新築アパートの隣でひっそりしている。


 玄関を上がり、風呂場に差し掛かった瞬間、誰か人影がいた。


「ええっ⁉︎ う、嘘っ⁉︎」


 人影を追ってみた。どこから入って来たのかが不明点である。確かなのは留守中に誰か忍び込んだかも知れなかった事実のみ。


 恐る恐る人影を確認しようと忍び寄る。相手は未だに気づいていないみたいだ。空き巣だとすれば自分一人でも追い払えるかも知れないとか思っていた。


「––––誰だぁ!」


 勢いよく浴室の扉を開ける。そしたら、不気味な目玉と視線が合った。


「––––え?」


 ギロリと目玉が動く。その目玉は僕を凝視すると叫び出した。


「キィェェェエエエエ‼︎」

「ぐぅっ……⁉︎」


 金属音みたいな鋭さを帯びた声。それを聞いた僕は頭が真っ白になった。意識が掠れ、呆然としてしまった僕を触手が縛り上げる。


 触手に縛られた触覚で意識は戻った。だが、すでに触手が巻きついて投げ出せなくなっている。


「は、離せ……! このぉ……!」

「アァ? 少シ黙レヨ。コッチハ身ヲ休メテルンダカラサ!」

「く、くそっ……!」


 最近ニュースで取り上げられていた不気味な怪物と情報が一致する。


 大きな一つ目玉、猫耳、そして丸々太った体型など。それら全てが情報に当てはまっていた。


 どうにか触手から抜け出せないか思考を凝らしてみる。触手はよく見たらびっしりと固まった体毛から出来ているみたいだ。


「チョット場所ヲ移ルワ。一緒ニ来イ。拒否権ハナイゾ!」


 化け猫は触手みたいな体毛を伸ばす。それで窓をぶち破って自分が通れるぐらいの穴を作った。


 その巨体を移動させるには、壁をぶち壊すしか方法がない。それを目の前でやってのけた。


 化け猫はアパートから出ていく。素早く屋根を転々と飛び越えて移っていった。


(まだ全然周りは気づいてない……。こんな巨体でも屋根の上なら気づかれにくいんだろう)


 僕は一か八か超能力を使ってみる。これは一度でも使用すれば二度目はないような切り札だった。


 ドカーン!


 急に爆発音が響き渡る。化け猫は縛り上げていた体毛が散り散りになって驚いていた。あんまり本体にはダメージがないようだけど、体毛から脱出できたのは確かである。


「このまま逃げさせてもらうわ!」

「ドコニ行クンダァァアアアア‼︎」


 再び体毛が縛り上げようと伸びた。それを回避する術が今の僕にはない。ただ、次捕まったら逃げることは不可能だ。


 咄嗟に僕は屋根から飛び降りる。見事に着地

してすぐ駆け出した。


「意外に逃げ切れるじゃんか!」


 僕は全力疾走で逃げる。すると、誰かと通り過ぎた瞬間に嫌な予感がした。


『待てよ。我々から逃げないでくれ』


 その一言が耳に入った。通り過ぎる最中に聞こえて来た一言を聞いて警戒心が生じる。ただ、警戒しても遅かった。


 ドスンと目前に現れた謎の怪物。僕は急停止して引き返そうと振り向いた。


「うわっ⁉︎」

「いてぇな? ぶつかんなよ」

「お、お前は……⁉︎」


 以前、声かけて来た女性が言っていたフードを被った男に遭遇してしまった。そいつは赤い瞳で僕を睨みつける。


「さて、さっさと済ませようか」

「な、何で––––ぐあぁあああ⁉︎」


 フードを被った男は背中から出て来た奇妙な手に襲われた。大きな手は僕を掴み切れるサイズだ。


「畜生ぉ! は、離せ!」


 僕は必死に抗った。けれど、大きな手は離す気はない様子が窺える。


 さっき使った技で超能力はしばらく使用不能状態だった。これでは抗う余地がない。このまま殺されてしまうのか不安が生じた。


「くそっ! 離せってば!」

「いちいち五月蝿い奴だな? お前は俺のペットたちに食わせるんだから大人しくしろ」

「ふざけんな! 誰が食べられて堪るかよ!」


 まだ死にたくない一心で抵抗した。けど、男は離そうとしない。それどころか僕を甚振り始めた。


「まぁ、少しぐらいは良いよな?」

「何する気だぁ!」

「ふっ。ちょっとした反応観察だよ」


 男がナイフを取り出し、僕の頬をサッと切った。頬に擦り傷が出来る。ただ、次は本気で斬りつけようと振りかぶった、


 しかし、ナイフが及ぶ前に一直線に放たれたレーザーでナイフは吹っ飛ばされる。俺はレーザーが飛んで来た方を一瞥した。


「ごめん! 待たせちゃったよね! 今、助かるから!」

「ちっ。公認かよ。しつけぇな!」


 背中からもう一本の大きな手が出て来る。大きな手は公認ヒーローを襲った。だが、当たる寸前で飛び上がる。そして再びレーザーが放出された。


「ぐあぁぁぁああ⁉︎」


 凄い火力で放たれたレーザーは容赦なく男に的中した。男は膝から崩れ、地面に手を突く。どうやら相当のダメージが入ったみたいだ。


「こ、この野郎……! やりやがったな……!」

「ふん! 大人しくお縄につきなさい!」

「馬鹿め! 一体誰が刑務所なんかに行くかっつーの!」


 大きな手が僕を離す。僕が捕まっていた方の手も少女を狙って伸びた。しかし、それらを次のレーザーで蹴散らしてしまう。


「ぐわぁああああ⁉︎」


 大きな手が崩れ去った。これは助かったんじゃないかと希望を抱く。


 それより僕はいち早く逃げ出そうとするが、敵は他にも存在していたことを思い出した。


「すいません! あっちにも犯罪者がいるんですけど!」

「え? あぁ、化け猫の方ね。初めて見る顔だわ。もちろん捕まえて見せるんだから!」


 化け猫は背中を向け、ゴミ箱を物色していた。何やら空腹みたいだが、そんなことはどうでも良い。


 公認ヒーローの少女が化け猫に集中する。狙いを一点に定め、収束したレーザーを解き放った。


「いっけぇええええ!」


 レーザーが化け猫を襲う。背中を向けた化け猫はレーザーに気づかず、ゴミを漁り続けていた。


 ドカーン!


「ンギャァァァアア⁉︎」


 化け猫から悲鳴が上がった。煙が上がって化け猫が見えなくなったが、しっかり命中したから仕留められたはずだ。


「よし! これで残るのは一匹ね!」


 公認ヒーローの少女は歓喜の声を上げた。しかし、煙が晴れた瞬間に絶望してしまう。


「痛イィィィィイ⁉︎ 何スルンダニャア‼︎」

「えっ⁉︎ 効いてないの⁉︎」


 化け猫から体毛が伸びる。咄嗟に少女はもう一度だけレーザーを撃ち込もうた構えた。しかし、後ろから大きな手が捕まえてしまう。


「そんなっ⁉︎ もう起きてたの⁉︎」

「当たり前だろ! あれだけで終わらないんだよ!」


 少女は大きな手に捕まった。同時に化け猫の体毛が絡みつく。これでは少女がレーザーを撃てなくなってしまった。


「く、くそぉおおおお‼︎ こんなところで負けられるかぁああああ‼︎」


 必死に抜け出そうとするが、化け猫の体毛は顔にも巻きついて来る。このままだと少女は窒息して死んでしまう。


 《《俺》》はすでに恐怖に染まっていた。もう為す術がないと生きることを諦め掛けた時だ。


『立ち向かいなさい。お前なら出来る』


 どこからか声が聞こえて来る。それは同じような状況で俺を庇って死んでいった父の声だ。


「今更俺に何が出来るんだよ……。いつも落ちこぼれていた俺なんかに出来やしない……」


 今までを振り返れば色んなことがあった。自分を蔑んでしまう日々が刻まれている。いつの日か諦めてしまった俺は誰かに救われるばかりの日々だった。それで父を亡くしたんだ。


 あの頃から心に残った蟠りが“もっと強くなれ”と促した。限界まで叩き上げた肉体。それを解禁することは封じて来た。まだ、その時じゃないと言われていたからだ。


「もうどうしようもねぇじゃん」


 たった一言、虚に呟いた。すでに決心は出来ている。覚悟が決まった今、解禁しようと行動する。


「やってやるよぉ! やるしかねぇんだろうがぁああああ‼︎」


 胸に手を当てる。異常に心臓が高鳴っているのが分かった。これは解禁する前の前兆である。


(まだ解禁は早いなんてことは分かり切ってる。でも、目の前で助けようとしてくれた女の子が死にそうだよ。お父さんみたいな結末で終焉を迎えるなんてさせはしない)


 全身から力が漲った。これは稀に人間が持つ異常体質と呼ばれるものだ。これを解禁した者は強力な肉体を持てる。


「限界突破ぁぁあああああ‼︎」


 俺は黒かったはずの髪の毛が白く染まる。まるで別人に変身したかのような変化だった。


「さぁ、こっからが本番だ。俺が相手してやるよ」


 鋭く尖った目つき。普段なら考えられないオーラを発揮していた。異常なオーラを纏った俺は飛び出す。


 至近距離まで攻め込み、拳を振り上げた。まずは化け猫を片付ける。


「あらぁああああ‼︎」

「ブニャァァァァアア⁉︎」


 化け猫が大きく吹っ飛ばされた。それを傍で見ていた男は震え上がる。次は自分が殴られる番だと認識していたからだ。


「くそぉ! マジかよ⁉︎」

「ふぅ……ゲホッゲホッ! ……はぁ。もう一方も覚悟しろよ」

「ひぃっ⁉︎」


 咄嗟に男は少女を解放する。迫り来る危機を回避するため、急いで大きな手を脅威に向けた。ただ、俺が問題とするようなほどでもない。


 大きく振り被った拳には、赤い光を灯していた。これが俺の超能力である。


「レッドライトアーマー‼︎」


 俺は久々に我を見失っていた。無我夢中に敵を薙ぎ払おうと行動する。

読んで頂きありがとうございます。

前書きにもありました。ブックマークと評価、コメントをお願いします。(強制ではない)

ランキング上位を狙っているので、皆さんにご協力頂けると幸いです。

第2話もお楽しみに!

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