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0-3「新しい仲間」

読んでくださっている方々、誠にありがとうございます。

こちらの作品は【僕のヒーローアカデミア】に憧れ、描いた作品です。ですが、オリジナル展開が盛りだくさんだと思います。良ければ高評価とコメント、ブックマークしてください。

 早速、俺は公認ヒーロー会の面接を受けていた。しっかり質疑応答を通し、無事に合格してしまう。


「後は健康診断と身体能力測定のみ。書類は全部提出したし、残り二項目で終わるな」


 取り敢えず準備は順調に進んでいる。まさか俺が公認ヒーローを目指してしまうなんて思いもしなかった。


 不思議と内心がワクワクで溢れ出す。思い返せばあの時、俺を救おうと立ち向かった少女から始まった人生だった。


 彼女は今、誰かを救おうと必死になっている頃だろう。そんな姿が頭に思い浮んだ。


「そろそろ出発しよう。今日から正式に活動開始するんだ!」


 俺は元気よく家を飛び出した。この瞬間が一番軽やかに踏み出せた気がする。


 そのままバスに乗り込み、同時に発進した。気分は上々で、かなりテンションは高めである。こんな晴れ晴れとした気持ちになるのは久々だった。


 バスが目的地に到着したら、勢いよく降りて、すぐ地図を確認。どうやら目的とした場所は、真っ直ぐ進めば辿り着くと地図は示していた。


「ここが例の公認ヒーロー測定会場か? かなり広いな」


 俺は会場を見上げ、大きく感嘆してしまう。中は快適さを重視した作りだと、ネットには記されていた。実際に中を拝見するのは初めてだから、相当緊張してしまっている。


 最近になって気づいたことがある。いつの間にか一人称が“僕”から“俺”に変わっていた点である。後は身体能力が向上したぐらいの変化でしかなかった。それは自慢できるようなことでもない。


 自動ドアを抜け、踏み入った先は航空みたいな広い空間だった。色んな窓口が設置され、多くの人たちを招き入れている。


 俺が目指す場所は“ 健康診断受付”と身体能力測定受付”の二箇所。そこに向かった頃には、何かしら事情を抱えていそうな男が二人組で喧嘩していた。


「あぁ? よそ見してたのかぁ?」

「ちゃんと“悪い”って言ってんだろ! さっさと離せ!」

「話も聞かない巫女なんて誰も欲しないんじゃないか? もしかして欲情でもしちゃったのか?」

「うるせい! セクハラすんなら近寄るな!」


 女が男の手をはたき上げる。すると、傍で見ていた男の仲間が女に近寄って告げた。それも脅迫のような一言に女は驚愕する。


「お前、調子に乗るなよ。はたき上げるなんてヒーローらしからぬ行いが許されると思ってんのか? こちらから公安警察に通報し、お前のヒーロー資格を剥奪するぞ。それが嫌なら大人しくついて来い」

「はぁ? ふざけんなよ! 誰がお前らなんかと行くんだよ! 弄ばれるぐらいなら剥奪された方がマシだ!」

「言ったな? その舐め腐った口は二度と開かないように教えてやる!」


 巫女の格好をした女がピンチだった。すぐ俺は彼女まで駆け出す。が、とっくに告げた男は超能力を発動し、女から身動きを封じた。


「あははははっ! どうした? 身動きが取れなくて驚いたか?」

「さて、連れて行くとしよう」


 ここで奴らが連れ去ったら、彼女は報われない人生を送る。その胸に残るようなトラウマは避けた方が良い。


「その手を離せよぉおおお‼︎」


 瞬時に赤い光を両脚に纏い、強化作用を限定した。一部分に効果を留めた能力は強化作用を分散させないため、より効能を底上げさせる。


 俺は思いがけないようなスピードを発揮し、彼女を助けようと走り出した。異常なスピードで彼女まで駆け付け、無理やり掴んでいた手を離させる。


「––––んなにぃ⁉︎」

「だ、誰だ、てめぇ⁉︎ どこから来やがった⁉︎」

「は、速い⁉︎」


 周囲まで俺が発揮したスピードに驚愕していた。かなり距離があったことは、近くで見かけた人たちが知っている。だが、問題の三人は知らぬ故に驚きを隠せていなかった。


「間に合ったわ! 悪いが、一言だけ言わせてもらう! こんな奴らについて行く必要なんかねぇ!」

「何だとぉ‼︎ いきなり邪魔した上に、ついて行くなだって、コラァ!」

「不良染みた真似すんなよ! 周りも見れないような馬鹿はヒーローなんて辞めちまえ!」


 思わず怒鳴り散らした姿には、凄まじい気迫が篭っていた。手を出した二人は驚き惑い、うちの一人が再び能力を行使する。


「ぐっ……⁉︎ こ、これは……⁉︎」

「ふっ。まだ言いたいことがあんのか?」

「畜生ぉ……!」


 俺は身動きを封じられ、抵抗が及ばない状態に陥った。さらに、能力を発動していない方が、すかさず拳を振り上げる。それを振り翳そうとした瞬間、近くから凄い音が響いた。


「やめろぉぉぉおおおおお‼︎」


 耳をつんざくような声。それは常識を覆す、鋭く甲高い高音だった。庇った女が発した声から発揮されている。


 諸に能力を伴った声を食らった男は一瞬で気絶した。もの凄い音は直撃した相手を気絶させる威力を孕んだ。周囲は慌てて逃げ出す者が出て来た。同時に警備員が駆け付け、目撃してしまった光景に速やかな行動を取る。


「い、今のは能力行使による暴行だよ⁉︎ そこの 君は今すぐついて来なさい!」

「ちょっ、待って! これには事情があって!」

「うるさい! こんな問題を起こしておきながら事情もないでしょ!」

「誰か! 助けて!」


 彼女が必死に助けを求める。が、周りが助けようともするはずがなかった。未だに能力の余韻が残り、動けない状態に陥っている。


 すると、どこからか希望の一声が上がった。華やかなドレスに身を包んだ女性。それも周囲はざわめき出した。


「ゆ、ユノア様⁉︎ どうかなさいましたでしょうか?」

「その子を離しなさい。今すぐに離さなければ辞職してもらうわ!」

「わ、分かりました。今すぐ離します」


 女は掴んだ手を離され、警備員から逃れられた。そこに立ち塞がった女性は、権力を持った存在の一人。公認ヒーロー会の要となる【絶対なる風竜姫ユノア】で名が通っていた。


 本名、風威ユノア。アメリカ人と日本人のハーフとして一般的に知られる人物だった。ユノア様は日本で【ナンバーワンヒーロー】の名を冠することで有名である。


「大丈夫? さぁ、立ちなさい」

「ありがとうございます……。けど、ユノア様が出る幕じゃありません。私なんかが助けられて良いような人材じゃないんです……」

「人が助け合うのに理由なんていらない。困った人たちが救われる笑顔を見たいのは、私自身が望んで行って来た理由そのものなんだ。そこに“人材”なんかで片付く人は一人もいないよ」

「ゆ、ユノア様……! 本当にありがとうございました!」


 俺はユノア様と言う存在が駆け付け、救い出した姿に感激する。ただ、本当なら自分も賞賛されるはずの人間だった。それを抱えながら人を救う行為に勤しめるかは疑問が残る。


 そして肝心な時に意識が閉ざされてしまった。


 何となく目の前が見えて来る。視界はぼやけていたが、最後はちゃんと天井を映した。そこが病室だったとは、傍で見守っていた医師から聞く。


「良かったわ。貴方が搬送されて来た時は焦ったんだから。凄い高熱が出てた。それに加え、貴方を褒めちぎっていた人が“ユノア様”だったことが印象深いかも」

「え……? ゆ、ユノア様が……?」


 俺はユノア様から褒めちぎられた事実を知り、目を丸くして驚いた。あの方が褒めちぎってくれるとは思っても見なかったんだ。


 医務室から出ると、外で助けた女が腕組みしながら待ち構えている。俺が医務室を出た瞬間、それに気づいた彼女が近づいて来た。


「さっきはマジでサンキュー! 本当に助かったわ! あの一瞬でどうやったら追いつくんだって驚いたんだけど!」

「え、えーと……その節はどうも」


(ち、近い……)


 結構、彼女は至近距離まで詰め寄って来る。故に俺は困惑してしまった。


 取り敢えず彼女が一緒に喫茶店に行こうと誘ってくれる。けど、俺は目的を果たさないといけなかった。


「あ……終わってるわ」

「ほんっとうにごめん! あの時、助けてくれたはずなのに、私は貴方の時間を奪っちゃった!」

「い、いや、気にするな。また明日来れば良い」

「じゃあ、今から喫茶店行こ! 二人きりで話がしたいんだよ!」


 何故か立ち直ったかのように瞳をキラキラ輝かせる彼女。もう予定は入ってなかったので、彼女の要望を聞いてあげた。


 そして近くの喫茶店に入っていく。そこは風変わりなポスターが貼り付けられており、何かと怪しい雰囲気を漂わせていた。


「こ、ここで良いのか? もっと他を探せば幾らでも店はあると思うんだが……」

「ここ私の両親が開いてる喫茶店なんだよ! だから、コーヒー一杯分は奢ってやる!」

「ええっ⁉︎ まさかご両親のお店だったのか?」


 ここを選んだ理由があからさまだった。あんまり人が寄って来そうもない雰囲気が漂っている。


 俺はどんなリアクションで迎えれば良いか分からなかった。そもそも彼女の名前すら知らないまま、ついて来てしまったことに後悔する。


「少し気まずくなって来たわ」

「ん? 何か言った?」

「いえ、何も言ってないです!」


 彼女は俺が呟くと、すかさず反応して来た。意外に耳は良いのかも知れない。とにかく互いの自己紹介を持ち掛けた。


「なぁ、自己紹介しよう。俺の名前は平永光英って言うんだ。よろしくな!」

「私は音越波亜。実は公認ヒーローになったばっかで、先日みたいに絡まれることが多いんだ。困ったもんだわ」


 あの時、波亜は凄まじい音波を発していた。あれが波亜が持つ超能力だと言える。実際に受けた側は気絶してしまった時点でかなり聴覚にダメージが入るらしい。


 店内の入り口で自己紹介していると、厨房から顔を出す二人。見た感じからすると、二人が波亜の両親かも知れなかった。特に女性は波亜と似た髪型と雰囲気を醸し出す。あんまり男性の方は大した共通点は見当たらなかった。


「いらっしゃい! もしかしてボーイフレンドを連れて来たのか? 波亜もやるじゃん!」

「がははっ! さすがうちの娘だわ! もう年頃なんだもんな!」


 しばらく店内で過ごしていく。俺が奢って頂いたのは“アイスカフェオレ”だった。本来なら無料サービスなんてやっていない。だから、周囲が羨ましくなってしまった。


 そして波亜が仕事関連の話題を持ち出す。波亜はずっと興味があってやり遂げてみたかったことらしい。


「ねぇ、光英は私とヒーローチーム組もう! 最近はチーム活動者は報酬が増えるんだよ! こんな美味い話はないだろ?」

「チームか? 確か説明にもあった奴だな。それなら構わない。波亜となら組んでも良いわ」

「やったー! さすが光英は話が早いなぁ。やっぱり女の子と組めるのはラッキーだったりするのか?」

「そこは問題じゃない。ただ、波亜だったら仲良くやれそうな気がしたんだよ」


 率直に理由を述べると、波亜は顔が真っ赤に染まる。頭から湯気が出そうな勢いで恥ずかしがった。


「あ、えーと⁉︎ 私たちはあくまでチームだからな! あんま勘違いするなよ!」

「は? 当たり前だろ。取り乱してどうした?」

「わ、分かったから! もう大丈夫になったかも知れない! ありがとう!」


 波亜は歓喜のあまり大はしゃぎ出した。明日は用事が済んだら、二人でチーム申請を出そうと決める。

読んで頂きありがとうございます。

無事に第3話を終えられました。良ければ第4話も引き続き読んでみてください。高評価とコメント、ブックマークをお願いします。

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