第76話 十年の軌跡、そして現在
――そして、現在。
長い記憶を思い返していた蓮は、ゆっくりと意識を現実へ戻した。
「……」
目の前には、100階層のボス部屋へ続く巨大な扉がある。
蓮は扉を見つめた。
「……ここまで来たか」
15歳でダンジョンに入り、10年。
その間に、数え切れないほどの戦いを経験した。
今では、自分がどれほど成長したのかも分かっている。
それでも――
「……ボス戦の前に、確認しておくか」
蓮は《鑑定》を使った。
目の前にステータスが表示される。
『名前:黒瀬 蓮』
『年齢:25歳』
『種族:人間』
『レベル:550』
『HP:180,000/180,000』
『MP:150,000/150,000』
『筋力:220,000』
『防御:200,000』
『敏捷:260,000』
『魔力:240,000』
『スキル』
『《無限成長》』
『《生存適応》』
『《鑑定》EX』
『《身体強化》EX』
『《魔力操作》EX』
『《魔力感知》EX』
『《アイテムボックス》EX』
『《剣術》EX』
『《気配察知》EX』
『《危機察知》EX』
『《状態異常耐性》EX』
『《火魔法》EX』
『《水魔法》EX』
『《風魔法》Lv.10』
『《木魔法》Lv.10』
『《土魔法》Lv.10』
『《雷魔法》Lv.10』
『《光魔法》Lv.10』
『《高速自己再生》Lv.10』
蓮は表示を確認する。
「……これが、今の俺か」
レベル550。
多くのスキルがEXまで成長している。
そして、まだLv.10のスキルも残っている。
蓮は《無限成長》へ意識を向けた。
もう一度、その詳細を確認する。
『名称:無限成長』
『種別:特殊スキル』
『効果:スキル・能力の成長限界を突破する』
『備考:通常のスキルレベルの上限はLv.10』
『備考:《無限成長》の効果により、Lv.10以降も成長可能』
『備考:Lv.10を超えて成長したスキルは、EXへ到達する』
「……そういうことか」
これまでEXまで成長したスキル。
それは、長い時間をかけて使い続けてきた力だった。
普通ならLv.10で止まる。
だが、《無限成長》を持つ蓮には、その限界がない。
「……まだ、伸びるか」
蓮は小さく呟いた。
ステータスを閉じる。
そして、もう一度巨大な扉を見る。
扉の向こうから伝わってくる気配は、これまでとは明らかに違う。
ここが、100階層。
10年間、進み続けてきた先。
その最後に待っている相手が、どれほどの強さなのか。
蓮にも分からない。
だからこそ――
「……行くか」
蓮は剣の柄を握った。
そして、巨大な扉へ手を伸ばした。




