第58話「6~9階層」
6階層へ下りた蓮は、そのまま足を止めることなく進んだ。
4階層、5階層と進んできたことで、魔力を使った戦いにも慣れてきている。
6階層の魔物は、これまでより明らかに強かった。
それでも――
蓮は倒していった。
身体強化で身体能力を高める。
魔力操作で必要な場所へ魔力を集中させる。
そして、魔力を纏わせた槍で魔物を仕留める。
戦う。
倒す。
進む。
その繰り返しだった。
戦闘を重ねるたびに、蓮の動きは洗練されていった。
魔力の流れを読む。
必要な場所へ集中させる。
槍へ流す。
無駄な動きが少しずつ消えていく。
そして――
6階層を突破した。
7階層。
魔物はさらに強くなった。
だが、蓮も強くなっていた。
以前なら苦戦していたような攻撃も、今では余裕を持ってかわす。
身体強化の使い方も上達していく。
魔力操作も、戦闘中にほとんど意識する必要がなくなってきた。
槍に纏わせる魔力も安定していく。
蓮は淡々と魔物を倒し、先へ進んだ。
8階層。
さらに強い魔物が現れる。
戦いは激しくなった。
だが――
「……まだいける」
蓮は槍を握り直す。
魔力を集中させる。
身体が軽くなる。
踏み込む。
槍が魔物を貫く。
また一体。
さらに一体。
倒した魔物の数は、もう数えきれなくなっていた。
レベルもいつの間にか上がっていた。
スキルも少しずつ成長している。
それでも蓮は、いちいち確認することはなかった。
戦う。
進む。
生き残る。
それだけだった。
そして――
9階層。
ここまで来ると、魔物の強さは明らかに違っていた。
最初の頃なら、一体相手にするだけでも苦戦していただろう。
だが今の蓮にとっては、違う。
魔物の動きを見て。
攻撃をかわし。
魔力を集中させ。
槍を振る。
それだけで倒せる。
「……強くなったな」
蓮自身も、その変化を感じていた。
ダンジョンへ入ったばかりの頃とは、身体の感覚がまるで違う。
力も。
速さも。
魔力も。
すべてが少しずつ増えている。
そして、9階層の探索も終盤に差しかかった頃。
蓮は足を止めた。
「……」
目の前に、階段がある。
下へ続く階段。
その先から、これまでとは違う気配が漂っていた。
「10階層……」
蓮は階段を見つめる。
ここまで来た。
次が10階層。
まだ見たことのない深さだ。
蓮は槍を握り直した。
「行くか」
そして、階段を下りていく。
6階層。
7階層。
8階層。
9階層。
そのすべてを越えて――
蓮はついに、10階層へ足を踏み入れようとしていた。




