第57話「5階層」
階段を下りた蓮は、5階層へと足を踏み入れた。
「……」
空気が違う。
4階層よりも重く、肌にまとわりつくような感覚がある。
蓮は周囲を見渡した。
道はこれまでより広い。
だが、魔物の気配も多い。
「ここから、さらに強くなるのか」
槍を握る。
その穂先には、薄く魔力が纏っている。
まだ長時間維持することはできない。
それでも、4階層で身につけた力だ。
しばらく進むと、魔物が現れた。
4階層で戦った魔物よりも大きい。
蓮はすぐに構える。
「来い」
魔物が飛びかかる。
蓮は身体強化を使い、横へ跳んだ。
すれ違いざまに槍を振る。
穂先に纏わせた魔力が、魔物の身体を切り裂いた。
魔物が倒れる。
「……一撃か」
4階層では苦戦したような相手でも、今なら余裕がある。
だが、蓮は気を抜かなかった。
ここは5階層。
今の魔物が、この階層のすべてとは限らない。
その後も魔物は次々と現れた。
蓮は一体ずつ倒していく。
身体強化。
部分強化。
魔力操作。
そして、槍に纏わせた魔力。
戦うたびに、それぞれの使い方が自然になっていった。
最初は意識しなければできなかった部分強化も、今では戦闘中に自然と使える。
槍への魔力付与も、少しずつ維持できる時間が伸びている。
「……慣れてきたな」
蓮は倒した魔物を見た。
5階層に入ってから、かなりの数を倒した。
ふと、自分の状態が気になった。
「鑑定」
表示が現れる。
『名前:黒瀬蓮』
『種族:人族』
『レベル:9』
『HP:172/180』
『MP:168/180』
『スキル』
『鑑定 Lv.3』
『生存適応』
『無限成長』
『身体強化 Lv.3』
『魔力操作 Lv.2』
『アイテムボックス Lv.1』
「……もうLv.9か」
いつの間にか、かなり上がっていた。
身体強化もLv.3。
魔力操作もLv.2になっている。
それだけ戦い続けてきたということだ。
「順調だな」
蓮は表示を消した。
少し減ったHPとMPも、休めば回復するだろう。
それからも探索を続けた。
何度も魔物と戦い、何度も倒す。
気づけば、5階層の奥まで来ていた。
そして――
「……階段」
目の前に、下へ続く階段があった。
蓮は階段の先を見る。
「6階層か」
少しだけ立ち止まる。
ここまで来るのに、それほど時間はかからなかった。
だが、深くなるほど魔物は強くなっている。
まだまだ先は長い。
「行こう」
蓮は迷うことなく階段を下りた。
6階層へ。
さらに深い場所へと進んでいく。




