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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第53話「新たなスキル」

ダークハウンドを倒した蓮は、さらに4階層の奥へ進んでいた。


 3階層とは違う。


 魔物の気配も強く、道も複雑だった。


 それでも、今の蓮なら慎重に進める。


 しばらく歩いたところで――


「……ん?」


 蓮が足を止めた。


 少し先。


 壁際に、見覚えのあるものが置かれている。


「……宝箱?」


 蓮は警戒しながら近づいた。


 以前にも宝箱を見つけたことがある。


 だが、何が入っているかは分からない。


「罠……ないよな」


 蓮は周囲を確認する。


 魔物の気配はない。


 それでも慎重に宝箱へ近づいた。


 槍の先で軽く触れる。


 何も起こらない。


「……大丈夫そうだ」


 蓮はゆっくりと蓋を開けた。


 中に入っていたのは、淡い光を放つ白い球だった。


 以前、鑑定のスキルオーブを手に入れたときに見たものとよく似ている。


「……スキルオーブか?」


 蓮は手を伸ばす前に、《鑑定》を使った。


『名称:スキルオーブ』


『効果:触れた者にスキルを与える』


「やっぱりそうか」


 蓮は白い球を見つめた。


「今度は、何のスキルなんだろう」


 少しだけ期待しながら、スキルオーブへ手を伸ばす。


 指先が触れた瞬間――


 白い光が弾けた。


 その光が蓮の身体へ入り込んでいく。


 そして――


『スキル《アイテムボックス》を獲得しました』


「……アイテムボックス?」


 頭の中に、今までにはなかった感覚が生まれる。


 目の前には何もない。


 だが、意識を向けると、そこに空間があることが分かった。


「これ……収納できるのか?」


 蓮は近くに落ちていた小石を拾った。


 意識を集中する。


 すると――


 小石が消えた。


「……!」


 蓮は驚いた。


 もう一度、意識を向ける。


 すると、収納した小石が目の前に現れた。


「出すこともできる……」


 蓮は小石を手の中で転がした。


 今まで背負っていた荷物のことを思い出す。


 食料。


 水。


 これから手に入れるもの。


「これなら、荷物を減らせるな」


 ただ、どれだけ収納できるのかはまだ分からない。


「それは戻ってから試そう」


 ここは4階層。


 新しいスキルを手に入れたからといって、気を抜くわけにはいかない。


 蓮は宝箱から視線を外した。


 そして、槍を握り直す。


「行こう」


 新しい力を手に入れた蓮は、再び4階層の奥へ向かって歩き始めた。

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