第51話「4階層」
翌朝。
蓮は水場で目を覚ました。
顔を洗い、水を飲む。
昨日はアースリザードとの戦いでかなり消耗した。
今日はその先へ進む。
4階。
昨日見つけた階段の先だ。
「……何があるんだろうな」
蓮は持っている荷物を確認した。
4階がどんな場所なのかは分からない。
どんな魔物がいるのかも分からない。
なら――
「荷物は軽くしておこう」
蓮はこれまで集めてきたものを一度すべて並べた。
魔石。
いくつかの素材。
その他、今すぐ必要ではないもの。
それらは水場の近くにまとめて置いていく。
魔石も、まだ何に使えるのか分からない。
持っていく必要もない。
「食べ物と水だけでいいか」
食料と水。
そして武器の槍。
それ以外は置いていく。
荷物が軽くなった。
「これなら動きやすい」
もし4階で危険な魔物に遭遇しても、身軽な方が逃げやすい。
蓮は荷物を確認すると、槍を手に取った。
「行こう」
水場を離れる。
昨日見つけた階段へ向かって歩いていく。
◇
しばらく進むと、昨日の戦いの跡が見えてきた。
アースリザードを倒した場所だ。
その先に――
下へ続く階段がある。
「……ここだ」
蓮は階段の前に立った。
下は暗い。
先が見えない。
それでも、蓮は足を止めなかった。
一段。
また一段。
ゆっくりと階段を下りていく。
やがて――
最後の一段を下りた。
「……」
蓮は周囲を見渡した。
4階。
まず感じたのは、静けさだった。
3階とは空気が違う。
壁も床も同じような石造り。
だが、ところどころに黒い染みのようなものが残っている。
「……何だ、これ」
蓮はしゃがみ込む。
触れることはせず、目だけで確認する。
何なのかは分からない。
そのとき――
カツ……。
カツ……。
遠くから音が聞こえた。
「……足音?」
蓮は立ち上がった。
槍を構える。
音は少しずつ近づいてくる。
カツ。
カツ。
カツ。
蓮は息を殺した。
暗闇の向こう。
何かが動いている。
「……魔物か」
身体に魔力を巡らせる。
まだ《身体強化》は使わない。
まずは相手を見る。
そして――
暗闇から、一つの影が現れた。
4階で初めて見る魔物。
蓮は槍を握り直した。
「……鑑定」
未知の階層での、最初の戦いが始まろうとしていた。




