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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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「第50話 未知なる強敵」

大型の魔物が、暗闇の奥から姿を現した。


 蓮は思わず息を呑む。


「……大きい」


 全長は二メートルほど。


 四本の太い脚で身体を支え、全身を茶褐色の分厚い鱗が覆っている。


 頭部は大きく、口には鋭い牙が並んでいる。


 前脚には太く長い爪。


 そして、身体と同じくらい太い尾が地面を引きずっている。


 黄色い瞳が蓮を捉えた。


「……こいつは、今までの魔物とは違う」


 蓮は槍を構える。


 まずは情報を確認する。


「鑑定」


『名称:アースリザード』


『種別:魔物』


『特徴:高い防御力』


『攻撃:噛みつき・爪・尾』


「……やっぱり硬いのか」


 表示された情報は、それだけだった。


 弱点までは分からない。


 蓮は魔物の身体を見る。


 分厚い鱗。


 正面から攻撃しても、簡単には通らなそうだ。


 その瞬間――


 アースリザードが地面を蹴った。


「っ!」


 巨体が一気に迫ってくる。


 蓮は横へ飛んだ。


 直後――


 ドンッ!


 巨大な爪が地面を叩く。


 石床が砕けた。


「……まともに受けたら危ない」


 蓮は距離を取る。


 アースリザードが身体を反転させる。


 太い尾が横薙ぎに振られた。


「くっ!」


 蓮は身体を低くする。


 頭上を尾が通り過ぎた。


「速い……!」


 巨体だから動きは遅い。


 そう思っていた。


 だが、予想以上に速い。


 アースリザードが再び突っ込んでくる。


「《身体強化》!」


 蓮は魔力を脚へ流す。


 身体が軽くなる。


 地面を蹴る。


 攻撃をかわし、そのまま側面へ回った。


「ここなら!」


 槍を突き出す。


 ガキンッ!


「……!」


 槍の穂先が鱗に弾かれた。


「硬い……!」


 鑑定で確認した通りだった。


 アースリザードが振り返る。


 蓮はすぐに距離を取った。


 再び爪が振り下ろされる。


 かわす。


 尾が来る。


 避ける。


 噛みつき。


 さらに距離を取る。


「攻撃する隙がない……」


 蓮は魔物の動きを観察した。


 爪。


 尾。


 噛みつき。


 どれもまともに受けるのは危険だ。


 なら――


「動きを止める」


 蓮はアースリザードの脚を見る。


 身体を支えている四本の脚。


「そこなら……」


 アースリザードが突進してくる。


 蓮はギリギリまで引きつけた。


 そして――


 横へ跳ぶ。


 すれ違いざまに槍を脚へ突き込んだ。


「はっ!」


 ガッ!


 鱗の隙間に槍が入る。


「効いた!」


 アースリザードが大きく身体を揺らした。


 蓮はすぐに距離を取る。


 魔物が怒ったように咆哮する。


 さらに激しく攻撃してくる。


「……焦るな」


 蓮は魔力の流れを抑える。


 必要以上に身体強化へ魔力を使わない。


 脚を狙う。


 攻撃をかわす。


 また脚を狙う。


 何度も繰り返す。


 やがて――


 アースリザードの動きが少しずつ鈍くなった。


「今だ!」


 蓮は一気に踏み込む。


 身体強化で脚力を高める。


 槍を構える。


 そして――


 アースリザードの脚へ、渾身の一撃を叩き込んだ。


 魔物の身体が大きく傾く。


 そのまま地面へ倒れ込んだ。


 ドンッ!


「……はぁ……」


 蓮は荒く息を吐いた。


 槍を下ろす。


「勝った……」


 今までの魔物とは違った。


 硬い。


 速い。


 攻撃も重い。


 それでも、動きを見て攻撃する場所を探せば倒せる。


 蓮は倒れた魔物を見つめた。


「鑑定」


『名称:アースリザード』


『種別:魔物』


『状態:死亡』


『特徴:高い防御力』


『攻撃:噛みつき・爪・尾』


「……やっぱり、これ以上は分からないか」


 鑑定で分かることには限界がある。


 実際に戦って、自分で確かめることも必要らしい。


 蓮は魔物の身体から魔石を取り出した。


 以前にも拾ったものと同じような石だった。


「……これ、何に使うんだろう」


 使い道は分からない。


 だからといって、わざわざ捨てる理由もない。


 蓮は今まで拾ったものと一緒に荷物へ入れた。


「いつか分かるかもしれないし」


 それだけだった。


 魔石について考えるのは、そこで終わった。


     ◇


 蓮は周囲を見渡した。


 アースリザードがいた場所の奥。


 これまで魔物が出てきた方向とは違う場所に、細い通路が続いている。


「……ここ、行けるのか?」


 蓮は慎重に進んだ。


 しばらく歩く。


 すると――


 目の前が開けた。


「……階段?」


 そこには、下へ続く石造りの階段があった。


 壁に沿って、暗闇の中へと伸びている。


 蓮は階段の前で立ち止まった。


「下……」


 ここまで来るまで、こんな場所は見たことがなかった。


 蓮は一段目を見つめる。


「……4階があるのか」


 まだ先に進むことはできる。


 だが、今までとは違う場所だ。


 蓮は階段をしばらく眺めたあと、今日は戻ることにした。


「明日にしよう」


 新しい階層。


 そこに何が待っているのか。


 蓮は少しだけ期待しながら、水場へ向かって歩き始めた。

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