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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第49話「3階の奥へ」

レベル4になった蓮は、さらに3階の奥へ進んでいた。


 《身体強化》を使うことにも、少しずつ慣れてきた。以前のように魔力を一気に流すことはない。


 必要な瞬間だけ脚を強化し、攻撃するときには腕へ魔力を回す。それだけで、戦いはかなり楽になった。


 グレイファングが現れる。


「……またか」


 蓮は槍を構えた。魔物が飛びかかる。


 身体強化。横へかわす。すれ違いざまに槍を突き込む。


 一撃。


 グレイファングが倒れる。


「次」


 その後も魔物は何度も現れた。一匹。二匹。時には群れ。


 蓮は一体ずつ確実に倒していく。戦うたびに、《身体強化》の使い方も上達していった。


 必要なときだけ強化する。余計な魔力は使わない。そして、敵の動きを見て先に動く。


「……だいぶ慣れてきたな」


 以前なら苦戦していた魔物も、今では大きな危険を感じることなく倒せる。


 それでも、蓮は油断しなかった。ここはダンジョンだ。何が出てくるか分からない。


     ◇


 さらに奥へ進む。


 すると――


 空気が変わった。


「……?」


 蓮は足を止めた。これまでの場所より、明らかに静かだった。


 魔物の気配もない。だが、その方が不気味だった。


「……何かいる」


 槍を構える。


 一歩。また一歩。奥へ進む。


 すると、広い空間が現れた。その中央には、大きな岩のようなものが置かれている。


「……なんだ、あれ」


 蓮が近づく。岩ではない。何かの巣のようだった。


 その周囲には、鋭い爪で削られたような跡がいくつも残っている。


「……魔物がいるな」


 蓮はすぐに槍を構えた。


 その瞬間――


 ドンッ!


 奥から大きな音が響いた。


「……!」


 地面が揺れる。蓮は反射的に後ろへ下がった。


 暗闇の奥から、何かがこちらへ向かってくる。足音が近づく。


 ドン。


 ドン。


 ドン。


 そして――


 姿を現した。


「……でかい」


 これまで戦ってきた魔物とは明らかに違う。身体はグレイファングの倍以上。全身を硬い鱗が覆っている。長い尾。


 鋭い爪。そして、口から覗く巨大な牙。


 蓮は槍を握り直した。


「……こいつは、今までとは違う」


 魔物が蓮を睨む。低い唸り声が響く。蓮の身体が自然と緊張する。


 逃げるという選択肢もある。


 だが――


 蓮は一歩前へ出た。


「……やるか」


 魔力を身体へ流す。《身体強化》が発動する。


 魔物が地面を蹴った。巨大な身体が、一気に迫ってくる。


 蓮は槍を構えた。


 3階の奥で――


 今までとは違う戦いが始まった。

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