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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第48話「レベル4」

 グレイファングを倒した蓮は、槍を手に再び3階の奥へ進んでいた。


 さっきの戦いで、一つ分かったことがある。


 《身体強化》は、実戦でも十分に使える。


 ただし――


「魔力を使いすぎないことだな」


 昨日の特訓では、加減が分からず一気に魔力を流してしまった。


 今は少しだけ感覚が分かる。


 必要な瞬間だけ魔力を流す。


 そして、必要がなくなれば止める。


 それだけでも、かなり違った。


     ◇


 しばらく進むと、前方から物音が聞こえた。


 ガサッ。


 蓮は足を止める。


 草むらから二匹のグレイファングが姿を現した。


「二匹か……」


 一匹なら問題ない。


 だが、二匹同時となると話は変わる。


 蓮は槍を構えた。


 一匹が正面。


 もう一匹が少し離れた場所からこちらを窺っている。


「来い」


 先に正面の一匹が飛びかかった。


 蓮は身体強化を発動する。


「《身体強化》」


 魔力を脚へ流す。


 身体が軽くなる。


 攻撃をかわす。


 そのまま槍を突き出す。


 だが――


 横からもう一匹が襲いかかってきた。


「っ!」


 蓮は身体をひねって避ける。


 爪が服をかすめた。


「危なかった……」


 二匹を同時に相手にするのは難しい。


 蓮は距離を取る。


 二匹が左右から挟むように動く。


「……なら、先に一匹」


 蓮は片方へ踏み込んだ。


 魔力を脚へ集中。


 一気に距離を詰める。


「はっ!」


 槍を突き出す。


 グレイファングが避ける。


 しかし――


 蓮は追撃した。


 槍を横へ振る。


 魔物が怯む。


 その隙にもう一度突き込む。


 一匹が倒れた。


「あと一匹!」


 残ったグレイファングが飛びかかる。


 蓮は冷静に攻撃をかわす。


 身体強化のおかげで、動きについていける。


 そして――


 最後の一撃。


 グレイファングも倒れた。


「……二匹、倒せた」


 蓮は息を整える。


 以前なら、もっと苦戦していた。


 今は身体強化を使うことで、明らかに戦いやすくなっている。


     ◇


 それからも、蓮は探索を続けた。


 一匹。


 二匹。


 時には三匹。


 魔物を見つけるたびに戦った。


 すべてが簡単だったわけではない。


 攻撃を受けそうになることもあった。


 身体強化を使いすぎて、魔力を余計に消費することもあった。


 それでも――


 戦うたびに少しずつ分かってきた。


 どのタイミングで魔力を流すか。


 どれくらい流せばいいか。


 どの部分を強化すればいいか。


「脚だけ強化すれば、踏み込みが速くなる」


「腕に流せば、槍を振る力が増す」


「全身に流すより、必要な場所だけの方が効率がいい」


 蓮は戦いながら、《身体強化》の使い方を覚えていった。


 そして――


 何体目かの魔物を倒したとき。


 身体の奥に、あの感覚が走った。


「……?」


 身体の奥から、力が湧き上がる。


 以前にも感じたことがある。


 ブラッドウルフを倒したときと同じ感覚。


「まさか……」


 蓮は自分自身を鑑定した。


「鑑定」


『名前:黒瀬 蓮』


『年齢:16歳』


『種族:人間』


『レベル:4』


『HP:120/120』


『MP:120/120』


『スキル』


『《無限成長》』


『《生存適応》』


『《鑑定 Lv.3》』


『《身体強化 Lv.1》』


「……!」


 レベルが上がっている。


「レベル4……」


 そして、HPもMPも増えている。


 身体の中にある力が、明らかに増えている。


「やっぱり……」


 蓮はこれまでの戦いを思い返す。


 魔物を倒す。


 そして、あの感覚が起きる。


 その後にレベルが上がっている。


「魔物を倒すことで……レベルが上がるのか」


 まだ確定ではない。


 だが、二度続けば偶然とは思えない。


 ブラッドウルフを倒したとき。


 そして、今回。


 どちらも魔物を倒した直後に身体の奥から力が湧いた。


「……もっと戦えば、また上がるのかな」


 蓮は自分の手を握る。


 レベル3のときよりも、身体が軽い。


 力も増している。


 そして、MPの最大値も120まで増えている。


「これが……レベルアップ」


 蓮は静かに呟いた。


     ◇


 ただし、現在のMPは満タンではなかった。


 戦闘と鑑定でかなり消費している。


 それでも、最大値が増えたことで以前より余裕がある。


「もっと魔力を上手く使えるようになれば……」


 身体強化の消費も抑えられる。


 そうすれば、さらに長く戦える。


 蓮は倒した魔物を見た。


 そして、その先へ視線を向ける。


 まだ3階には、探索していない場所が残っている。


「……行こう」


 槍を握り直す。


 レベル4になったばかりの身体。


 新しく覚えた《身体強化》。


 そして、少しずつ分かってきた魔力の使い方。


 蓮はそれらを確かめるように、さらに3階の奥へと進んでいった。

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