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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第46話「身体強化」

 食料を水場に置いた蓮は、その場に座り込んだ。


 頭の中にあるのは、さっき確認したステータス。


 レベル3。


 HP108。


 MP108。


 そして――


「MP……魔力」


 これまで何度も感じてきた、身体の中を流れる不思議な力。


 それが魔力なのだと、今なら分かる。


「これを……自由に使えるようになったら」


 蓮はブラッドウルフとの戦いを思い出す。


 あのときも、身体の奥から力が湧き上がるような感覚があった。


 もしかすると、無意識のうちに魔力を使っていたのかもしれない。


「……試してみるか」


 蓮は目を閉じた。


 身体の内側へ意識を向ける。


 しばらくすると――


 胸の奥に、ほんのわずかな違和感を感じた。


「これか……?」


 蓮はその感覚を追う。


 身体の奥にある力。


 それを腕へ動かそうとする。


「……動け」


 すると――


 魔力が動いた。


「……!」


 ほんの少しだけ。


 胸の辺りから腕へ、何かが流れていく。


「動かせる……」


 蓮はさらに力を込めた。


 魔力をもっと腕へ流す。


 すると――


「……っ!」


 突然、身体から力が抜けた。


「なんだ……?」


 強い倦怠感が身体を襲う。


 蓮は慌てて魔力を止めた。


「……今、何が起きた?」


 身体を起こすのも少し辛い。


 蓮はステータスを確認する。


「鑑定」


『名前:黒瀬 蓮』


『年齢:16歳』


『種族:人間』


『レベル:3』


『HP:108/108』


『MP:77/108』


『スキル』


『《無限成長》』


『《生存適応》』


『《鑑定 Lv.3》』


「……30?」


 MPが一気に減っていた。


「使いすぎたのか……」


 ほんの少し動かしたつもりだった。


 だが、実際には大量の魔力を一気に流していたらしい。


「加減が……分からない」


 蓮は深く息を吐いた。


 魔力は力になる。


 だが、無駄に使えば身体に負担がかかる。


 今の倦怠感が、その証拠だった。


「……少し休もう」


     ◇


 しばらく休んでいると、身体の重さが少しずつ抜けていった。


 蓮はもう一度試すことにした。


 今度は、さっきのように一気に流さない。


「少しだけ……」


 胸の奥にある魔力を感じる。


 ほんの少しだけ動かす。


 腕へ。


 さらに少し。


 指先へ。


「……」


 今度は問題ない。


 ほんのわずかな魔力が腕を流れている。


「これなら……」


 蓮はさらに魔力を動かした。


 今度は脚へ。


 そして背中へ。


 身体の各部分へ少しずつ魔力を流していく。


 だが、途中で魔力が途切れる。


「……難しいな」


 何度も試す。


 少し流して、止める。


 また少し流す。


 今度はもう少しだけ増やす。


 そうやって、少しずつ感覚を掴んでいく。


     ◇


「身体全体に流せないかな」


 蓮は考えた。


 腕だけ。


 脚だけ。


 それでは戦闘では使いづらい。


 なら――


 身体全体へ、少しずつ魔力を巡らせる。


「……ゆっくり」


 胸。


 肩。


 腕。


 腹。


 背中。


 脚。


 一つずつ意識していく。


 魔力が身体を巡る。


「……いける」


 身体が少し軽くなった。


 力も増している。


 拳を握る。


 いつもより力が入る。


 足を踏み出す。


 身体が少しだけ速く動く。


「これが……身体強化」


 だが、まだ不安定だ。


 少し気を抜くと魔力が乱れる。


 それでも、さっきよりは明らかに上手く扱えている。


 蓮は何度も繰り返した。


 失敗する。


 休む。


 また試す。


 少しずつ魔力の量を調整する。


 そして――


 魔力が身体全体を自然に巡った。


『魔力操作の経験が一定値に達しました』


『スキル《身体強化》を獲得しました』


『《身体強化 Lv.1》』


「……!」


 蓮は目を見開いた。


「スキル……?」


 新しいスキルが増えている。


 蓮はすぐに自分自身を鑑定する。


「鑑定」


『名前:黒瀬 蓮』


『年齢:16歳』


『種族:人間』


『レベル:3』


『HP:108/108』


『MP:76/108』


『スキル』


『《無限成長》』


『《生存適応》』


『《鑑定 Lv.3》』


『《身体強化 Lv.1》』


「……増えてる」


 そして、もう一度身体強化を使ってみる。


 今までとは違う。


 魔力をどこへ流せばいいのか。


 どれくらい流せばいいのか。


 感覚が以前よりはっきりしている。


「……使いやすい」


 身体が自然に強化されていく。


 さっきまでのように、一気に魔力が流れ出ることもない。


 少ない魔力を、必要な場所へ流せている。


「これなら……戦いでも使える」


 蓮は拳を握った。


 ただし、まだ長時間使い続けられるわけではない。


 MPは限られている。


 無駄に使えば、さっきのように倦怠感が出る。


「魔力は……大事に使わないとな」


 蓮は身体強化を解除した。


 まだ分からないことは多い。


 だが、一つ分かった。


 魔力はただ流せばいいわけではない。


 量を調整すること。


 必要な場所へ流すこと。


 そして、それを繰り返し練習すること。


 蓮は新しく手に入れたスキルを見つめた。


「もっと上手くなろう」


 そう呟くと、蓮は再び槍を手に取った。


 新しい力を試すために――


 3階の探索へ戻ることにした。

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