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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第44話「地下の水場」

ブラッドウルフから取った素材を背負い、蓮は再び歩き始めた。


 牙と爪。


 そして、切り取った毛皮。


 それほど多くはないはずなのに、背負ってみると意外と重い。


「……やっぱり、持ち運ぶ方法を考えないとな」


 蓮はそう思いながら、まだ探索していない場所へ進んでいく。


 しばらく歩いたときだった。


「……?」


 蓮が足を止めた。


 耳を澄ます。


 小さな音が聞こえる。


 一定の間隔で続いている。


「……水?」


 蓮は音のする方へ歩いていく。


 岩の間を抜ける。


 すると――


「……あった」


 目の前に、小さな水場が広がっていた。


 岩の隙間から透明な水が流れ出し、浅い池を作っている。


 蓮はすぐには近づかなかった。


 まず周囲を確認する。


 魔物の気配はない。


 それでも慎重に水場へ近づいた。


「鑑定」


『名称:地下水』


『状態:良好』


「……地下水か」


 蓮は水を見つめる。


 状態は良好。


 だが、それだけで飲めると判断するのは危険だ。


 蓮は少し考えた。


「……少しだけ試してみるか」


 手ですくう。


 まずはほんの少しだけ口に含む。


「……普通の水だ」


 味におかしなところはない。


 身体にも異常は感じない。


 しばらく様子を見てから、もう一度少量を飲む。


「大丈夫そうだな」


 蓮はようやく安心した。


 3階で水を確保できる場所を見つけた。


「ここは覚えておこう」


 蓮は周囲を見渡す。


 水場の周りには、いくつか植物も生えていた。


「……これも見たことないな」


 一株の植物に目を向ける。


 細長い茎。


 小さな葉。


 蓮は触れる前に《鑑定》を使った。


『名称:強靭草』


『種別:植物』


『状態:良好』


『特徴:丈夫な繊維を持つ』


「丈夫な繊維……」


 蓮は茎を指でつまむ。


 少し力を入れてみる。


 簡単には切れない。


「……これは使えそうだな」


 以前見つけた植物のツルも、物を縛るのに使えた。


 こちらも何かに使えるかもしれない。


 蓮は必要な分だけ採取した。


     ◇


 蓮は背中の荷物を見た。


 ブラッドウルフの牙。


 爪。


 毛皮。


 そして魔石。


 今のところ、どれも蓮にとっては「使えそうな素材」というだけだ。


 特に魔石については、どれほどの価値があるのかも分からない。


「……とりあえず、ここに置いておくか」


 水場の近くに、荷物をまとめて置く。


 魔石も一緒だ。


「あとで戻ってくればいい」


 荷物を置くと、身体が一気に軽くなった。


「……これなら動きやすい」


 蓮は槍を手に取る。


 これから先、素材を集めるたびに持ち歩いていたら、探索に支障が出る。


 この水場を一時的な荷物置き場として使えばいい。


「帰ってくる場所も分かりやすいしな」


 蓮は水場の周囲をもう一度確認した。


 今のところ危険はなさそうだ。


「ここを覚えておこう」


 蓮は水場を離れる。


 3階には、まだ探索していない場所が多い。


 階段の位置も分かっていない。


 だからこそ、一つずつ調べていくしかない。


 蓮は槍を握り直した。


「……行くか」


 そして、まだ見ぬ場所へ向かって歩き始めた。


 背中には何もない。


 先ほどまでとは比べものにならないほど身軽だった。


 蓮は周囲を警戒しながら、3階の奥へ進んでいった。

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