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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第43話「ブラッドウルフの素材」

ブラッドウルフが倒れたことを確認すると、蓮は槍を下ろした。


「……さて」


 蓮は改めて、倒れたブラッドウルフを見つめる。


 2階で戦ったグランウルフとは違う。


 だが、こちらも十分に大きい。


 そして、蓮には気になっているものがあった。


 牙。


 爪。


 毛皮。


 どれも今まで見てきた魔物より、しっかりしているように見える。


「……素材になるかもしれないな」


 蓮は近づいて、牙に手を伸ばした。


 しかし――


「……固い」


 牙を掴んで引っ張ってみる。


 びくともしない。


「簡単には取れないか」


 蓮は少し考えた。


 解体用の道具など持っていない。


 今あるのは槍だけだ。


「……やるしかないか」


 蓮は槍を手に取り、牙の根元へ穂先を差し込む。


 少しずつ力を加える。


「……っ」


 なかなか外れない。


 無理に力を入れれば、牙そのものが折れてしまいそうだった。


 蓮は角度を変え、何度も根元を突く。


 しばらくして――


「……外れた」


 ようやく一本の牙が抜けた。


 蓮は息を吐く。


「……これは時間がかかるな」


 残りの牙も同じように外す。


 すべて取り終える頃には、かなり時間が経っていた。


 次に爪へ手を伸ばす。


「これも……」


 やはり簡単には外れない。


 根元がしっかりと固定されている。


 蓮は無理に引っ張るのをやめ、槍を使って周囲を少しずつ削っていく。


「……これ、解体っていうより……」


 蓮は苦笑する。


「力任せだな」


 それでも、何とか爪をいくつか取り出すことができた。


     ◇


 最後に毛皮。


 これは牙や爪以上に難しかった。


 槍の穂先で皮を切ろうとしても、思ったようには進まない。


「……切りにくい」


 何度も刃を入れ、少しずつ剥がしていく。


 綺麗に剥ぐことなどできない。


 ところどころ毛が残り、皮にも傷が入る。


 それでも蓮は、できるだけ大きな部分を切り取った。


「……これくらいでいいか」


 全部を持っていくのは無理だ。


 それに、これ以上時間をかければ探索にも影響する。


 蓮は使えそうな部分だけを選んだ。


     ◇


 そして最後に――


 蓮はブラッドウルフの身体を見つめた。


「……何かある」


 身体の中に、他の部分とは違う感覚がある。


 蓮は慎重に調べていく。


 やがて、小さな石のようなものを見つけた。


「……これか?」


 周囲の組織を槍の穂先で少しずつ取り除く。


 だが、こちらも簡単にはいかなかった。


「……くっ」


 何度も位置を確認しながら、慎重に取り出していく。


 ようやく石が外れた。


 蓮は手に取る。


 淡い色をした、小さな石。


 普通の石とは違う。


 触れた瞬間、身体の中にある魔力とは違う、濃い力を感じた。


「……魔力?」


 蓮は《鑑定》を使う。


『名称:ブラッドウルフの魔石』


『種別:魔石』


『魔力含有量:中』


『状態:良好』


「魔石……」


 蓮は石を指先で転がす。


「魔力が入ってるのか?」


 詳しいことまでは分からない。


 だが、普通の石とは明らかに違う。


 蓮は魔石を大切にしまった。


「これも持って帰ろう」


     ◇


 素材を集め終えた蓮は、持ち運ぶ方法を考えた。


 全部をそのまま持って歩くのは難しい。


 そこで、以前見つけた植物のツルを取り出した。


 この植物は丈夫で、物を縛るのに使いやすい。


 しかも、一度しっかり結べば簡単にはほどけない。


「これなら……」


 蓮は毛皮をまとめ、その上に牙と爪を置く。


 そしてツルでしっかりと縛った。


「よし」


 背負ってみる。


「……重いな」


 思っていたよりも重量がある。


 だが、持てないほどではない。


 蓮は背負い直した。


 ただ、歩きにくい。


「……素材を集めるほど、荷物が増えるな」


 蓮は背中の荷物を見る。


 今はまだ何とかなる。


 けれど、この先もっと強い魔物と戦えば、持ち帰りたい素材も増えていくだろう。


「何か、いい方法を考えないとな」


 蓮はそう呟いた。


 それでも今は、これ以上考えても仕方がない。


 3階には、まだ探索していない場所が多い。


 蓮は周囲を見渡した。


 そして、まだ足を踏み入れていない場所へ視線を向ける。


「……あっちにも何かあるかもしれない」


 階段がどこにあるのかも、まだ分からない。


 だからこそ、一つずつ調べていくしかない。


 蓮は槍を手に取った。


「行くか」


 そうして、まだ見ぬ3階の奥へ向かって歩き始めた。

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