第40話 「MPの正体」
「MP」
蓮は、しばらくその数字を見つめていた。
『HP:100/100』
『MP:82/100』
「……これが何なのか、確かめないとな」
名前だけでは意味が分からない。
けれど、思い当たることはあった。
《鑑定》を何度も使ったときに感じた、あの倦怠感。
最初は、ただ疲れただけだと思っていた。
しかし、MPというものが見えるようになった今なら――
「……関係してるのか?」
蓮は試してみることにした。
◇
蓮は目の前に置いてある石へ意識を向ける。
「……鑑定」
『名称:石』
『種別:素材』
『状態:良好』
表示された情報を確認すると、蓮は一度表示を閉じた。
そして、自分自身へ意識を向ける。
「……鑑定」
『名前:黒瀬 蓮』
『年齢:16歳』
『種族:人間』
『HP:100/100』
『MP:80/100』
『スキル』
『《無限成長》』
『《生存適応》』
『《鑑定 Lv.2》』
「……あれ?」
蓮はMPの数字を見つめた。
さっきまで82だった。
石を鑑定した。
そして、自分自身も鑑定した。
その二回分が減ったのだとしたら――
「……一回使うたびに、減ってる?」
まだ確信はない。
偶然かもしれない。
蓮は少し考えた。
「もう一度、試してみるか」
◇
今度は、他のものを鑑定する必要はない。
自分自身だけを鑑定する。
「鑑定」
『MP:79/100』
蓮は表示された数字を確認する。
「一減った」
もう一度。
「鑑定」
『MP:78/100』
「……また一減った」
さらにもう一度。
「鑑定」
『MP:77/100』
蓮はしばらく黙って数字を見つめた。
一回目で一減った。
二回目でも一減った。
三回目でも一減った。
「……間違いない」
蓮はようやく確信した。
「《鑑定》を一回使うたびに、MPを一消費する」
最初に感じた倦怠感も、これで説明がつく。
使い続ければMPが減る。
そしてMPが減れば、倦怠感が強くなる。
「だから……あのとき、あんなにだるくなったのか」
蓮は納得した。
◇
ただ、まだ一つ分からないことがある。
「減るなら……戻るのか?」
蓮は鑑定を使うのをやめ、その場で休むことにした。
しばらく何もせず、身体を休める。
やがて、もう一度自分自身を鑑定した。
『MP:78/100』
「……増えてる」
さらに時間を置く。
『MP:79/100』
「やっぱり……」
MPは減るだけではない。
時間が経てば、少しずつ回復している。
それに合わせるように、身体にあった倦怠感も弱くなっていた。
「使えば減る……休めば戻る」
蓮は自分の中にある力へ意識を向ける。
以前から感じていた、不思議な力の流れ。
「これが……MPなのか?」
まだ確信はない。
けれど、今まで感覚でしか捉えられなかった力と、目の前の数字が繋がった気がした。
「MPっていうのは……自分の中にある魔力の量なのかもしれない」
蓮はそう考えた。
◇
そして、蓮はもう一度ステータスを見る。
『HP:100/100』
『MP:79/100』
数字を見ながら、ふと疑問が浮かんだ。
「……79」
そして、その隣にある最大値を見る。
「100……」
MPには最大値がある。
「この100って、どうやって決まってるんだ?」
生まれつきなのか。
鍛えれば増えるのか。
それとも――
蓮の視線が、スキル欄へ移る。
《無限成長》。
「……」
このスキルの本当の効果は、まだ分からない。
けれど、もし名前の通りなら。
「このMPの100も……増えるのか?」
答えはまだ分からない。
今は、ただの疑問だ。
けれど、いつか確かめられるかもしれない。
「……これも、いつか調べよう」
蓮はそう呟いて、ステータスを閉じた。
新しく知ったMP。
まだ分からない《無限成長》。
そして、自分の中に流れる不思議な力。
一つずつ分かっていけばいい。
分からないなら、自分で試して確かめる。
それが、この一年間を生き抜く中で蓮が身につけたやり方だった。




