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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第39話 新たに見えた力

《鑑定》を手に入れてから、蓮は必要なものを少しずつ調べていた。


 槍。石。植物。そして、グランウルフから手に入れた牙や毛皮。


 鑑定すれば、その物の名前や種類、状態といった基本的な情報が分かる。生き残るための手段が限られている蓮にとって、それは便利な力だった。


 だが――


 何度か鑑定を使ったところで、蓮は自分の身体に異変を感じた。


「……あれ?」


 身体が少し重い。頭も、わずかにぼんやりしている。


「疲れた……?」


 戦ったわけではない。重いものを運んだわけでもない。それなのに、身体から何かが抜けていったような感覚がある。


 蓮はその場に座り、しばらく身体を休めた。すると、時間が経つにつれて重さは少しずつ消えていった。


「……何だったんだ?」


 立ち上がった蓮は、近くに落ちていた石へ目を向ける。確かめるために、もう一度だけ使ってみる。


「……鑑定」


『名称:石』


『種別:素材』


『状態:通常』


 情報が浮かんだ直後――


 身体に、先ほどと同じ重さを感じた。


「……やっぱり」


 蓮はすぐに鑑定をやめた。


「鑑定を使うと……何かを消費するのか?」


 何を消費しているのかは、まだ分からない。ただ、続けて使えば身体に負担がかかる。


「今は、使える回数に限界があるってことか……」


 正確な仕組みまでは分からない。それでも、無闇に使うべきではないことだけは理解できた。


     ◇


 それから蓮は、《鑑定》を無闇に使わないようにした。使うなら、本当に知りたいものだけ。


 そう決めた。


 まずは、以前鑑定したグランウルフの牙を、今度は詳しく調べることにした。


『名称:グランウルフの牙』


『種別:素材』


『状態:粗悪』


 表示されるのは、以前と同じ情報だけだった。


「これだけじゃ、詳しいことは分からないな……」


 蓮は牙を手に取った。指で表面をなぞる。硬い。そして、とても鋭い。


 実際に槍の穂先として使ってみる。近くにあった木へ突き刺した。


 ズッ。


「……やっぱり硬い」


 普通の木なら、かなり深く突き刺さる。蓮は引き抜いた牙を眺めた。


 ただ名前を知るだけでは分からない。実際に触って、使って、確かめる。そうして初めて、この素材がどういうものなのか分かってくる。


 次に毛皮を調べる。触ってみる。腕に巻いてみる。


「……暖かい」


 厚い毛が、しっかりと身体を包む。蓮は毛皮の厚さや手触りを確かめていった。


 そして――


 もう一度、鑑定する。


『名称:グランウルフの毛皮』


『種別:素材』


『状態:粗悪』


『特徴:高い保温性』


「……増えた」


 今までなかった情報が表示されている。蓮は目を細めた。


「ただ鑑定するだけじゃなくて……」


 実際に調べる。触る。使う。理解する。


 そのことが《鑑定》の成長に関係しているのかもしれない。


 その瞬間――


『対象への理解が深まりました』


『スキル《鑑定》が成長します』


『《鑑定 Lv.1》→《鑑定 Lv.2》』


「……!」


 蓮は表示を見つめた。


「レベルが……上がった」


 何度も使ったからなのか。それとも、物について理解を深めたからなのか。まだ確信はない。


 けれど、一つだけ分かった。


 《鑑定》は、ただ使うだけで成長するわけではない。対象を知ること。理解すること。


 それが関係している。


     ◇


 蓮は、もう一度自分自身へ意識を向けた。


「……鑑定」


 すると――


 以前とは違う情報が表示された。


『名前:黒瀬 蓮』


『年齢:16歳』


『種族:人間』


『HP:100/100』


『MP:38/50』


『スキル』


『《無限成長》』


『《生存適応》』


『《鑑定 Lv.2》』


「……?」


 蓮は表示された数字を見つめた。


「HP……MP……」


 初めて見る項目だった。Lv.1のときには表示されていなかった。鑑定のレベルが上がったことで、新しく見えるようになったらしい。


「MP……38?」


 蓮は自分の身体に意識を向ける。すると、以前から感じていた不思議な力の流れがあった。


「これが……MPなのか?」


 蓮は考える。そして、先ほどまでのことを思い出した。


 何度も鑑定を使ったあとに感じた、身体の重さ。


「……もしかして」


 鑑定を使うたびに、このMPというものが減っていたのかもしれない。


「だから、使い続けると……身体が重くなったのか」


 まだ確信はない。けれど、今まで感じていたことが一つにつながった気がした。


「……MP」


 蓮は、その言葉を小さく呟いた。これまで感覚でしか捉えられなかった力。それが初めて、数字として見えた。


 蓮はもう一度、自分のステータスを確認する。そして、《鑑定》以外の二つのスキルへ目を向けた。


 《無限成長》。《生存適応》。


 名前は分かる。けれど、その本当の効果まではまだ分からない。


 蓮は思った。


「……鑑定のレベルが上がれば、もっと分かるのかもしれない」


 新しく知ったMP。まだ分からない自分のスキル。そして、成長していく《鑑定》。


 蓮の中に、新しい目標が生まれていた。

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― 新着の感想 ―
37話で鑑定してるのにまた初めて使うような話になってますよー
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