第38話 スキルの正体
蓮は自分の目の前に表示された情報を、もう一度確認した。
『名前:黒瀬 蓮』
『年齢:16歳』
『種族:人間』
『スキル』
『《無限成長》』
『《生存適応》』
『《鑑定 Lv.1》』
「……この二つ」
蓮は《無限成長》へ意識を向けた。
もっと詳しい情報が知りたい。
そう思った瞬間――
『詳細情報を取得できません』
『鑑定レベルが不足しています』
「……レベルが足りない?」
蓮は少し考えた。
「じゃあ……生存適応は?」
同じように意識を向ける。
『詳細情報を取得できません』
『鑑定レベルが不足しています』
「こっちもか……」
蓮は少し残念そうに息を吐いた。
せっかく手に入れた《鑑定》なのに、肝心なところは分からない。
「……まあ、仕方ないか」
それでも、スキルの名前だけは分かっている。
蓮はまず《無限成長》について考えた。
「無限成長……」
言葉の意味をそのまま考える。
無限に。
成長する。
「……限界なく強くなれるってことなのかな」
蓮はこれまでの自分を思い返す。
ダンジョンに入ったばかりの頃は、何もできなかった。
けれど、毎日生き残るうちに身体は強くなった。
魔物と戦えるようになった。
そして今では、グランウルフまで倒せるようになった。
「……そう考えると、ありそうだな」
もちろん、まだ確信はない。
けれど――
《無限成長》という名前から考えれば、それが一番しっくりくる。
次に《生存適応》を見る。
「こっちは……」
蓮はグランウルフとの戦いを思い出す。
傷を負った。
追い詰められた。
そのとき、身体の奥から熱が広がった。
視界が鮮明になり、魔物の動きが以前よりはっきり見えた。
「……危険な状況になると、身体が変わる」
今までにも似たようなことはあった。
毒に強くなった。
過酷な環境でも動けるようになった。
魔力の流れを感じられるようになった。
「これが……生存適応なのか?」
蓮は自分の手を見る。
それなら、今まで起きていた身体の変化にも説明がつく。
「生き残るために……適応する」
名前の意味そのままだ。
ただ、これもまだ予想にすぎない。
「……もっと鑑定のレベルが上がれば分かるのか」
蓮は《鑑定 Lv.1》へ意識を向ける。
「だったら……」
このスキルも鍛えてみる価値はある。
魔物を鑑定する。
素材を鑑定する。
自分のスキルも、何度も確認する。
そうしていけば、いつか詳細が分かるかもしれない。
「……試してみよう」
蓮は立ち上がった。
新しく手に入れた力。
まだ分からないことだらけだ。
それでも――
少しずつ、自分のことが分かり始めている。
蓮はそう思いながら、再び槍を手に取った。




