第36話 初めての宝箱
3階へ降りた蓮は、階段の前で立ち止まった。
「……ここが3階か」
蓮は槍を握り直し、ゆっくりと歩き始めた。
新しい階層だ。
どんな魔物がいるのか分からない。
だからこそ、慎重に進む。
◇
しばらく進んだ。
魔物と遭遇することもあった。
蓮は無理に戦わず、様子を見ながら進んでいく。
これまでの経験がある。
強そうな相手なら距離を取る。
戦える相手なら、動きを見てから戦う。
そうやって少しずつ、3階を探索していった。
◇
しばらく歩いたところで、蓮は足を止めた。
「……ん?」
前方に、何かが置かれている。
岩とは違う。
魔物でもない。
蓮は警戒しながら近づいた。
「……箱?」
そこにあったのは、一つの箱だった。
石の床の上に、ぽつんと置かれている。
蓮は槍を構えたまま、周囲を確認する。
魔物はいない。
罠のようなものも、今のところ見当たらない。
蓮は箱をじっと見つめた。
「……宝箱?」
昔、アニメやゲームで見たことがあるような箱だった。
まさか、本当にダンジョンの中で見ることになるとは思わなかった。
「本当にあるんだ……」
蓮は少し驚きながら、箱の周囲を一周する。
何も起こらない。
蓋にも、特に変わったところはない。
「……開けてみるか」
蓮は慎重に手を伸ばした。
蓋に手をかける。
そして――
ゆっくりと持ち上げた。
カチャッ。
「……!」
箱の中には、一つの球体が入っていた。
手のひらに収まるくらいの大きさ。
淡い光を放っている。
「……何だ、これ」
蓮は箱の中を覗き込む。
武器ではない。
食べ物でもない。
見たことのないものだった。
蓮はしばらく考えた。
「……触っても大丈夫かな」
警戒しながら、指先を伸ばす。
そして――
球体に触れた。
その瞬間。
『スキルオーブを確認しました』
「……!」
頭の中に、あの声が響いた。
蓮は驚いて手を止める。
「……スキルオーブ?」
聞いたことのない言葉だった。
球体を見つめる。
すると、続けて声が響いた。
『使用する場合は、意思を持ってください』
蓮は少し考えた。
何が起きるのか分からない。
それでも――
「……使ってみよう」
蓮がそう思った瞬間。
球体から光が溢れた。
そして、その光が蓮の身体へ吸い込まれていく。
『スキル《鑑定》を獲得しました』
「……!」
蓮は驚きながら、自分の手を見つめた。
何が起きたのか、まだ理解できない。
ただ一つだけ分かる。
今、自分は――
新しい力を手に入れた。




