第35話 下へ続く道
翌日。
蓮は新しくなった槍を手に、まだ探索していない場所へ向かっていた。
目的は決まっている。
この階層にあるはずの、下へ続く階段を見つけること。
「……こっちだな」
岩壁に刻んだ地図を思い出しながら、蓮は進んでいく。
これまで何度も歩いた場所とは違う。
まだ足を踏み入れたことのない場所だ。
蓮は慎重に周囲を確認しながら進んだ。
魔物の気配。
道の先。
そして、見落としている場所がないか。
一つずつ確認していく。
◇
しばらく進むと、道が二つに分かれていた。
「……どっちだ?」
右側は細い道。
左側は少し広い。
どちらにも階段は見えない。
蓮は少し考えた。
「……まずは右から」
右の道へ進む。
しばらく進んでも、行き止まりだった。
「違うか」
蓮は来た道を戻る。
今度は左へ進んだ。
◇
しばらく歩いた。
やがて、前方が少しずつ開けてくる。
「……広いな」
蓮は慎重に足を進める。
そこは今まで探索してきた場所よりも、かなり広い空間だった。
周囲を見回す。
魔物はいない。
そして――
「……あれは」
奥に、石で造られた階段が見えた。
「……階段」
蓮は思わず立ち止まった。
ついに見つけた。
3階へ続く階段。
「……あった」
蓮はゆっくり階段へ近づいていく。
その先には、まだ一度も足を踏み入れたことのない3階がある。
もっと強い魔物がいるかもしれない。
今までとは違う危険が待っているかもしれない。
それでも――
蓮は槍を握り直した。
◇
階段の前で、蓮は一度振り返った。
ここまで歩いてきた場所。
何度も魔物と戦った。
何度も傷ついた。
逃げたこともある。
そして――
グランウルフにも勝った。
その経験が、今の自分を作っている。
「……行こう」
蓮は一段目に足を乗せた。
一段。
また一段。
ゆっくりと下へ進んでいく。
やがて――
蓮の姿は階段の先へ消えていった。
3階。
そこには、これまでとは違う景色が広がっていた。




